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新たな出会い
帝国の罠
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ドジル帝国怪人の調査から五時間。未だに俺たちは何も掴めない。使わせて貰えない、が正しいだろう。だがーー
「来た!」
「どうしたんですか?」
「ドジル帝国の本拠地がわかった」
だが今俺は一人だ。何かをできるとは思わない。だが焔崎さんの目はこちらを見つめている。やれ、という事だろう。
「どうやって一人で?」
「頑張れ」
「えぇ……」
という冗談だといいつつ焔崎さんはひとつ端末を渡してきた。これはなんなのか?という事を聞く前に焔崎さんは説明を入れた。
「ブラックホール怪人を解析して作ったブラックホール装置だ。まあ、何をやればいいかわかるだろ?」
……つまりはこれを使って帝国を壊滅させろ、ということらしい。かなりめちゃくちゃなことを言ってるが自覚はあるんだろうか?
ヒーローの使い方が雑な司令部。イマイチ司令部を信用しきれないヒーロー……足並みは揃わないばかりか、最悪な方向へ向かっている気がする。このまま続けてもいいんだろうか?不安だけが残る。
「なあ、赤塚」
「は、はい?」
「お前はさぁ、悪ってなんだと思う?」
質問に込められた意味は分からない。だけど、ただならぬ何かを企んでいるのだけはわかった。ここで返答を間違えれば恐らく命がない、とまで考えた方がいいだろう。それくらい邪悪なんだ、この人の考え方は。
周りの人間にそれを諭す奴はいない。みな司令に考えを賛同し、尊重する人間が集まっているからだ。
「さて、そろそろ決断のときだぞ」
「やります」
だけど、ドジル帝国の驚異が無くなるというのは今の俺にとってはありがたい。早く片付けて向こうの世界に行きたいからな。戻ってやらないといけないことは沢山ある。そのためにも少し悪いが、ドジル帝国には消えてもらう。
帝国内を散策し、どこら辺にこの装置をセットするのか考えていた。
しばらくして、帝国襲撃の準備が整った。ブラックホール装置の最終調整も終わり、大帝国用最終決戦仕様の装備も整った。あとは襲撃だけである。……正直楽をしたい、というのは本音だ。帝国なんかに構わずのびのびやりたい。それも本音だ。だけど今はこうする他にない。
「10番の穴から行け」
「はい」
いつもの出撃用の発射穴。10番……ここまでずっと存在はしていたけど使われていなかった穴だ。まさか、ずっと使えたーーなんてことはーー辞めておこう。余計な詮索は自分の首を殺しかねない。余計な迷いは断ち切れ……断ち切れ……
「考え事か?」
「まあ、はい」
「ドジル帝国を倒すためにだけ集中しろ。今はそれだけでいい。終わったら自然とお前の疑念も晴れる」
内心お見通し、ということか……恐ろしいな、この人は。何から何まで最初からこの人の手のひらの上だったんだ……そう思うとどこかすこしだけ安心できた。だって今更後悔することはないから。……後悔?ドジル帝国を壊滅させることに後悔をしようとしていた……?
余計なことを考え始めてしまう。その前に出撃した。
穴を抜けると、地下だった。そこにはドジル帝国の雑兵がこれでもかと待ち構えていた。それらを全員炎で焼き払う。ブラックホール装置はいっかいきり。あまり時間をかけられない。幸いにもここは酸素で溢れかえっている。一気に爆発させる……!
敵施設は微動だにしなかった。恐らくこちらの能力に完璧に対応させた素材だろう。
「来た!」
「どうしたんですか?」
「ドジル帝国の本拠地がわかった」
だが今俺は一人だ。何かをできるとは思わない。だが焔崎さんの目はこちらを見つめている。やれ、という事だろう。
「どうやって一人で?」
「頑張れ」
「えぇ……」
という冗談だといいつつ焔崎さんはひとつ端末を渡してきた。これはなんなのか?という事を聞く前に焔崎さんは説明を入れた。
「ブラックホール怪人を解析して作ったブラックホール装置だ。まあ、何をやればいいかわかるだろ?」
……つまりはこれを使って帝国を壊滅させろ、ということらしい。かなりめちゃくちゃなことを言ってるが自覚はあるんだろうか?
ヒーローの使い方が雑な司令部。イマイチ司令部を信用しきれないヒーロー……足並みは揃わないばかりか、最悪な方向へ向かっている気がする。このまま続けてもいいんだろうか?不安だけが残る。
「なあ、赤塚」
「は、はい?」
「お前はさぁ、悪ってなんだと思う?」
質問に込められた意味は分からない。だけど、ただならぬ何かを企んでいるのだけはわかった。ここで返答を間違えれば恐らく命がない、とまで考えた方がいいだろう。それくらい邪悪なんだ、この人の考え方は。
周りの人間にそれを諭す奴はいない。みな司令に考えを賛同し、尊重する人間が集まっているからだ。
「さて、そろそろ決断のときだぞ」
「やります」
だけど、ドジル帝国の驚異が無くなるというのは今の俺にとってはありがたい。早く片付けて向こうの世界に行きたいからな。戻ってやらないといけないことは沢山ある。そのためにも少し悪いが、ドジル帝国には消えてもらう。
帝国内を散策し、どこら辺にこの装置をセットするのか考えていた。
しばらくして、帝国襲撃の準備が整った。ブラックホール装置の最終調整も終わり、大帝国用最終決戦仕様の装備も整った。あとは襲撃だけである。……正直楽をしたい、というのは本音だ。帝国なんかに構わずのびのびやりたい。それも本音だ。だけど今はこうする他にない。
「10番の穴から行け」
「はい」
いつもの出撃用の発射穴。10番……ここまでずっと存在はしていたけど使われていなかった穴だ。まさか、ずっと使えたーーなんてことはーー辞めておこう。余計な詮索は自分の首を殺しかねない。余計な迷いは断ち切れ……断ち切れ……
「考え事か?」
「まあ、はい」
「ドジル帝国を倒すためにだけ集中しろ。今はそれだけでいい。終わったら自然とお前の疑念も晴れる」
内心お見通し、ということか……恐ろしいな、この人は。何から何まで最初からこの人の手のひらの上だったんだ……そう思うとどこかすこしだけ安心できた。だって今更後悔することはないから。……後悔?ドジル帝国を壊滅させることに後悔をしようとしていた……?
余計なことを考え始めてしまう。その前に出撃した。
穴を抜けると、地下だった。そこにはドジル帝国の雑兵がこれでもかと待ち構えていた。それらを全員炎で焼き払う。ブラックホール装置はいっかいきり。あまり時間をかけられない。幸いにもここは酸素で溢れかえっている。一気に爆発させる……!
敵施設は微動だにしなかった。恐らくこちらの能力に完璧に対応させた素材だろう。
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