ファンタジア!!

日向 ずい

文字の大きさ
77 / 102
第7章「紫翠との熾烈な戦い。」

「本当の真実は...残酷。」

しおりを挟む
 俺は長い長い眠りから目を覚ました。

 俺が目を覚ましたのは...日本の......俺の思い出の公園にあるベンチの上だった...。

「ん???...俺は...生きてる...。いやっ...なんで!???えっ!??...何故だ...????...まてまてまてまて...よーし、よーく考えよう。...お金は大事だよーって...これは、テレビでやってたCM......(知ってる人いんのか??)。こんなことして、遊んでいる場合じゃないよな。...まず...俺は、コンシリエールにマフィアの名を捨てると言って...。それで、誤ってコンシリエールに顔を見せてしまって......。えっと...俺はその後、眠らされて......はるばる日本に帰ってきました。完.........じゃないだろ!!!!...なんで!??なんで...俺生きてんの!???...って...あれ...胸ポケットになにか挟まってる。」

 独りで暴れていた俺は、ふと自身が着ているスーツの懐に目を向けた。

 するとそこには、手紙のような紙が挟み込まれていた。

 俺は、ちょーっと痛む頭を気にしながら、懐には入れてある紙を手に取り開くと、中に書いてある文章に目を通した。

 文章にはこう書かれていた...。

~三津 文也(サン)へ~

 お前の気持ちはよぉ~く分かった。
 じゃがな、人に頼み事をしとる際に頭をあげるのは、ルール違反じゃ!!!
 きちっとせんか!!!キチッと!!もういい大人じゃろ!!!
 そんなことはどうでも良いのじゃ。
 実はな...お前の父親から、お前がマフィアを辞めたいと言った時に、言えと言われていた言葉があってな。手紙で悪いんじゃが、今は亡き...お前の父親の言葉だ。しかと受け取るがよい。

「...文也。...お前に楯を突かれたときに、俺は考えたよ。...人の命の重さを。俺は、人を殺める時に...いつも...『お前を殺すことで、世界がいい方向に進むんだ。悪く思わないでくれ。』と心で言いながら、他人を殺めてきた。敵も味方も両方だ。......でも、あの時...文也の世話を頼んでいた山座頭は...あの事件の前日に、自ら...俺の元に来て...『お前の事を...好きになってしまったと...。この気持ちを抑えることが出来ないから、殺して欲しいと...。俺の息子で...次期ボスになるお前を好きになることは...決して許されることではないと......。』アイツの口がこう発したんだ。だから、俺は......山座頭を殺した。山座頭を、俺自らの手で殺めた。だが、結果としてそれは...文也からの、激しい拒絶と反抗を誘発することに繋がってしまった...。俺は...何度も後悔したよ。もし、山座頭を許し...今も生かしていたら...文也から、嫌われることは無かったんじゃないかって...。でも、それは所詮、綺麗事だよな。......分かっている、俺も、親父の事をよく思っていなかったから分かるよ。お前は...俺の全てが嫌いで...全てが憎かったんだろう??...知ってたさ。だから、いつも山座頭に愚痴を言っていたんだろう???...悲しかったが、自業自得だ。全て、俺が招いたことだ。お前は...悪くない。面と向かって謝罪できない弱虫な父親で悪かった。今、謝罪させて欲しい。あの時は、すまなかった。お前の人生全てを俺が奪ってしまって...本当にすまなかった。お前は、自分が弱いと言っていたが、それは違う。お前は、あの頃から強かったよ。いつも一人で頑張って...涙なんて見せたりしない。...とても強い子だった。......これは、マフィアのボスとしてじゃない。...お前の父親としての言葉だ。...これだけじゃ、まだお前に伝えたい事の1割にも達していない。...お前に彼女は居るのかとか...お前の将来の夢とか...お前の趣味とか......どんな物が好きなのかとか......聞きたいことがありすぎて.........でも、結局お前から直接聞くことは叶わなかった...。...だから、最後に一言だけ言わせて欲しい。文也.........俺の...息子に生まれてきてくれてありがとう...。お前は、いつも...いつまでも俺の自慢の息子だ。クソっ...なんでか、涙が溢れてきそうだ。......マフィアが泣くなんてみっともない。...すまないが、この辺りで終わるとしよう...三津...文也。...俺の最愛の息子よ...永遠に愛している。...俺がいなくなったあとは...好きなように人生を歩みなさい。自分の人生は、自分で決めていいんだ。誰の人生でもない、お前の人生なのだから。お前の親父......三津...文葉(ふみよ)より。」

 以上だ...。

 サン...この文とともに、この名前を剥奪し...お前を永久に...マフィアからの追放を命じる。

 今までご苦労だった...。私のボスであるお前の父親の言葉の通り......これからは、自由に生きろ。...文也よ。

ボスより
p.s...すまんの、わしの名前は...永久に教えることは出来んのじゃ。

手紙を読み終わった俺は...涙が止まらなかった...。

 手紙の裏を確認すると、そこには......父親のお墓の場所が記載されていた。

 クソっ、こんなの...ずりぃよ...。

 俺が.........どれだけお前を恨んでいたか...。でも、その恨みは......結局...俺の独りよがり。オヤジは...俺の気持ちを分かってくれていたし...俺と向き合おうとしてくれていたわけだ。

 俺は.........馬鹿だったから...そこまで理解できないんだよ。クソがっ...オヤジ...ンなの、はっきり言わねぇとわからねぇだろ!!!!

 くそっ、ムカつくから墓についてから直接話してやる...!!

 待ってろよ...オヤジ...いや、文葉さん。

 それから俺は、痛んでいた頭のことはすっかり忘れ、俺の父親の墓がある青森まで、直行便の飛行機で飛ぶと...散々墓の前で悪態をついて、でも最後は墓を抱きしめ、キスをひとつ落とすと...道中で買った黄色の薔薇を10本...似合わねぇけど...でも、俺の気持ちも受け取って欲しいって思ったから...あげたよ。

 墓は...俺の部下が、定期的に清掃しに訪れてくれていたようで...とても綺麗だった。

 オヤジはなんだかんだ言って......組織のやつに大切にされてきたんだよな。

 良かったよ。

 オヤジ......ありがとな。

 俺は......雅の事も...俺の夢とも真剣に向き合ってこれから生きていくことにするよ。

 もう逃げないから...なぁ...オヤジ??

 だから...だからさ??...俺の事を...天国から見ててくれよな。

 ...はぁ、我ながら臭いセリフ......なんか寒くなってきたな。...帰るか。

 俺は、鼻をすすりながら、親父と山座頭さんの墓を後にしたのだった。

 じゃあな...オヤジ...また来る。

 それと......その横にある小さなお墓に入ってる......山座頭さんにも、紫色の薔薇を5本供えてあげた。

 山座頭さん......俺は山座頭さんのこと、実のお父さんのように大好きだったよ。

 これからは、オヤジに天国で可愛がってもらえよな??(笑)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...