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第15号 「お別れしないか...??」
ふざけるな!!!
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琉架は、病院を出ると行く宛もなく、ただぼうっと歩いていた。しばらく歩くと前方から、血相を変えて、寝癖もそのままに走ってくる...坂沢の姿が見えた。
琉架は、特に気にした様子もなく、何食わぬ顔で坂沢の方に向かって歩き続けた。
「...あれ???琉架!????...良かった!!心配したんだぞ!!朝起きたらいないし...机の上には置き手紙があるし...!!!」
坂沢は、琉架の存在に気づき、距離を詰めた。
琉架の前まで来ると、ほっとしたような表情で、琉架の事をじっと見つめていた。
そんな坂沢に対して、琉架は力なく、目の前の坂沢に身を預けたのだった。
「...っ!???えっ...琉架????ちょっ!!いつもなら、俺が抱きつこうとしたら、咄嗟に避けて拒むくせに...。一体どうしちまったんだよ!??」
琉架の突然の行動に、坂沢はビックリして、琉架を自分から引き離そうとしたが、琉架はがっちりと坂沢の腹に抱きついているせいか、びくともしなかった。
坂沢は、仕方なく琉架が落ち着くまで、道の端に寄り、琉架の背中を一定のリズムで、ポンポンと叩いていた。
そうして、やっと琉架が坂沢から離れたのは、それからだいぶ時が経ったあとである。
坂沢は、目の前に立ち尽くしている琉架に向かって、静かにこう声をかけた。
「...あー...何があったのか知らないが...一旦、俺の家に戻ろうぜ...???(汗)」
「...。」
坂沢の質問に言葉ではなく、態度で答えた琉架を連れて坂沢は、いつかの時と同じようにさっさと歩き出した。
坂沢の家に着き部屋に入ると、琉架の置き手紙がそのままにされており、坂沢が急いで部屋を出て琉架のところに向かったことが、よく分かった。
ベッドに腰を下ろした坂沢は、昨日と同じように、部屋に入るドアの、すぐ横にある壁に背を預けて座っていた琉架に対してこう言った。
「...それで...せっかく亜衣希さん??だっけ...その人が助かったのに...なんでそんなに思い詰めた顔してんだよ...??」
「...俺...亜衣希さんに拒絶されちゃった...。亜衣希さんは、確かに俺のことを...必死に何度も名前を呼んでいた。でもね...。亜衣希さんは...俺の顔を見て...俺が琉架じゃない...。他の人だって言い出して...『それは...辛かったな...。要するに...俗に言う記憶喪失ってやつだろ???...まぁ、でもずっと続くわけじゃないって言うし...大丈夫だって!!(汗)』...いいや...大丈夫じゃないんだ...。」
琉架の淡々とした話し方に、少し妙な引っ掛かりを覚えていた坂沢だったが、琉架の話を聞いて、亜衣希さんが単なる記憶喪失と思い、琉架のことを咄嗟に慰めようとした。
だが、琉架はそんな坂沢に小さく首を振ると、悔しそうに拳を握り再び話を再開させた。
「...一生続くんだよ...。亜衣希さんの拒絶は...。『それは一体...。(汗)だって、亜衣希さんは記憶喪失ってだけなんだろ???...だったら、いずれは記憶がもどるんじゃ...。』...亜衣希さんは、記憶喪失なんかじゃない...。亜衣希さんの記憶は、しっかりと脳に残っているんだよ。でも...亜衣希さんは、激しく俺を拒絶した...。」
琉架の言葉の意味がわからず、坂沢は首を傾げて、必死に言葉を理解しようと、何度も琉架の紡いだ言葉を頭の中で復唱していた。
「...それは...でも、それじゃあ、亜衣希さんは...記憶が残っているから、当然琉架と過ごした日々だって、記憶にあるはずなのに、琉架を琉架だとわかった上で拒んだってことになるだろ...???それは有り得ないだろ...!!!?(汗)」
「いいや、有り得るし...そういう事だよ...。」
坂沢は琉架の言葉を聞き、信じられないと言った顔で、そのまま話を続けた。
「それでも、仮に琉架の事を忘れたフリをしたからって、それが亜衣希さんに、なんの得になるんだよ...。『...分からない...。分からないから...ずっと悩んでいるんだろ...???』アイツ...何でだよ...。俺が身を引いてやろうって...諦めてやろうって決めた矢先に...あとからノコノコ現れたくせに...ふざけるな!!!!(怒)」
こう言う坂沢は、いつもの温厚な坂沢ではなく、珍しく声を荒らげて険しい表情をしていた。そうして坂沢は何を思ったのか、その場に立ち上がると、荷物をひっつかんで、足早に部屋を出ていったのだった。
独り部屋に残された琉架は、坂沢がなぜ怒っていたのか...。いきなり立ち上がり、一体どこに行ったのか??などの疑問を、頭の中でぐるぐると回転させていた。
「坂沢...???...お前一体どこに...。」
琉架は、特に気にした様子もなく、何食わぬ顔で坂沢の方に向かって歩き続けた。
「...あれ???琉架!????...良かった!!心配したんだぞ!!朝起きたらいないし...机の上には置き手紙があるし...!!!」
坂沢は、琉架の存在に気づき、距離を詰めた。
琉架の前まで来ると、ほっとしたような表情で、琉架の事をじっと見つめていた。
そんな坂沢に対して、琉架は力なく、目の前の坂沢に身を預けたのだった。
「...っ!???えっ...琉架????ちょっ!!いつもなら、俺が抱きつこうとしたら、咄嗟に避けて拒むくせに...。一体どうしちまったんだよ!??」
琉架の突然の行動に、坂沢はビックリして、琉架を自分から引き離そうとしたが、琉架はがっちりと坂沢の腹に抱きついているせいか、びくともしなかった。
坂沢は、仕方なく琉架が落ち着くまで、道の端に寄り、琉架の背中を一定のリズムで、ポンポンと叩いていた。
そうして、やっと琉架が坂沢から離れたのは、それからだいぶ時が経ったあとである。
坂沢は、目の前に立ち尽くしている琉架に向かって、静かにこう声をかけた。
「...あー...何があったのか知らないが...一旦、俺の家に戻ろうぜ...???(汗)」
「...。」
坂沢の質問に言葉ではなく、態度で答えた琉架を連れて坂沢は、いつかの時と同じようにさっさと歩き出した。
坂沢の家に着き部屋に入ると、琉架の置き手紙がそのままにされており、坂沢が急いで部屋を出て琉架のところに向かったことが、よく分かった。
ベッドに腰を下ろした坂沢は、昨日と同じように、部屋に入るドアの、すぐ横にある壁に背を預けて座っていた琉架に対してこう言った。
「...それで...せっかく亜衣希さん??だっけ...その人が助かったのに...なんでそんなに思い詰めた顔してんだよ...??」
「...俺...亜衣希さんに拒絶されちゃった...。亜衣希さんは、確かに俺のことを...必死に何度も名前を呼んでいた。でもね...。亜衣希さんは...俺の顔を見て...俺が琉架じゃない...。他の人だって言い出して...『それは...辛かったな...。要するに...俗に言う記憶喪失ってやつだろ???...まぁ、でもずっと続くわけじゃないって言うし...大丈夫だって!!(汗)』...いいや...大丈夫じゃないんだ...。」
琉架の淡々とした話し方に、少し妙な引っ掛かりを覚えていた坂沢だったが、琉架の話を聞いて、亜衣希さんが単なる記憶喪失と思い、琉架のことを咄嗟に慰めようとした。
だが、琉架はそんな坂沢に小さく首を振ると、悔しそうに拳を握り再び話を再開させた。
「...一生続くんだよ...。亜衣希さんの拒絶は...。『それは一体...。(汗)だって、亜衣希さんは記憶喪失ってだけなんだろ???...だったら、いずれは記憶がもどるんじゃ...。』...亜衣希さんは、記憶喪失なんかじゃない...。亜衣希さんの記憶は、しっかりと脳に残っているんだよ。でも...亜衣希さんは、激しく俺を拒絶した...。」
琉架の言葉の意味がわからず、坂沢は首を傾げて、必死に言葉を理解しようと、何度も琉架の紡いだ言葉を頭の中で復唱していた。
「...それは...でも、それじゃあ、亜衣希さんは...記憶が残っているから、当然琉架と過ごした日々だって、記憶にあるはずなのに、琉架を琉架だとわかった上で拒んだってことになるだろ...???それは有り得ないだろ...!!!?(汗)」
「いいや、有り得るし...そういう事だよ...。」
坂沢は琉架の言葉を聞き、信じられないと言った顔で、そのまま話を続けた。
「それでも、仮に琉架の事を忘れたフリをしたからって、それが亜衣希さんに、なんの得になるんだよ...。『...分からない...。分からないから...ずっと悩んでいるんだろ...???』アイツ...何でだよ...。俺が身を引いてやろうって...諦めてやろうって決めた矢先に...あとからノコノコ現れたくせに...ふざけるな!!!!(怒)」
こう言う坂沢は、いつもの温厚な坂沢ではなく、珍しく声を荒らげて険しい表情をしていた。そうして坂沢は何を思ったのか、その場に立ち上がると、荷物をひっつかんで、足早に部屋を出ていったのだった。
独り部屋に残された琉架は、坂沢がなぜ怒っていたのか...。いきなり立ち上がり、一体どこに行ったのか??などの疑問を、頭の中でぐるぐると回転させていた。
「坂沢...???...お前一体どこに...。」
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