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第15号 「お別れしないか...??」
珈琲...買ってくるかな。
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病室で、医師にこっぴどく叱られた亜衣希は、ベッドに力なく体を預け、ただじっと一点を見つめていた。
ガラガラと扉を開き、病室内に入ってきた大樹は、ゆっくりと亜衣希のベッドまで来ると、近くのパイプ椅子に腰を下ろした。
「...亜衣希...俺は、お前がなんであんなことしたのか分からない...。なぁ、何でだ??何故、琉架くんが来た途端、人が変わったように突然暴れだしたりしたんだ!!琉架くんを待っていたんじゃないのか...???いいや...どちらにしても、琉架くんがもうここに来ることは、きっとないだろう...。それで...それでお前はいいのか??なぁ、亜衣希...。」
亜衣希は、大樹の方は向かずに、ただ窓の外を見つめ、大樹に言葉を返した。
「あれは琉架じゃない...。俺の中の琉架は...現実世界にはもう居ないんだよ...。むしろいない方がいい...!!!」
「亜衣希...!?お前...それ、本気で言っているのか!???琉架くんの気持ちは、完全に無視するのか!??」
「だったら何だよ。...こうするしかないだろ??...他になにか方法があるって言うのかよ!!はぁ...もうこの話はおしまいだ...。今で悪いんだけ、気になってたから聞く...俺が倒れたあと....琉架を狙っていたストーカーはどうなった??」
亜衣希は、琉架に取った態度に対して、それ以上何も言うことは無く、代わりに琉架を狙っていたストーカーの事を大樹に聞いた。
大樹も、これ以上何も話す気は無いのだと悟り、亜衣希にこういった。
「無事捕まったよ...。それと...共犯者と見られる女も、一緒に逮捕された。警察によるとその女は、『もうやりたいことも全うできたから、安心して刑務所に入れるわ!』って、意味深なことを言っていたらしい。...って亜衣希???何を笑っているんだ??今の話に面白いところなんて...『いいや、笑いが止まらないよ!!なんだ...そうだったのか...。いやー、してやられたな...。あははははははは!!!』...亜衣希???」
亜衣希は、大樹の話を聞いた途端、急に喉元で笑い声を上げて、最後には声に出るほどの、大笑いをしていた。
そんな亜衣希を、訝しげに思った大樹は、亜衣希の名前を呼び、じっと亜衣希の顔を見ていたが、やがて笑っていたはずの亜衣希が泣いていることに気がついた。亜衣希の様子に、これ以上この話題を振ることは良くないと直感的に感じた大樹は、サッとその場に立ち上がると亜衣希には何も声をかけずに...病室の外へと出ていった。
病室の外に出ると、大樹は廊下の壁にもたれて、独り言を呟いていた。
「亜衣希は...一体何に気づいたと言うんだ...。何を泣くほどに許せないことがあったと言うんだ...。(汗)私には、さっぱり分からないが...あの話題をあれ以上追求していたら、私は亜衣希に殺されていたかもしれない...。亜衣希のあの目を見たのは...小学生の時に、私が壊してしまった亜衣希の玩具を、自分の部屋に隠していたことがバレた時以来だ...。あの時も、亜衣希は我を失い、私の上に馬乗りになると、すごい力で首を絞めてきたもんな...。はぁ...思い出しただけで鳥肌が...気分転換に、温かいコーヒーでも買ってくるかな...。」
病室を出た大樹は、大きく身震いをすると、冷たく薄暗い廊下を歩きながら、独り自販機を目指すのであった。
ガラガラと扉を開き、病室内に入ってきた大樹は、ゆっくりと亜衣希のベッドまで来ると、近くのパイプ椅子に腰を下ろした。
「...亜衣希...俺は、お前がなんであんなことしたのか分からない...。なぁ、何でだ??何故、琉架くんが来た途端、人が変わったように突然暴れだしたりしたんだ!!琉架くんを待っていたんじゃないのか...???いいや...どちらにしても、琉架くんがもうここに来ることは、きっとないだろう...。それで...それでお前はいいのか??なぁ、亜衣希...。」
亜衣希は、大樹の方は向かずに、ただ窓の外を見つめ、大樹に言葉を返した。
「あれは琉架じゃない...。俺の中の琉架は...現実世界にはもう居ないんだよ...。むしろいない方がいい...!!!」
「亜衣希...!?お前...それ、本気で言っているのか!???琉架くんの気持ちは、完全に無視するのか!??」
「だったら何だよ。...こうするしかないだろ??...他になにか方法があるって言うのかよ!!はぁ...もうこの話はおしまいだ...。今で悪いんだけ、気になってたから聞く...俺が倒れたあと....琉架を狙っていたストーカーはどうなった??」
亜衣希は、琉架に取った態度に対して、それ以上何も言うことは無く、代わりに琉架を狙っていたストーカーの事を大樹に聞いた。
大樹も、これ以上何も話す気は無いのだと悟り、亜衣希にこういった。
「無事捕まったよ...。それと...共犯者と見られる女も、一緒に逮捕された。警察によるとその女は、『もうやりたいことも全うできたから、安心して刑務所に入れるわ!』って、意味深なことを言っていたらしい。...って亜衣希???何を笑っているんだ??今の話に面白いところなんて...『いいや、笑いが止まらないよ!!なんだ...そうだったのか...。いやー、してやられたな...。あははははははは!!!』...亜衣希???」
亜衣希は、大樹の話を聞いた途端、急に喉元で笑い声を上げて、最後には声に出るほどの、大笑いをしていた。
そんな亜衣希を、訝しげに思った大樹は、亜衣希の名前を呼び、じっと亜衣希の顔を見ていたが、やがて笑っていたはずの亜衣希が泣いていることに気がついた。亜衣希の様子に、これ以上この話題を振ることは良くないと直感的に感じた大樹は、サッとその場に立ち上がると亜衣希には何も声をかけずに...病室の外へと出ていった。
病室の外に出ると、大樹は廊下の壁にもたれて、独り言を呟いていた。
「亜衣希は...一体何に気づいたと言うんだ...。何を泣くほどに許せないことがあったと言うんだ...。(汗)私には、さっぱり分からないが...あの話題をあれ以上追求していたら、私は亜衣希に殺されていたかもしれない...。亜衣希のあの目を見たのは...小学生の時に、私が壊してしまった亜衣希の玩具を、自分の部屋に隠していたことがバレた時以来だ...。あの時も、亜衣希は我を失い、私の上に馬乗りになると、すごい力で首を絞めてきたもんな...。はぁ...思い出しただけで鳥肌が...気分転換に、温かいコーヒーでも買ってくるかな...。」
病室を出た大樹は、大きく身震いをすると、冷たく薄暗い廊下を歩きながら、独り自販機を目指すのであった。
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