昴の輝く空の下で

共通ルート

二十七節/大丈夫ですか？

 あれからバチバチした空気感は少しだけ薄くなり、冴城さんと淺霧さんも普通に会話できるまでに仲が戻った。恋敵、というふうにまだ思っているのだろうか......それもまあ、あんまりいいとは言えないけれど。

｢えっと、文化祭の準備期間前だからそろそろ決めようか」
｢えー、お前らなんかあれば頼むー」

 と、実行委員の僕がみんなに聞くとおまかせするという声の方が大きかった。いくらなんでも文化祭まで投げやりというのもなんというものか。ということで複数個候補をこちらでだし、投票という形でみんなに決めてもらうことになった。 とはいえ、投票したものにやる気が出るとは限らない。そこでその部分に関して心配ないように先生が準備期間中は全員1日以上出席で単位かさましにするぞ。という半ば職権を乱用したような釣りに出たところ、かなり大多数が急に意見を上げ始める。これでいいのだろうか。まあかと言って代用案なんて出せるものでも無いから諦めるけれど。

｢ってか平気か？」
｢え？何がですか？」
｢お前ら新入生歓迎会でクラスに降りる費用前借りしてなかったっけ？」
｢えっ」

 とても聞き捨てならない初耳の情報が飛び出す......そして直ぐに犯人も名乗り出た。

｢それ......私」

 どうやら練習用の材料を途中で足りないから前借り、という形で使ってしまっていた......らしい。