昴の輝く空の下で

ジャンマル

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二十Ⅲ節/埋め合わせ?

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 冴城さんに呼び出された僕は屋上に人知れず連れていかれる。そして誰もいない人気のない屋上に着いたと思った途端急に形相を変えて僕に迫っていた。その顔はどこか寂しさと怒りを表しているようだった――

「本当に淺霧さんと何もないの?」
「そ、そうだって……」
「……でもそうとは思えないくらいあなたの顔、喜んでた」
「二人で過ごしただけ……だよ……」

 正直自分にもわからない。緊張してたし、今までよりうれしかった。でもそれが二人きりだからだったのか。それとも単純に同じものを一心につくれたからなのか。わからないのだ。恋とか友情とか。そういうのは正直わからないからこそ曖昧な表現だと思う。そんな曖昧気持ちを彼女にぶつけたくないっていうのも気持ちの一つだ。

「これ以上僕を責めても……何もでな――」
「……」

 それは本当に一瞬の出来事だった。頭の整理ができない。だけどそれはたぶん彼女も同じだ。

「今……ドキドキした? 私を見てどう思った?」
「そんなの……わかんないって……」

 キス、されたんだ。今。だけど気持ちが整理追いつかないし何より彼女がそんな行動に出た、という事実を頭が受け入れなかった。そして僕はその場から逃げ出してしまった。自分の行動に後悔し、今にも泣きそうな彼女を横目に……

 きっともう前みたいな平和な日常は過ごせなくなってしまうかもしれない。僕と彼女の間に――そんな不安が生まれた。
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