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「阿澄 璃織 サイドストーリー」
「計画が....上手くいかなかった。」
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まずい、まずいわ。一体どうしたら良いの???くそっ!!!!もう時間が無いのに....!!!!!
こう考えると私は、同じクラスで気の弱い女の子をいじめていたブスな女たちに、空き教室でこう怒鳴りつけていた。
「...それで、たける様の情報は何か分かったの??」
「それが....まだ、何も...。」
「...はぁ!?...何もないだと??...早くたける様につく忌々しい虫を潰さないと...もう時間が無いのよ!!...私が、何のためにあんたらみたいなブスと一緒にいてやってると思ってるの!?分かったら...とっとと、たける様の裏を探ってきなさい!!」
「...はっ、はい!!分かりました...阿澄様!!」
こう言って、使えない私の取り巻き達は、教室のドアを開けて駆け足で外に出て行った。
私は一人になった教室の中で、「くそっ、はやくしないと....尊とあの男がくっついて、私が考えていた計画が台無しになる。もう!!!!!どうしたら良いのよ!!!!!」と言って、近くにあった机を蹴り飛ばしたのだった。
この様子を尊の友達である音海 恋に見られていたなんてこと、気が立って周りに目を配れていなかった私は知らなかったのだった。
イライラしながら必死で考えた。どうすれば私は、小春ねぇちゃんに捨てられずに済む???私のお母さんが私を捨てたようなそんな悲しみ....酷い喪失感.....もう2度と私は味わいたくなかった。そう....だから必死で考えた。授業もそっちのけで必死に考えた。
そうして...考えついた。私が....尊の彼女になればどうなるのか???と...。私が尊の彼女になって、それをあの男に知ってもらえば....二人の仲を切り裂くことが出来て、小春ねぇちゃんが悲しい思いをしなくてもすむんじゃ....。
私はこの考えと共に行動を起こした。
そうして見事...尊の彼女という位置に立つことが出来たのだ。
小春ねぇちゃんも喜んでいた、あの男のどこがそんなにいいのかは分からないが....小春ねぇちゃんが喜んでくれるのが、単純に私は嬉しかった。だって、これだけで、私を側に置いておいてくれる理由になるでしょ???
だけど....私の計画は....穴が多すぎた。
尊の友達で、ずっと隣にいる音海 恋に、私の本性がばれていた。しかもかなり前からだ。私がこの事実を知ったのは、いつものように尊と一緒に学校の正門までの道を歩き、別れを告げ、暫く歩みを進めとき....背後から私の名前を呼ぶ声が聞こえた時だった。
「ねぇ、あずみん???いや、性悪女。ちょっと、お前に話がある。面貸せよ??」
「....あっ、音海 恋。....何???告白???」
「はっ、他の男と一緒にするなよ。俺はお前の事が、殺してやりたいくらいに憎いんだよ。」
「....。」
私は困ってしまった。だって、目の前に居た音海の目は、私に対して殺意すら感じさせるほど、脅威に満ちていたのだから。
私は恐怖を悟られないように、目の前の音海に軽く頷くと、音海に続いて学校近くにある河原へと向かった。
音海は河原に着くと、私と一定の距離をとって、こう口にした。
「ねぇ、阿澄さん???なんでさぁ、俺の大切な大切な人をこんな形で傷つけるわけ???意味分かんないんだけど...???尊が何したって言うんだよ????」
はぁ~、なるほど。私の考えていた作戦は、こいつにモロバレだったってことだ。私はこう理解し、目の前の音海を睨みつけると「う~ん、何でだと思う???人の不幸が好きだから!!!とかって言ったら、私のこと殺す???」ってね。だって、挑発したらさ???彼は乗ってきそうじゃ無い???
私のこんな浅はかな考えは、音海の次の一言で論破されることになる。
「はぁ、ねぇ阿澄さん???もうばれてるよ。」
「ばれている???あ~、私の正体ね、そう私は『違うだろ!!!!お前は、本当は尊に何の感情も抱いていないんだろ!???尊から愛情をひとつももらっていないのに、いつも平気そうな顔して....本当に人の事を好きになると、その人から向けられる目線....『おはよう』の一言でさえ、恐怖に感じるんだよ!!!!!自分はこの人にどう思われているのか....四六時中それしか考えられなくなるんだよ!!!!!それが普通なんだよ!!!!だからお前は、尊のことが本当は好きでも何でも無いんだ。どうでもいい奴だから、普通の顔をして....何の愛情が無くても、会話がなくても一緒にいられるんだ!!!」
正直、私は焦っていた。音海がそれらしいことを言ったからじゃ無い。言われたことが、全て当たっていたからだ。
私はぐっと唇を噛みしめ「勝手に決めつけないでよ!!!!!人の気も知らないで!!!!私は、私のやりたいことがあるの!!!!!あなたには関係ないじゃ無いのよ!!!!!どうしてそこまで言われなくちゃいけないのよ!!!!意味分かんないわよ!!!!!」と言って、音海を睨みつけていた。
すると音海は、ざっざっと地面を歩き、私と距離を詰めてきた。...同時に私は殴られると思い、とっさに目を固くつむった。大丈夫....中学生の時に散々殴られたんだもの。今更、パンチの一発なんて怖くもなんともないわ!!
私は腹をくくって、あと数秒で襲ってくるであろうお腹への衝撃に備えていた。だが、私に与えられたのは拳では無かった。.....温かいぬくもりだった。
「....お前....どういうつもりだ???放せよ!!!!!殺したいほど憎いんでしょ?????なんで抱きしめるなんてするのよ!!!!!」
私は音海に抱きしめられていた。なんで???それを聞きたいのは、私のほうなんだけど...。
そんな私の質問に、音海は腕の力を更に強めて「....なにがあったのか分からないけど....きっと俺と同じ悩みを抱えているんだろ????俺には分かる。....お前が何で悩んでいるのか、俺には全く分からない。そもそも、そんなにお前に興味なんて無いしな???....でも、お前さぁ....寂しいんだろ???...寂しいけど、友達に裏切られたことがあって、それ以来人を信じることが出来なくなって.....。それで、特定の友達は作らないようにしていた。それが一番安心できたから。だから尊にも声を掛けたんだよな??.....だからさ、これからはさぁ....お前が寂しいって思っている分、俺が一緒に居てやる。だから、もう尊に手を出さないでやってくれないか???お願いだから。俺の大事な....大切な人の悲しむ顔をこれ以上、見たくないんだ。お前にもそれは分かるだろ????お前が寂しい分....俺が友達として一緒にいてやる。だから、尊をこれ以上苦しめないでくれ。お願いだ。」と言ってきた。
私は....必死で抑えていた何かが胸の奥からあふれ出し、気がついたときには涙がとまらならなくなっていた。
もしかして....私は寂しかったのかな...。小春ねぇちゃんに捨てられることに恐怖を感じていたんじゃ無くて....独りに....孤独になりたくなかったから....だから、私はこんな事をしていた????.....そうじゃないと思いたい。思いたいのに....心がそれを許してくれない。心を制御することは、今の私にはどうやら不可能らしい。
私は目の前の音海から身を離すと、音海の顔を見て一言「ありがとう。」と言った。
すると音海は二カっと笑い、「なんだ、あずみんって笑うと可愛い顔してるんだな。いいじゃん、笑顔。その笑顔、大切にしなよ???」と言ってきた。
私は急に照れくさくなり、音海に次のように言うと、さっさと家に向かって歩き出した。
「音海...今、私猛烈に寂しいの。だから、一緒に家まで帰ってちょうだい!!!」
私のこの言葉に、きっと嫌な顔はしていないのだろう。その証拠に、音海から「了解、あずみん。お安いご用だよ!」という言葉が返ってきたのだから。
こう考えると私は、同じクラスで気の弱い女の子をいじめていたブスな女たちに、空き教室でこう怒鳴りつけていた。
「...それで、たける様の情報は何か分かったの??」
「それが....まだ、何も...。」
「...はぁ!?...何もないだと??...早くたける様につく忌々しい虫を潰さないと...もう時間が無いのよ!!...私が、何のためにあんたらみたいなブスと一緒にいてやってると思ってるの!?分かったら...とっとと、たける様の裏を探ってきなさい!!」
「...はっ、はい!!分かりました...阿澄様!!」
こう言って、使えない私の取り巻き達は、教室のドアを開けて駆け足で外に出て行った。
私は一人になった教室の中で、「くそっ、はやくしないと....尊とあの男がくっついて、私が考えていた計画が台無しになる。もう!!!!!どうしたら良いのよ!!!!!」と言って、近くにあった机を蹴り飛ばしたのだった。
この様子を尊の友達である音海 恋に見られていたなんてこと、気が立って周りに目を配れていなかった私は知らなかったのだった。
イライラしながら必死で考えた。どうすれば私は、小春ねぇちゃんに捨てられずに済む???私のお母さんが私を捨てたようなそんな悲しみ....酷い喪失感.....もう2度と私は味わいたくなかった。そう....だから必死で考えた。授業もそっちのけで必死に考えた。
そうして...考えついた。私が....尊の彼女になればどうなるのか???と...。私が尊の彼女になって、それをあの男に知ってもらえば....二人の仲を切り裂くことが出来て、小春ねぇちゃんが悲しい思いをしなくてもすむんじゃ....。
私はこの考えと共に行動を起こした。
そうして見事...尊の彼女という位置に立つことが出来たのだ。
小春ねぇちゃんも喜んでいた、あの男のどこがそんなにいいのかは分からないが....小春ねぇちゃんが喜んでくれるのが、単純に私は嬉しかった。だって、これだけで、私を側に置いておいてくれる理由になるでしょ???
だけど....私の計画は....穴が多すぎた。
尊の友達で、ずっと隣にいる音海 恋に、私の本性がばれていた。しかもかなり前からだ。私がこの事実を知ったのは、いつものように尊と一緒に学校の正門までの道を歩き、別れを告げ、暫く歩みを進めとき....背後から私の名前を呼ぶ声が聞こえた時だった。
「ねぇ、あずみん???いや、性悪女。ちょっと、お前に話がある。面貸せよ??」
「....あっ、音海 恋。....何???告白???」
「はっ、他の男と一緒にするなよ。俺はお前の事が、殺してやりたいくらいに憎いんだよ。」
「....。」
私は困ってしまった。だって、目の前に居た音海の目は、私に対して殺意すら感じさせるほど、脅威に満ちていたのだから。
私は恐怖を悟られないように、目の前の音海に軽く頷くと、音海に続いて学校近くにある河原へと向かった。
音海は河原に着くと、私と一定の距離をとって、こう口にした。
「ねぇ、阿澄さん???なんでさぁ、俺の大切な大切な人をこんな形で傷つけるわけ???意味分かんないんだけど...???尊が何したって言うんだよ????」
はぁ~、なるほど。私の考えていた作戦は、こいつにモロバレだったってことだ。私はこう理解し、目の前の音海を睨みつけると「う~ん、何でだと思う???人の不幸が好きだから!!!とかって言ったら、私のこと殺す???」ってね。だって、挑発したらさ???彼は乗ってきそうじゃ無い???
私のこんな浅はかな考えは、音海の次の一言で論破されることになる。
「はぁ、ねぇ阿澄さん???もうばれてるよ。」
「ばれている???あ~、私の正体ね、そう私は『違うだろ!!!!お前は、本当は尊に何の感情も抱いていないんだろ!???尊から愛情をひとつももらっていないのに、いつも平気そうな顔して....本当に人の事を好きになると、その人から向けられる目線....『おはよう』の一言でさえ、恐怖に感じるんだよ!!!!!自分はこの人にどう思われているのか....四六時中それしか考えられなくなるんだよ!!!!!それが普通なんだよ!!!!だからお前は、尊のことが本当は好きでも何でも無いんだ。どうでもいい奴だから、普通の顔をして....何の愛情が無くても、会話がなくても一緒にいられるんだ!!!」
正直、私は焦っていた。音海がそれらしいことを言ったからじゃ無い。言われたことが、全て当たっていたからだ。
私はぐっと唇を噛みしめ「勝手に決めつけないでよ!!!!!人の気も知らないで!!!!私は、私のやりたいことがあるの!!!!!あなたには関係ないじゃ無いのよ!!!!!どうしてそこまで言われなくちゃいけないのよ!!!!意味分かんないわよ!!!!!」と言って、音海を睨みつけていた。
すると音海は、ざっざっと地面を歩き、私と距離を詰めてきた。...同時に私は殴られると思い、とっさに目を固くつむった。大丈夫....中学生の時に散々殴られたんだもの。今更、パンチの一発なんて怖くもなんともないわ!!
私は腹をくくって、あと数秒で襲ってくるであろうお腹への衝撃に備えていた。だが、私に与えられたのは拳では無かった。.....温かいぬくもりだった。
「....お前....どういうつもりだ???放せよ!!!!!殺したいほど憎いんでしょ?????なんで抱きしめるなんてするのよ!!!!!」
私は音海に抱きしめられていた。なんで???それを聞きたいのは、私のほうなんだけど...。
そんな私の質問に、音海は腕の力を更に強めて「....なにがあったのか分からないけど....きっと俺と同じ悩みを抱えているんだろ????俺には分かる。....お前が何で悩んでいるのか、俺には全く分からない。そもそも、そんなにお前に興味なんて無いしな???....でも、お前さぁ....寂しいんだろ???...寂しいけど、友達に裏切られたことがあって、それ以来人を信じることが出来なくなって.....。それで、特定の友達は作らないようにしていた。それが一番安心できたから。だから尊にも声を掛けたんだよな??.....だからさ、これからはさぁ....お前が寂しいって思っている分、俺が一緒に居てやる。だから、もう尊に手を出さないでやってくれないか???お願いだから。俺の大事な....大切な人の悲しむ顔をこれ以上、見たくないんだ。お前にもそれは分かるだろ????お前が寂しい分....俺が友達として一緒にいてやる。だから、尊をこれ以上苦しめないでくれ。お願いだ。」と言ってきた。
私は....必死で抑えていた何かが胸の奥からあふれ出し、気がついたときには涙がとまらならなくなっていた。
もしかして....私は寂しかったのかな...。小春ねぇちゃんに捨てられることに恐怖を感じていたんじゃ無くて....独りに....孤独になりたくなかったから....だから、私はこんな事をしていた????.....そうじゃないと思いたい。思いたいのに....心がそれを許してくれない。心を制御することは、今の私にはどうやら不可能らしい。
私は目の前の音海から身を離すと、音海の顔を見て一言「ありがとう。」と言った。
すると音海は二カっと笑い、「なんだ、あずみんって笑うと可愛い顔してるんだな。いいじゃん、笑顔。その笑顔、大切にしなよ???」と言ってきた。
私は急に照れくさくなり、音海に次のように言うと、さっさと家に向かって歩き出した。
「音海...今、私猛烈に寂しいの。だから、一緒に家まで帰ってちょうだい!!!」
私のこの言葉に、きっと嫌な顔はしていないのだろう。その証拠に、音海から「了解、あずみん。お安いご用だよ!」という言葉が返ってきたのだから。
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