俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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「阿澄 璃織 サイドストーリー」

「俺の本当の真実。」

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 私は酷く緊張していた。いつも夜になると、私の家を訪れては三十分ほどだけだけど、私と他愛も無い会話をしてくれる。恋に申し訳なさを感じながら、気が付けば私はこう言っていた。

「ねぇ、恋???ちょっと話したいことがあるんだけど....。いいかな???」

 そんな私の緊張をよそに恋は私を見つめ、「ん???どうした、あずみ???」と言って、私を振り返ってきた。

 私は何度か深呼吸をすると恋に対してこう言った。

 「あのね....恋。実はね....あなたにずっと隠してたことがあるの....。聞いてくれる???」

 私のこの言葉に恋は首をかしげ「ん???本当どうしたんだよ????どこか具合でも悪いのか????」と言って、私のおでこに手を伸ばしてきた。

 そんな恋の腕をぱしっと掴むと、私はぐっと決意を固め「恋。あなたにだけは本当のこと言うね???私のお姉ちゃんも知らないこと。....私は....実はね.....元々、男なんだ。でも、心は女の子で....ずっと隠して生きてきた。でも中学の時は声変わりのせいとかで....クラスで酷いいじめに遭って....勿論、学校は男の子っていうことで入学したけど、先生達は分かってくれた。だから俺の事を女の子として扱ってくれたんだ。....ごめん、恋。ずっと言おう言おうって思ってたんだけど....怖くて....言えなかった。」と言い、恋の顔を見るのが怖かったため、私はずっと俯いていた。

 すると恋は私の頭を乱暴に撫でて「あはは!!そうだったんだな。俺、今の今まで全然気付かなかった!!!凄いな!!!どっからどう見ても女の子じゃん!!!!」と言って、微笑んでくれたんだ。

 私はとっさに顔を上げ、恋を見つめると「嫌がったり、気持ち悪がったりしないの???私....もともと男の子だし....ひげだってすね毛だって...。」と言った私のほっぺたを片手で触ると、恋はクスクス笑いながら「嫌がるなんて....それが本当のお前....あずみだろ???それに、お前のその努力は尊敬するよ!!!」と言ってくれたんだ。

 私は目の中に涙が溜まって....でも、それを恋にからかわれたくなくて、とっさに「....恋。恋って、キザだな。」と言って、家の中に入った。

 ドアが閉まる直前、恋が「おい、キザって何だよ!!!!!言い逃げとか!!!!お前なぁ、明日覚えてろよ!!!!!」と言っていたのを、クスリと微笑みながら、聞いていた私のことは恋が知ることはないのだろう。

 恋....君が好き。でも、この気持ちは、生涯私だけのもの。恋には....もっとすてきな恋が見つかると思うから。ううん、素敵な恋をしてほしい。あなたの名前のように....それが、いつも笑顔で優しいあなたにふさわしいと、私は心からそう思うもの。

                                               
                                                                END
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