昴の輝く空の下で

ジャンマル

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三十八節/それが来た理由

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 不思議な感覚だ。不思議な話をしているはずなのにソフィさんの話はどこか懐かしい部分があった気がする。でもそれがなんなのかーーそこまでは分からなかった。僕と関係がある、のか......?

「ソフィさん、とりあえずわかった。探しておけばいいんだろう?」
「あ、はい......お願いできますか?」
「直ぐにとは行かないだろうけどね」

 ソフィさんが探している人物を探すと約束を交わし、駿人はいよいよ飛行機を乗るためにゲートをくぐって行った。あそこまで行くとチケットのない僕達は入れないため、ここら辺で解散しようという話になる。はずだった。ソフィさんは僕に話があると言うことで僕はソフィさんとこのあと一緒に過ごすことになった。まあ、冴城さんがすごい眼光で睨んでいたのは平気だろう......

「それで話って?」
「はい。あなたにも関係がある話です」

 それは記憶が戻りかけている彼女にとっては伝えなくては行けないことなのかもしれない。

「昴星の話の続きです」
「え?」

 先程までの話の続きだと言う。それは不思議な話であり、どこか懐かしさのある話だった。

「昴星の話......あれはまぐれでもなんでもなく本当に起きてしまう話なんです」
「起きてしまう......?」

 起きてしまう、とどうしようと無い感じの言い回しだった。偶然でもなんでもない、噂でもなんでもない本当の話だと。

「昴星......あれを聞いた人はどこかで懐かしさを覚えるんです」
「懐かしさは......確かに感じたな」
「でもそれは本当に体験したから、なんです」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ」

 僕が体験したのは小さい頃の女の子との思い出のはずだった。だけどその当時の記憶はそれ以上は覚えておらず忘れている訳でもない感じなのだ。だけどーーそれはこれから起きる未来をぼんやりと小さい時に見てしまったから、という事らしい。

「そんなオカルトチックな話......」
「オカルトかもしれないです。確かに」

 彼女の話によるとその未来予知に近い物は昴星が1番輝く日に特に強くなり、それは実際の体験だと錯覚するほどのものになるという。そしてソフィさん自身、事故から生還できた理由がそこにあると考えているらしい。

「小さい時、私は昴星が一番輝く日に事故が起きてしまう未来を見てしまいました」
「でも、未来予知って変えようのない展開の方が多かったりしない?」
「確かにそうかもしれないです。だって、その見えた未来では私だけが生きていたんですから」

 どこか違和感を覚えた。私「だけ」と彼女は言ったのだ。彼女の見た未来では彼女だけが飛行機から放り出され、かなりの高さから海に落ちた。だけど普通ならそんな高さから落ちたら水との反発の衝撃で無事では済まない。ましてや、小さい子なら間違いなく死ぬだろう。つまりは......事故から放り出された彼女は事故で死んだのではなく、事故によって放り出されて死んだ、と。

「だけど......私と一緒に脱出した人が居ます。その人はきっとこの現象を知っているはずなんです」

 この昴星に一体どんな秘密があるのか。何故そんな超常現象を体験してしまうのか。それを......知る人物が居るのだと。
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