俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺は...生きている意味ありますか...?(都和目線です。)

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 ...俺は、正気を完全に失っていた。
 気づくと...俺は、ベランダにいたんだ。
 壁を支えに立つと...手すりに足をかけてよじ登り、落ちようとした瞬間...俺と...尊の思い出の曲がなったんだ...着メロだった...。
 俺は、この曲を聴いて少しだけ我に返り、途端に急いでベランダの中に戻った。
 電話の相手は、上城だった...。
 俺は...きっと死ぬ気はなかったんだ...誰か...助けて欲しいって思っていたんだと思う...だから、電話に出たんだ...。

「...もしもし...。」
俺が、力なく声を発すると上城は
「...あっ!都和さん!!...良かった~!!!...今日会社に来ないから心配したんですよ!!(汗)...何かあったのなら話聞きますから...と言うのは、ついでで!!...都和さん...明日、プレゼンだって分かっているんすか!!?(汗) 俺は、もう明日のプレゼンただでさえ緊張しているのに...都和さん来ないとかなったらまじで出来ないっす...(汗)...ということで、俺が会社終わってからなので...6時半にいつものバーで話し合いましょ??(笑)...あっ...言っときますけど、今回...都和さんに拒否権は無いので...絶対に来てくださいね??...来なかったら...俺...会社辞めるんで...。」
 と言って一方的に電話を切られてしまった...。
 仕方なく俺は、動けないながらも何とか立ち上がり身支度を整えだした...。

 例のバーにつくと、上城はまだ来ていなかった...。
 仕方ないから俺は、カウンターに座り定番の飲み物を頼んだ...。
 無言の俺にバーテンダーのおじさんは
「...お客さん...なんだか元気ないね...??...もしかして何かあった...??」
と言っておもむろに聞いてきた...。
 俺は、誰でもいいから話を聞いて欲しくて...気づいたら勝手に口が開いていた...。
「...おじさん...俺どうしよう...とっても大切な...大切な...俺の生きる源にもなっていた子を裏切るような真似して傷つけてしまったんだ...もう...仲直りなんて出来ないし...取り返しのつかないことしちゃったんだ...でも、俺はそいつがいないと生きていけない...そいつじゃないとダメなんだ...なぁ、マスターどうすれば...俺は...また...その子と仲直りできるのかな...??(泣)」
 俺は弱っている気持ちを自らなだめるようにマスターに話していた。
 するとマスターは...
「...それは...俺じゃなくて...お客さんの後ろにいる方が、一番分かってくれるんじゃないのかな??(笑)」
と言って俺の後ろをじっと見つめていた。
 と同時に
「...おっ!!マスター、いいこと言うね~!!!(笑)だいせ~かい!!!!(笑)」
と言って俺の肩に両手をバンッと置いて前後に軽く揺すったこいつは...上城だった...。
 上城は、俺をいじるのも早々に俺の隣の席に座ると飲み物を注文した。
席に着くなり上城は
「...すみません...都和さん...俺から誘っておいて遅れてしまって...。...それで...さっきマスターに話していたこと...あれって、たけるくんでしょ??」
って言って俺を見てきた。
 俺は、動揺を隠しきれず...咄嗟に上城の方をバッと見た。
 すると上城は、ニヤッと笑って
「...ほんと...都和さんって...分かりやすいですね...(笑)...と言うより、いつもなら俺が弟さんのこと名前で呼んだら、『破廉恥(はれんち)がうつったらどうするんだ!!(怒)』って言って怒るのに...今日は...やけに弱っちゃっているじゃないっすか...。」
って言ってマスターが出してくれたお酒をひと口煽って...それでも黙っている俺に対して、上城は俺の耳元に口を寄せると
「...俺...こんなに弱っている都和さん見たこと無くて...内心...俺って男でも...抱けるんじゃないのかな...??って考えてるんすけど...まじで...襲っちゃってもいいですか...??(笑)」
 なんて言って、耳にふぅっと息をかけてきた...。
 俺は、咄嗟に反応して
「...おまっ...何言ってんだよ!!(怒)しかも...今...今のは...上司にすることじゃないだろ!?(怒)」
と顔を真っ赤にして上城を睨むと
「...良かった...。...やっと俺と喋ってくれた...。(笑)...都和さんは、完璧すぎるんですよ...会社では、いいですけど...せめて友人の俺の前だけは、力抜いて...リラックスした本当の都和さんを...見せてほしいです...。(笑)」
と言って照れくさそうに微笑んできた。
 俺は...なんでか知らないが...涙が溢れて止まらなかった...だって、上城が...こんなに優しくて...暖かくて...冷めた俺の心を...溶かしてくれたから...。
 そんな俺を見て上城は
「...えっ!?...ちょっ...都和さん!??(汗)...大丈夫ですか!??...俺...また何か悪い事言っちゃった感じすか!??(汗)...うーん...困っている都和さんのため...ここは...俺の大事な......オムたんを!!(泣)」
と言って自分の鞄をあさると、中から取り出したのは...いつぞやのオムたんマスコットだった...しかも、上城は泣きながら俺にオムたんを差し出してきていたのだ...。
 俺は、たまらずに吹き出してしまった。
「...ぶっ...あはははははっ!!(笑)」
そんな俺を見て、一瞬目を見開いた上城だったが、すぐに俺を睨みつけると
「...ちょっ...なんで笑うんすか!??俺は、命とも言えるオムたんを都和さんだからと思って渡しているのに...!!(怒)」
と言ってムスッとしていたので、俺は隣に座る上城の頭を撫でて
「...あぁ、ごめんな...上城は、真剣なんだもんな...。...ありがとう、オムたんのお陰で元気でたよ...!...そうだよな...うん...ありがとう上城...俺もオムたんマスコット買おうかな...?(笑)」
なんて言うと、上城は
「...!?...あたま...って...えっ!?...都和さん!!オムたんの良さをやっとわかってくれたんすね!!!(笑)頑張っておすすめしてきた甲斐があったってもんすね!!!!(笑)」
と言って上城は、俺に勢いよく抱きついてきた。
 俺は、びっくりしたが上城を抱きとめながら「...ありがとう...上城。」と言った。

 俺はその後、上城に尊と喧嘩してしまったことを、俺たちの本当の関係は、バレないように相談した...。
 すると上城は、納得したように頷き
「...都和さん...それ...多分...反抗期っすね...。...ほら、都和さんってどちらかと言うとお母さん感あるじゃないですか...だから、反抗してみたくなっているんだと思うっすよ??(笑)...可愛いもんじゃないですか!!!(笑)」
なんて笑いながらいうものだから俺も、初めはなんだかなぁ...という感じで納得していなかったのだが、上城の話していることを聞いているうちに何となく納得出来ていた。
「...そっか...反抗期か...それならいいけど...とりあえず一度話し合って聞いてみようと思う...!」
と言って上城を見ると上城は
「...うんうん!!...きっとたけるくんも分かってくれると思うっすよ!!(笑)...となれば、今日はパーっと飲みましょう!!」
と言ってきた。...俺は上城を見ると
「...あぁ、そうだな...っとその前に...お前...俺の弟のこと気安く名前で呼ぶなって何回言えばわかるんだ!!!(怒)...よし、表出ろ...お前の身体に教え込んでやる...俺のこの拳を使って...。(笑)」
と言って上城に気味の悪い笑みを向けた。
 すると上城は
「...いや~、まぁ、ノリで??(笑)」
なんて言ってくるから俺はたまらずに上城の頭に拳を振り下ろしていた...。
 その後、上城が痛みのあまり泣き叫んだのは、言うまでもない...。(笑)
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