27 / 40
【第3章】 氷の公爵家の奇跡、そして永遠の春へ
第27話 甘酸っぱい氷菓と、波乱のつわり生活
親族たちを一喝して追い返してから、数ヶ月。
私の体調は、ジェットコースターのように目まぐるしく変化していた。
「……うぅ……っ」
「エリス! 大丈夫か! 桶(おけ)か? 水か?」
朝の光が差し込む寝室で、私は青ざめた顔でベッドに突っ伏していた。
妊娠四ヶ月。いわゆる「つわり」のピークを迎えていた。
ただし、公爵家の子供を宿した私の場合は、ただの吐き気ではない。医師曰く「魔力酔い」と呼ばれる症状だ。
お腹の赤ちゃん(通称:豆粒ちゃん)が成長のために魔力を欲しがり、私の体内の魔力回路を勝手にいじくり回すせいで、船酔いと二日酔いを同時に起こしたような強烈な不快感が一日中続くのだ。
「申し訳ありません、ジークハルト様……。せっかくの朝食なのに……」
「謝るな。そんなことより、何か口にできそうなものはあるか? 何でもいい、言ってみろ」
ジークハルト様は、出勤前だというのにスーツの上着を脱ぎ捨て、私の背中をさすり続けてくれている。
その顔は、重要な会議の時よりも遥かに真剣で、そして焦っていた。
「……冷たくて、酸っぱいものなら、なんとか……」
「冷たくて酸っぱいものだな。分かった」
彼は即座にハンスさんを呼びつけ、厨房へ指示を飛ばした。
レモン、オレンジ、ベリー類。ありとあらゆる果物が運び込まれたが、どれを見ても私の胃は「受け付けない」と拒否反応を示す。
「うっ……匂いが、ダメです……」
「くそっ、これでもないのか。……エリス、泣かないでくれ。代わってやりたいが、こればかりはどうにも……」
最強の魔導師である彼も、つわりという生理現象の前では無力だった。
私が苦しむ姿を見て、彼は自分の無力さに唇を噛み締めている。
その姿を見て、私はふと、ある記憶が蘇った。
「……あの、ジークハルト様」
「なんだ?」
「北の領地で食べた……『氷の実』のソルベが、食べたいです」
それは、私たちがまだ契約結婚だった頃、市場デートで食べた思い出の味だ。
北国特有の、雪の下で育つ赤い木の実。強烈な酸味と甘みがあり、シャリシャリとした食感が特徴のあの味なら、食べられる気がした。
「氷の実か! よし、すぐに取り寄せよう!」
「ですが、あれは鮮度が命です。王都まで運ぶには時間が……」
「転移魔法を使う」
「えっ、転移魔法って、国が管理するような大規模魔術じゃ……」
「知ったことか。妻の一大事だ」
彼はハンスさんに「留守を頼む」と一言残すと、窓を開けて飛び出していってしまった。
公爵様が、たかが木の実一つのために、国家レベルの魔法を使って北へ飛ぶなんて。
私は呆れると同時に、胸が熱くなった。
◇
数時間後。
ジークハルト様は、霜まみれになって帰ってきた。
その手には、籠いっぱいの新鮮な「氷の実」が抱えられている。
「待たせたな、エリス。……採りたてだ」
「ジークハルト様、そのお姿……! 雪まみれじゃないですか」
「北は吹雪いていたのでな。……そんなことより、これなら食べられるか?」
彼は服も着替えず、自らナイフを手に取り、慣れない手つきで木の実の皮を剥き始めた。
不器用な彼が、私のために必死に小さな実を処理している。
その指先は冷たいはずなのに、私には何よりも温かく見えた。
「……ハンス、器を」
「はい」
「私が冷やす」
彼は剥いた果肉をボウルに入れると、指先から繊細な冷気を放出した。
チリチリ……という音と共に、果肉が一瞬でシャーベット状に凍る。
世界を凍らせると恐れられた「氷の魔力」が、今は愛する妻のための「デザート作り」に使われているのだ。
「ほら、あーん」
「……はい」
差し出されたスプーンを口に含む。
キーンとする冷たさと、懐かしい酸味が口いっぱいに広がった。
ムカムカしていた胃の腑が、スーッと洗われるようだ。
「……美味しい」
「そうか! 良かった……!」
私が完食すると、ジークハルト様は心底安堵したように息を吐き、へなへなと椅子に座り込んだ。
「……討伐遠征より疲れた」
「ふふ、お疲れ様です。最強のパパさん」
私がハンカチで彼の額の汗(と溶けた雪)を拭うと、彼は照れくさそうに私の手を握った。
こうして、つわりの危機は、公爵様の規格外の献身によって乗り越えられたのだった。
◇
それから数週間後。
つわりが落ち着き、体調が安定した日を見計らって、私たちは「赤ちゃん用品」の準備を始めた。
王都のベビー用品店を貸し切りにしての買い物だ。
「見てください、ジークハルト様! この靴下、こんなに小さいんですよ!」
「……小さすぎる。私の親指くらいしかないぞ。本当に人間の足が入るのか?」
彼はレースのついたベビーシューズを摘み上げ、真剣な顔で観察している。
魔獣や敵兵には容赦のない彼が、壊れ物に触れるように慎重にベビー服を選んでいる姿は、店員さんたちをも微笑ませていた。
「性別はまだ分かりませんが、どちらでもいいように白や黄色を中心に揃えましょうか」
「そうだな。……だが、男なら剣術を、女なら魔法を私が直々に教えよう」
「気が早すぎます。まずは絵本の読み聞かせからですよ」
平和だった。
お店の中は柔らかい布と優しい色に溢れ、未来への希望しかなかった。
私たちは、ベビーベッド、産着、おもちゃ……山のような幸せを買い込んだ。
「エリス」
帰りの馬車の中で、ジークハルト様が私のお腹に手を当てた。
安定期に入り、少しふっくらとしてきたお腹。
そこからは、トクン、トクンという確かな命のリズムと、パパ譲りのひんやりとした魔力が伝わってくる。
「私は、お前に感謝している」
「え?」
「こうして子供の服を選んだり、名前を考えたりする未来が、私に来るとは思わなかった。……私は自分が『奪う側』の人間だと思っていたからな」
彼は窓の外に流れる王都の景色を見つめ、静かに言った。
「だが、お前が教えてくれた。私にも『与える』ことができるのだと。命を育み、未来を作ることができるのだと」
「ジークハルト様……」
「絶対に守り抜くぞ。この子と、お前を」
彼は強く誓うように言った。
その横顔は、父親としての自覚と強さに満ちていた。
――この時の私たちは、まだ楽観的だった。
つわりも落ち着き、医師の経過観察も順調だったからだ。
「魔力中和」さえしていれば、なんとかなる。そう信じていた。
けれど、お腹の中の「氷の豆粒ちゃん」の成長速度は、私たちの想像を遥かに超えていた。
季節が巡り、お腹が目立つようになる頃。
「幸せな準備期間」は終わりを告げ、命をかけた「維持期間」へと突入していくことになる。
最初に異変が起きたのは、胎動を感じ始めた妊娠六ヶ月目の夜のことだった。
私の体調は、ジェットコースターのように目まぐるしく変化していた。
「……うぅ……っ」
「エリス! 大丈夫か! 桶(おけ)か? 水か?」
朝の光が差し込む寝室で、私は青ざめた顔でベッドに突っ伏していた。
妊娠四ヶ月。いわゆる「つわり」のピークを迎えていた。
ただし、公爵家の子供を宿した私の場合は、ただの吐き気ではない。医師曰く「魔力酔い」と呼ばれる症状だ。
お腹の赤ちゃん(通称:豆粒ちゃん)が成長のために魔力を欲しがり、私の体内の魔力回路を勝手にいじくり回すせいで、船酔いと二日酔いを同時に起こしたような強烈な不快感が一日中続くのだ。
「申し訳ありません、ジークハルト様……。せっかくの朝食なのに……」
「謝るな。そんなことより、何か口にできそうなものはあるか? 何でもいい、言ってみろ」
ジークハルト様は、出勤前だというのにスーツの上着を脱ぎ捨て、私の背中をさすり続けてくれている。
その顔は、重要な会議の時よりも遥かに真剣で、そして焦っていた。
「……冷たくて、酸っぱいものなら、なんとか……」
「冷たくて酸っぱいものだな。分かった」
彼は即座にハンスさんを呼びつけ、厨房へ指示を飛ばした。
レモン、オレンジ、ベリー類。ありとあらゆる果物が運び込まれたが、どれを見ても私の胃は「受け付けない」と拒否反応を示す。
「うっ……匂いが、ダメです……」
「くそっ、これでもないのか。……エリス、泣かないでくれ。代わってやりたいが、こればかりはどうにも……」
最強の魔導師である彼も、つわりという生理現象の前では無力だった。
私が苦しむ姿を見て、彼は自分の無力さに唇を噛み締めている。
その姿を見て、私はふと、ある記憶が蘇った。
「……あの、ジークハルト様」
「なんだ?」
「北の領地で食べた……『氷の実』のソルベが、食べたいです」
それは、私たちがまだ契約結婚だった頃、市場デートで食べた思い出の味だ。
北国特有の、雪の下で育つ赤い木の実。強烈な酸味と甘みがあり、シャリシャリとした食感が特徴のあの味なら、食べられる気がした。
「氷の実か! よし、すぐに取り寄せよう!」
「ですが、あれは鮮度が命です。王都まで運ぶには時間が……」
「転移魔法を使う」
「えっ、転移魔法って、国が管理するような大規模魔術じゃ……」
「知ったことか。妻の一大事だ」
彼はハンスさんに「留守を頼む」と一言残すと、窓を開けて飛び出していってしまった。
公爵様が、たかが木の実一つのために、国家レベルの魔法を使って北へ飛ぶなんて。
私は呆れると同時に、胸が熱くなった。
◇
数時間後。
ジークハルト様は、霜まみれになって帰ってきた。
その手には、籠いっぱいの新鮮な「氷の実」が抱えられている。
「待たせたな、エリス。……採りたてだ」
「ジークハルト様、そのお姿……! 雪まみれじゃないですか」
「北は吹雪いていたのでな。……そんなことより、これなら食べられるか?」
彼は服も着替えず、自らナイフを手に取り、慣れない手つきで木の実の皮を剥き始めた。
不器用な彼が、私のために必死に小さな実を処理している。
その指先は冷たいはずなのに、私には何よりも温かく見えた。
「……ハンス、器を」
「はい」
「私が冷やす」
彼は剥いた果肉をボウルに入れると、指先から繊細な冷気を放出した。
チリチリ……という音と共に、果肉が一瞬でシャーベット状に凍る。
世界を凍らせると恐れられた「氷の魔力」が、今は愛する妻のための「デザート作り」に使われているのだ。
「ほら、あーん」
「……はい」
差し出されたスプーンを口に含む。
キーンとする冷たさと、懐かしい酸味が口いっぱいに広がった。
ムカムカしていた胃の腑が、スーッと洗われるようだ。
「……美味しい」
「そうか! 良かった……!」
私が完食すると、ジークハルト様は心底安堵したように息を吐き、へなへなと椅子に座り込んだ。
「……討伐遠征より疲れた」
「ふふ、お疲れ様です。最強のパパさん」
私がハンカチで彼の額の汗(と溶けた雪)を拭うと、彼は照れくさそうに私の手を握った。
こうして、つわりの危機は、公爵様の規格外の献身によって乗り越えられたのだった。
◇
それから数週間後。
つわりが落ち着き、体調が安定した日を見計らって、私たちは「赤ちゃん用品」の準備を始めた。
王都のベビー用品店を貸し切りにしての買い物だ。
「見てください、ジークハルト様! この靴下、こんなに小さいんですよ!」
「……小さすぎる。私の親指くらいしかないぞ。本当に人間の足が入るのか?」
彼はレースのついたベビーシューズを摘み上げ、真剣な顔で観察している。
魔獣や敵兵には容赦のない彼が、壊れ物に触れるように慎重にベビー服を選んでいる姿は、店員さんたちをも微笑ませていた。
「性別はまだ分かりませんが、どちらでもいいように白や黄色を中心に揃えましょうか」
「そうだな。……だが、男なら剣術を、女なら魔法を私が直々に教えよう」
「気が早すぎます。まずは絵本の読み聞かせからですよ」
平和だった。
お店の中は柔らかい布と優しい色に溢れ、未来への希望しかなかった。
私たちは、ベビーベッド、産着、おもちゃ……山のような幸せを買い込んだ。
「エリス」
帰りの馬車の中で、ジークハルト様が私のお腹に手を当てた。
安定期に入り、少しふっくらとしてきたお腹。
そこからは、トクン、トクンという確かな命のリズムと、パパ譲りのひんやりとした魔力が伝わってくる。
「私は、お前に感謝している」
「え?」
「こうして子供の服を選んだり、名前を考えたりする未来が、私に来るとは思わなかった。……私は自分が『奪う側』の人間だと思っていたからな」
彼は窓の外に流れる王都の景色を見つめ、静かに言った。
「だが、お前が教えてくれた。私にも『与える』ことができるのだと。命を育み、未来を作ることができるのだと」
「ジークハルト様……」
「絶対に守り抜くぞ。この子と、お前を」
彼は強く誓うように言った。
その横顔は、父親としての自覚と強さに満ちていた。
――この時の私たちは、まだ楽観的だった。
つわりも落ち着き、医師の経過観察も順調だったからだ。
「魔力中和」さえしていれば、なんとかなる。そう信じていた。
けれど、お腹の中の「氷の豆粒ちゃん」の成長速度は、私たちの想像を遥かに超えていた。
季節が巡り、お腹が目立つようになる頃。
「幸せな準備期間」は終わりを告げ、命をかけた「維持期間」へと突入していくことになる。
最初に異変が起きたのは、胎動を感じ始めた妊娠六ヶ月目の夜のことだった。
あなたにおすすめの小説
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!
ユウ
恋愛
辺境伯爵次男のユーリには婚約者がいた。
侯爵令嬢の次女アイリスは才女と謡われる努力家で可愛い幼馴染であり、幼少の頃に婚約する事が決まっていた。
そんなある日、長女の婚約話が破談となり、そこで婚約者の入れ替えを命じられてしまうのだったが、婚約お披露目の場で姉との婚約破棄宣言をして、実家からも勘当され国外追放の身となる。
「国外追放となってもアイリス以外は要りません」
国王両陛下がいる中で堂々と婚約破棄宣言をして、アイリスを抱き寄せる。
両家から勘当された二人はそのまま国外追放となりながらも二人は真実の愛を貫き駆け落ちした二人だったが、その背後には意外な人物がいた
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)