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第一章 幼年期
8 村を離れる日
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すれ違いもちょっとあったりしたが、万桜ちゃんと二人仲良く過ごした。
村の隅から隅まで案内をして、万桜ちゃんたちが来てだいたいひと月ぐらいたったころ、どうにか帰る算段が付いたらしく、皆帰ることになった。
「ということで、ボクも万桜ちゃんについていきますのでよろしくね」
「ちょっとまって、え、なんで?」
「ほら、どこまでも一緒って約束したから」
「したけどまさか村の外まで行くとは……」
「万桜ちゃん、ボクをもてあそんで捨てるつもりだったの!?」
「いやそういうわけじゃないけど……」
そうして万桜ちゃんたちが帰る船に、ボクも便乗することにしたのだ。
おそらくこの機会を逃すと100年ぐらいは外に出る機会がないだろう。
ここは物理的に閉鎖的過ぎて外部への連絡が難しすぎるし、外への伝がない。
今回出れば、万和さんや、万桜ちゃん、船乗りさんたちの伝が使えるから、非常に便利だろう。
なので行く気満々なのだが、万桜ちゃんがすごく渋った。
「だって、杏珠って今いくつです?」
「5歳だね」
「まだ小さいじゃない。親と離れていいの? いつ帰ってこれるかわからないじゃない」
「まー、うちの両親しぶといだろうから」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……」
もちろんちゃんと両親に相談済みだ。母は雑に行ってきなさいと認めてくれた。
父は嫁に出したくないと大騒ぎして母にしばかれて、最後は人形のように首を縦に振ってくれた。
だから問題ないのである。
「万和さーん! 万桜ちゃんがボクをもてあそんで捨てようとしてる~!!!」
「あらあら、まったく。万桜、ちゃんと好きな子には優しくしないとだめよ」
「そういうんじゃないから!?」
万桜ちゃんが照れてしまった。
ちなみに万和さんに抱き着くと柔らくていいにおいがするのだ。非常に役得である。
「実際、杏珠ちゃんが来てくれるといろいろ助かるのよね」
「え、何があるの?」
「船を杏珠ちゃんのものにしてくれるから、返さなくてよくなるし、いろいろ手土産積んでくれるから、沈没船の補填もできるわね。交渉大変だったんだからね」
「母さん…… いつの間にそんな交渉を……」
「宿泊費とかの問題もあるから、そういったものの支払いの代わりに杏珠ちゃんを預かって育てるのよ。だから来てくれると助かるってわけ」
ボクの滞在費用なんかはそういった手土産から出ることになっているようだ。
いざとなったら山でイノシシを狩るか、海で魚を捕るかすればいいかと思っていたが、うまく万和さんがまとめてくれたようである。
「あとは、あなたの近くにいる子がいていいと思うのよね。杏珠ちゃんは万桜のこと好き?」
「大好き!!!」
自信をもって胸を張って言う。
愛情表現はしっかりとした方がいいというのがうちの家訓だ。
「で、万桜も杏珠ちゃんのこと好きだからちょうどよいでしょ?」
「勝手に判断しないでよ、母さん!」
「じゃあ嫌い?」
「う、す、好きだけど……」
照れてそっぽを向いてしまう万桜ちゃんがかわいかった。
「ということで、うちで預かるから、万桜も覚悟しなさい」
「わーい!」
「しかたない……」
そんなやり取りもあり、ボクは竜神丸にのって、一路万桜ちゃんの故郷竜尾の国へと向かうのであった。
風の具合もよかったらしく、半月ほどで、遭難することなく無事、目的地に到着することになる。
村の隅から隅まで案内をして、万桜ちゃんたちが来てだいたいひと月ぐらいたったころ、どうにか帰る算段が付いたらしく、皆帰ることになった。
「ということで、ボクも万桜ちゃんについていきますのでよろしくね」
「ちょっとまって、え、なんで?」
「ほら、どこまでも一緒って約束したから」
「したけどまさか村の外まで行くとは……」
「万桜ちゃん、ボクをもてあそんで捨てるつもりだったの!?」
「いやそういうわけじゃないけど……」
そうして万桜ちゃんたちが帰る船に、ボクも便乗することにしたのだ。
おそらくこの機会を逃すと100年ぐらいは外に出る機会がないだろう。
ここは物理的に閉鎖的過ぎて外部への連絡が難しすぎるし、外への伝がない。
今回出れば、万和さんや、万桜ちゃん、船乗りさんたちの伝が使えるから、非常に便利だろう。
なので行く気満々なのだが、万桜ちゃんがすごく渋った。
「だって、杏珠って今いくつです?」
「5歳だね」
「まだ小さいじゃない。親と離れていいの? いつ帰ってこれるかわからないじゃない」
「まー、うちの両親しぶといだろうから」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……」
もちろんちゃんと両親に相談済みだ。母は雑に行ってきなさいと認めてくれた。
父は嫁に出したくないと大騒ぎして母にしばかれて、最後は人形のように首を縦に振ってくれた。
だから問題ないのである。
「万和さーん! 万桜ちゃんがボクをもてあそんで捨てようとしてる~!!!」
「あらあら、まったく。万桜、ちゃんと好きな子には優しくしないとだめよ」
「そういうんじゃないから!?」
万桜ちゃんが照れてしまった。
ちなみに万和さんに抱き着くと柔らくていいにおいがするのだ。非常に役得である。
「実際、杏珠ちゃんが来てくれるといろいろ助かるのよね」
「え、何があるの?」
「船を杏珠ちゃんのものにしてくれるから、返さなくてよくなるし、いろいろ手土産積んでくれるから、沈没船の補填もできるわね。交渉大変だったんだからね」
「母さん…… いつの間にそんな交渉を……」
「宿泊費とかの問題もあるから、そういったものの支払いの代わりに杏珠ちゃんを預かって育てるのよ。だから来てくれると助かるってわけ」
ボクの滞在費用なんかはそういった手土産から出ることになっているようだ。
いざとなったら山でイノシシを狩るか、海で魚を捕るかすればいいかと思っていたが、うまく万和さんがまとめてくれたようである。
「あとは、あなたの近くにいる子がいていいと思うのよね。杏珠ちゃんは万桜のこと好き?」
「大好き!!!」
自信をもって胸を張って言う。
愛情表現はしっかりとした方がいいというのがうちの家訓だ。
「で、万桜も杏珠ちゃんのこと好きだからちょうどよいでしょ?」
「勝手に判断しないでよ、母さん!」
「じゃあ嫌い?」
「う、す、好きだけど……」
照れてそっぽを向いてしまう万桜ちゃんがかわいかった。
「ということで、うちで預かるから、万桜も覚悟しなさい」
「わーい!」
「しかたない……」
そんなやり取りもあり、ボクは竜神丸にのって、一路万桜ちゃんの故郷竜尾の国へと向かうのであった。
風の具合もよかったらしく、半月ほどで、遭難することなく無事、目的地に到着することになる。
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