俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺...取り返しのつかないことを...。(都和目線です。)

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 ...んっ...んん...??...っ...あれ...俺...いつの間にか寝てたのかな...。
 確か...久我さんに相談したいことがあるって嘘つかれて...居酒屋行って...久我さんが酔いつぶれちゃって...近くのホテルにタクシーで送ってもらったあとに部屋に入って...部屋からでようとして...それを止められて......。...おかしい...ここから先の記憶が無い...。
 そう思い、閉じていた目を開いた瞬間...見覚えのない天井が目に入って...途端に俺は飛び起きた...。
 そしてあたりを見渡すと...俺の隣に眠っていたのは...久我さんだった...。
 ...俺は、信じられなかった...だが、すぐに正気を取り戻すと、急いでベッドから出て乱れた服を整えると、ホテルの人に呼んでもらったタクシーに乗り、俺の家に帰ってきた...。
 俺は、玄関に入った瞬間...さっきの光景を思い出して...床に膝から倒れるのと同時に戻してしまった...。
 「...ハァ...ハァ...ウッ...気持ち悪ッ...ウッ!!」
 俺は、肩で息をしながら...吐いては荒い呼吸をして...また吐いてを繰り返していた...。

 暫くして...落ち着いた俺は、立ち上がろうと手足に力を入れたが...ガタガタと小刻みに震えて...上手く力が入らず、俺は、玄関に入ってすぐの壁に身体を預けるようにして座り込んだ...。
「...俺は...俺は、きっと夢を見ているんだ...きっとそうだ...だって...あんなの...もし間違いがあったら...たけるにどう説明したらいいんだよ...。(汗)」
 俺は...帰ってきてからずっとパニックに陥(おちい)っていた。
 ...だって...俺は、尊を裏切るようなことした上に...ひどく傷つけたから...毎日尊の事を一番に考えて生きているなんて言ったくせに...真っ向から裏切ってしまった...もう、尊に合わせる顔がない...。

 俺は、どれほどその場でじっとしていただろうか...尊の部屋のドアが開いて尊が出てきた時に、俺は、尊の名前を呼んでいた...。
「...たっ...たける!!」
 俺が、尊の名前を呼ぶと尊は俺の方を見て
「...おかえり。」
 ただ一言だけこう言うとリビングの方に行き、すぐに戻ってきたかと思うと俺の近くまで来て
「...ごめん...ちょっとどいてくれないかな...俺...今から出かけるから...。」
 俺は、尊の顔を見あげていたが、尊は、真顔で俺と目を合わせることさえしてくれなかった...。
 俺は咄嗟に尊の手を掴むと
「...ごめん...たける...。...一昨日約束したばかりなのに...もう裏切るような真似して...でも、昨日は...ちょっと上城の家にいて...。」
と必死に尊に話したんだ...。
 だけど、尊は、俺のすべてを知っていたんだ...。
 俺を、汚いものでも見るような目で見下ろす尊は
「...なにに対しての謝罪なの...?...俺に嘘をついたこと??...俺との約束を守らなかったこと??...それとも女の人と一夜を明かしたこと??(怒) ...やましい事が無いのなら、嘘つかなくてもいいよね...??...もう...俺たちは...終わりだね...兄貴は、あの女の人と仲良く暮らせばいい...。」
 そう言って出ていこうとした。
 俺は、咄嗟に力が入らないながらも膝で仁王立ちして尊のことを抱きしめた。
 俺は、涙を流しながら
「...たける。...その...お前を裏切るようなことして...今更許されるとも思ってない...だけど...俺には尊しかいないんだ...たけるじゃないとダメなんだ...お願いだから...たける...俺を捨てないでくれ...お前がいないと...俺は...生きていけない...(泣)」
 と言って必死に尊に抱きつくと尊は
「...もう...聞き飽きたよ...今の兄貴の言葉は...何にも...信じることが出来ない...分かったら...とっとと俺を掴んでいるこの汚い腕を...早くどけてくれないかな...?(怒)」
 こう言って、俺のことを突き飛ばすと尊は、玄関を出ていった。
 残された俺は...突き飛ばされた勢いで、口を切ってしまい、血をポタポタと唇からたらしながら...床を何度も何度も殴った...手をアザができるまで...。
床を殴りながら俺は
「...ちくしょ...ちくしょ...ちくしょう!!」
と言った後に、力なく地面に座り込むと
「俺は...取り返しのつかないことをしてしまった...もう...たけるは...俺のところには...戻ってこない...全部...全部、俺が悪いんだ...俺が...尊のそばに居たから...尊を幸せにしてあげたいって思っていたのに...尊を幸せにするどころか...どんどん不幸にしていってる...尊を毎回...泣かせている...今も、俺のせいでたけるは...たけるは、もう...戻ってこない...俺が...俺がいたから...俺がいなくなりさえすれば...。」
 俺は、もう正気を失っていた...。
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