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叶わぬ恋
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高校二年生の秋。周りが次々と進路について悩む中、俺は進路なんてくだらない……そういって進路のことに踏み切れずにいた。周りと違う、周りと同じにされたくない。この年齢の同じ男子なら感じたこともあるかもしれないあの感覚だ。そしてそれが影響してか、周りが勉強に必死になる中勉強をしてなかった俺は当然テストで赤点を取った。全科目ではないが、先生からのお達しは「次同じなら覚悟しろ」晴れて問題児の仲間入りとなった。
部活は帰宅部。年齢は16。あ、もうじき17か。彼女はいない。おまけにこの頭。モテるはずもない。もちろんモテるかどうかは関係ない。だってそもそも恋なんて知らない。したことがない。その感覚があるならば……きっと今頃……
「なあおいあれ……やばくね?」
「え、あれ三年の結占先輩?」
「お、おい、お前先生呼んで来いって!!」
騒ぎの中心にいたのは俺と同じく問題児の先輩だった。しかも頭もそこまでよくなく、よく暴力事件を起こしていた。
騒ぎは先生が仲裁に入ることで終わったが、何故か俺は担任からガンを飛ばされお前もか。そうため息をつきながら俺も生徒指導室へ無理やり連れていく。だけど今思えばこの連れていかれる瞬間の先輩の顔が……すべての始まりだったのかもしれない。
「結占!! お前また!!」
「あれは正当防衛だよ……」
「相手方の生徒に聞いたよ。いきなりとびかかってきたって」
「いきなりは違う!! ただあいつらがその……」
「とにかく。君はこれで4度目の停学だ。これが何を意味するか分かってるのか? 進路に大きな影響が……」
「あたし、将来とかどうでもいいし……」
ギスギスしたその場の空気感に俺は負けたのか、自然と口からごめんなさいと、謝っていた。
それから30分ほど説教を食らい俺たちは解放された。先輩は二週間の停学処分。俺は先生の誤解ってことで一日だけの停学処分になった。巻き添え停学……というより先生のありがた迷惑な気もするが。
「違うなら違うって言って抜ければよかったのに」
「いやまあ、先生たちの目がまじで怖かったし……」
「君、二年?」
「え? あ、はい。二年の志鶴蓮です」
「そう……巻き込んだのは謝る。でも、もう関わらないでね。きっと、あなたも後悔する」
そう言い残して先輩は自分のカバンを肩にかけなおし不貞腐れた感じに帰路に向かった。だけど去り際に彼女が落としたそれは……俺を不思議と彼女に引き合わせるきっかけになった気がした。
そのあと今日はもう先輩は帰ったが、俺は部活があったため部活にしっかりと出たが……この日は先輩のことでいろいろと考えてしまい、うまく部活に集中できなかった。勉強もダメ、部活もダメとは……いよいよ本格的に落ちぶれてきたなあ……
「なあ、蓮~」
「ん?」
「今日なんで呼び出されてたんだ~?」
「ああ、それか……うちの担任の個人的な恨み、みたいなもんじゃない?」
「へえ、そういうのあるんだな」
友人の城見沢誠也。俺を小さいときからずっと見てきている実績のある名フレンズだ。勉強ができないって言った時も、勉強をしたくないっていた時も、彼が俺にいつも言ってくれた言葉は「やらないならやらない。やるならやる。最終的に折れた方が負けだぜ」だった。要はさぼるなら根性見せろよ、ということだ。
だけど俺はそんな誠也にずっと感謝してる……だからこそなのかもしれない。彼に――相談したのは。
「なあ、誠也は三年の結占先輩って知ってる?」
「え? なになに、惚れた?」
「いや、惚れたかはまだわかんないけど……」
「ああ、お前もついに男子高校生らしく……お父さんうれしいよっ!!」
「お前が父親になった記憶はない! って、そうじゃなくて……先輩のことなんか知ってれば教えてほしいんだよ」
「ああなるほどねえ……んー、まあでも俺に聞くより知ってる人に聞けばいいんじゃね?」
「たとえば……?」
誠也は学年や学校の情報を掴んではいいことも悪いこともリークしていくいわゆる「嫌われ者学校記者」なのだが、その文章や人を引き付けるポップなどで嫌われず、むしろ好印象を持たれている生徒の一人だ。そんな誠也は当然のごとく問題児である先輩についてある程度の噂だったりを把握しているわけで。
その情報の中からこの人知ってるかも~という人を何人か絞ってピックアップしてくれた。そしてそのピックアップした先輩だったりの名前と学年とクラスを書いた紙を俺に渡しつつ、「面白くなったら教えてね」そう言って今日も特集ジャー!! そういって部活に戻っていった。まあ彼の場合サボりっていうより記事探し、っていう面のが強いんだろうな……
「えっと最初は……」
最初は三年の「船継 雅」先輩。最初は彼女にあたってみよう。えっと、この時間は……屋上で絵をかいてる、か……早速その足で屋上へ向かう。
ガチャ。屋上のカギは空いてた。ということは、先輩がいるということだ。そのままドアノブをひねり、屋上の扉を開く。すると――
「す、すげえ……」
屋上一面に広がるまさしく「異空間」。キャンパスが大量に置かれているその光景は、まさしく天才的なアーティストを目前にしている感じだった。
「誰? 一年生?」
少し大きめの声でそれでも筆を止めずに彼女は話しかけてきた。俺はそれに負けじと少し大きめの聞こえるくらいの声で返す。
「えっと、船継先輩ですか!?」
「ええ、そうよ! 何しに来たの? 見学?」
「ちょっとお話したいことが!」
見学ではないと知って一瞬筆の動きが止まったが、話したいことがあるといった後には筆を持つ手を下ろしており筆も絵具用に置いてあるバケツに浸していた。それを見てもう少し近くのが……と思い近づこうとしたのだが、全く気付かなかったがあたり一面、床までぎっしり置かれている絵に気づき、近づこうとする足を止めた。そしてそんな俺に気を使ってか、絵を屋上の扉の内側にある絵を乾かすための棚に何個か置き、座ったり歩いたりできるスペースを作るとそれでどうしたの? といって僕を隣に座らせた。
「その……結占先輩、ご存知ですか?」
「ああ、恵美について聞きに来たんだ」
「名前で……親しいんですか?」
「んん。なんだろうなあ、複雑なんだよね。あの子の事情が」
「え……?」
先輩はどこか寂しげな顔で言ってもいいのかわからない。そんな感じの少し暗めの話をし始めた。
「あの子が今みたいになったのって、ちょうど二年生の最後だったのよ」
「なにか……あったんですか?」
「うん。ちょうどその時期ってね? 三年の先輩とかは好きな後輩とかに悔いを残さないように告白するって風習がうちの学校にはあるの」
「そんな風習あったんだ……」
「それで、恵美も尊敬してた先輩に告白されて……それを受けたの」
「でも、それがあんなになった原因、ってことなんですか?」
「そう……その先輩があの子の人生をめちゃくちゃにしたの。そしてまだたぶん付き合ってはいると思う」
予想以上に後ろめたい理由があったことを俺はその日知った。話を聞いて分かったのは先輩が彼氏から過剰なまでのDVを受けていること。そして誰にも相談はしてないし、船継先輩も知ったのはほんとについ最近で、きっかけは体育の授業だったという。最初こそ結占先輩も必死に隠そうとしたけれど、船継先輩の「言わなきゃ警察」その一言ですべてを話してくれたという。
だけど……わからなかった。そこまでされているならなんで別れないんだろうと。そこまでされているのにどうして平然としていたんだろうと。
「あなたはまだ二年生でしょ?」
「はい」
「恋、したことある?」
「いえ、ないです……」
「そう……じゃあわからないのも無理はないかもね。実際、私もずっと悩んでるの。どうやって別れさせてあげればいいのかって」
だけど先輩は踏み出せない。踏み込んではいけないものだと思ったから。もし踏み込んで結占先輩をかえって苦しめることになってしまったら責任が取れないから。申し訳が立たないからと。そしてこうも付け加えた。
「好きならすべてを受け入れてしまう。それはきっと本人の中でしか折り合いはつけられない」と。やっぱりわからない……暴力だったりそういうものを平気で――
「誤解しないで上げて。あの子があんなに喧嘩をするようになったのはそれしかやり場のないストレスのためなの……」
「でもそれじゃあその彼氏さんと……」
「そうね……でも好きだから似てきちゃう。そういうものなのかもね」
わからない……俺には理解しきれない。先輩は何を思ってるのか。何を考えているのか。
船継先輩は突然誰かに電話をし始める。話が終わったのかと思ってその場を離れようとしたが、先輩からまだ終わってないからと引き留められた。
「君は……うん。私にできなくても君ならできるかも。そう見込んで、はい」
「え?」
携帯電話を渡される。そして画面を見ると――相手は結占先輩だった。電話越しに「もしもし?」と聞かれるが、言葉が出ない。返す言葉が思い浮かばない。もしもし。そう返せばいいだけだったのだが。
『? 雅? どうしたの?』
「あ、え、えっと……」
『……その声はさっき一緒に』
「えっと……はい……」
やっとひねり出した言葉も力がなく、少し震えていたのが俺にもわかる。船継先輩はそんな俺を見かねてか無駄に力がこもってしまった左腕を両掌で包んだ。安心、というのか。一人じゃないから。そう分かると少しは頭も冷静になり、言葉も出るようになる。
「先輩はその……」
『ん?』
「相談とか……しないんですか……?」
『相談? 雅にしてるけど……』
「そうじゃなくて……」
『えっと……まとまってないならまとまってから後でこの番号に――』
そういって先輩は自分の携帯の番号を教えてくれた。あとでまた落ち着いて話ができるようになればかけてきて、と。そして電話が切れると番号をメモできなかった俺に船継先輩が電話番号。そして注意書きを書いたメモを渡し、先輩はもう時間だから。と荷物をもって屋上を出ていった。
「注意……深入りしすぎないこと、か……」
この時はただの正義感の強いだけの行動だと思っていた。だけど次第にこの気持ちは抑えられないものに変わってゆく……気が付いたときにそれはもう遅すぎたほどに――
部活は帰宅部。年齢は16。あ、もうじき17か。彼女はいない。おまけにこの頭。モテるはずもない。もちろんモテるかどうかは関係ない。だってそもそも恋なんて知らない。したことがない。その感覚があるならば……きっと今頃……
「なあおいあれ……やばくね?」
「え、あれ三年の結占先輩?」
「お、おい、お前先生呼んで来いって!!」
騒ぎの中心にいたのは俺と同じく問題児の先輩だった。しかも頭もそこまでよくなく、よく暴力事件を起こしていた。
騒ぎは先生が仲裁に入ることで終わったが、何故か俺は担任からガンを飛ばされお前もか。そうため息をつきながら俺も生徒指導室へ無理やり連れていく。だけど今思えばこの連れていかれる瞬間の先輩の顔が……すべての始まりだったのかもしれない。
「結占!! お前また!!」
「あれは正当防衛だよ……」
「相手方の生徒に聞いたよ。いきなりとびかかってきたって」
「いきなりは違う!! ただあいつらがその……」
「とにかく。君はこれで4度目の停学だ。これが何を意味するか分かってるのか? 進路に大きな影響が……」
「あたし、将来とかどうでもいいし……」
ギスギスしたその場の空気感に俺は負けたのか、自然と口からごめんなさいと、謝っていた。
それから30分ほど説教を食らい俺たちは解放された。先輩は二週間の停学処分。俺は先生の誤解ってことで一日だけの停学処分になった。巻き添え停学……というより先生のありがた迷惑な気もするが。
「違うなら違うって言って抜ければよかったのに」
「いやまあ、先生たちの目がまじで怖かったし……」
「君、二年?」
「え? あ、はい。二年の志鶴蓮です」
「そう……巻き込んだのは謝る。でも、もう関わらないでね。きっと、あなたも後悔する」
そう言い残して先輩は自分のカバンを肩にかけなおし不貞腐れた感じに帰路に向かった。だけど去り際に彼女が落としたそれは……俺を不思議と彼女に引き合わせるきっかけになった気がした。
そのあと今日はもう先輩は帰ったが、俺は部活があったため部活にしっかりと出たが……この日は先輩のことでいろいろと考えてしまい、うまく部活に集中できなかった。勉強もダメ、部活もダメとは……いよいよ本格的に落ちぶれてきたなあ……
「なあ、蓮~」
「ん?」
「今日なんで呼び出されてたんだ~?」
「ああ、それか……うちの担任の個人的な恨み、みたいなもんじゃない?」
「へえ、そういうのあるんだな」
友人の城見沢誠也。俺を小さいときからずっと見てきている実績のある名フレンズだ。勉強ができないって言った時も、勉強をしたくないっていた時も、彼が俺にいつも言ってくれた言葉は「やらないならやらない。やるならやる。最終的に折れた方が負けだぜ」だった。要はさぼるなら根性見せろよ、ということだ。
だけど俺はそんな誠也にずっと感謝してる……だからこそなのかもしれない。彼に――相談したのは。
「なあ、誠也は三年の結占先輩って知ってる?」
「え? なになに、惚れた?」
「いや、惚れたかはまだわかんないけど……」
「ああ、お前もついに男子高校生らしく……お父さんうれしいよっ!!」
「お前が父親になった記憶はない! って、そうじゃなくて……先輩のことなんか知ってれば教えてほしいんだよ」
「ああなるほどねえ……んー、まあでも俺に聞くより知ってる人に聞けばいいんじゃね?」
「たとえば……?」
誠也は学年や学校の情報を掴んではいいことも悪いこともリークしていくいわゆる「嫌われ者学校記者」なのだが、その文章や人を引き付けるポップなどで嫌われず、むしろ好印象を持たれている生徒の一人だ。そんな誠也は当然のごとく問題児である先輩についてある程度の噂だったりを把握しているわけで。
その情報の中からこの人知ってるかも~という人を何人か絞ってピックアップしてくれた。そしてそのピックアップした先輩だったりの名前と学年とクラスを書いた紙を俺に渡しつつ、「面白くなったら教えてね」そう言って今日も特集ジャー!! そういって部活に戻っていった。まあ彼の場合サボりっていうより記事探し、っていう面のが強いんだろうな……
「えっと最初は……」
最初は三年の「船継 雅」先輩。最初は彼女にあたってみよう。えっと、この時間は……屋上で絵をかいてる、か……早速その足で屋上へ向かう。
ガチャ。屋上のカギは空いてた。ということは、先輩がいるということだ。そのままドアノブをひねり、屋上の扉を開く。すると――
「す、すげえ……」
屋上一面に広がるまさしく「異空間」。キャンパスが大量に置かれているその光景は、まさしく天才的なアーティストを目前にしている感じだった。
「誰? 一年生?」
少し大きめの声でそれでも筆を止めずに彼女は話しかけてきた。俺はそれに負けじと少し大きめの聞こえるくらいの声で返す。
「えっと、船継先輩ですか!?」
「ええ、そうよ! 何しに来たの? 見学?」
「ちょっとお話したいことが!」
見学ではないと知って一瞬筆の動きが止まったが、話したいことがあるといった後には筆を持つ手を下ろしており筆も絵具用に置いてあるバケツに浸していた。それを見てもう少し近くのが……と思い近づこうとしたのだが、全く気付かなかったがあたり一面、床までぎっしり置かれている絵に気づき、近づこうとする足を止めた。そしてそんな俺に気を使ってか、絵を屋上の扉の内側にある絵を乾かすための棚に何個か置き、座ったり歩いたりできるスペースを作るとそれでどうしたの? といって僕を隣に座らせた。
「その……結占先輩、ご存知ですか?」
「ああ、恵美について聞きに来たんだ」
「名前で……親しいんですか?」
「んん。なんだろうなあ、複雑なんだよね。あの子の事情が」
「え……?」
先輩はどこか寂しげな顔で言ってもいいのかわからない。そんな感じの少し暗めの話をし始めた。
「あの子が今みたいになったのって、ちょうど二年生の最後だったのよ」
「なにか……あったんですか?」
「うん。ちょうどその時期ってね? 三年の先輩とかは好きな後輩とかに悔いを残さないように告白するって風習がうちの学校にはあるの」
「そんな風習あったんだ……」
「それで、恵美も尊敬してた先輩に告白されて……それを受けたの」
「でも、それがあんなになった原因、ってことなんですか?」
「そう……その先輩があの子の人生をめちゃくちゃにしたの。そしてまだたぶん付き合ってはいると思う」
予想以上に後ろめたい理由があったことを俺はその日知った。話を聞いて分かったのは先輩が彼氏から過剰なまでのDVを受けていること。そして誰にも相談はしてないし、船継先輩も知ったのはほんとについ最近で、きっかけは体育の授業だったという。最初こそ結占先輩も必死に隠そうとしたけれど、船継先輩の「言わなきゃ警察」その一言ですべてを話してくれたという。
だけど……わからなかった。そこまでされているならなんで別れないんだろうと。そこまでされているのにどうして平然としていたんだろうと。
「あなたはまだ二年生でしょ?」
「はい」
「恋、したことある?」
「いえ、ないです……」
「そう……じゃあわからないのも無理はないかもね。実際、私もずっと悩んでるの。どうやって別れさせてあげればいいのかって」
だけど先輩は踏み出せない。踏み込んではいけないものだと思ったから。もし踏み込んで結占先輩をかえって苦しめることになってしまったら責任が取れないから。申し訳が立たないからと。そしてこうも付け加えた。
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「誤解しないで上げて。あの子があんなに喧嘩をするようになったのはそれしかやり場のないストレスのためなの……」
「でもそれじゃあその彼氏さんと……」
「そうね……でも好きだから似てきちゃう。そういうものなのかもね」
わからない……俺には理解しきれない。先輩は何を思ってるのか。何を考えているのか。
船継先輩は突然誰かに電話をし始める。話が終わったのかと思ってその場を離れようとしたが、先輩からまだ終わってないからと引き留められた。
「君は……うん。私にできなくても君ならできるかも。そう見込んで、はい」
「え?」
携帯電話を渡される。そして画面を見ると――相手は結占先輩だった。電話越しに「もしもし?」と聞かれるが、言葉が出ない。返す言葉が思い浮かばない。もしもし。そう返せばいいだけだったのだが。
『? 雅? どうしたの?』
「あ、え、えっと……」
『……その声はさっき一緒に』
「えっと……はい……」
やっとひねり出した言葉も力がなく、少し震えていたのが俺にもわかる。船継先輩はそんな俺を見かねてか無駄に力がこもってしまった左腕を両掌で包んだ。安心、というのか。一人じゃないから。そう分かると少しは頭も冷静になり、言葉も出るようになる。
「先輩はその……」
『ん?』
「相談とか……しないんですか……?」
『相談? 雅にしてるけど……』
「そうじゃなくて……」
『えっと……まとまってないならまとまってから後でこの番号に――』
そういって先輩は自分の携帯の番号を教えてくれた。あとでまた落ち着いて話ができるようになればかけてきて、と。そして電話が切れると番号をメモできなかった俺に船継先輩が電話番号。そして注意書きを書いたメモを渡し、先輩はもう時間だから。と荷物をもって屋上を出ていった。
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