アスモディアンズは、カオスな仲間たち。

第1章 「はりきって人探し？」

「給料なんざ...出るわけがないだろう？？？」

 「楽しみだね！！ルグ！...それで、明日は、何時から人捜しをするの？？？...まぁ、当然給料は出るんだよね？？？」

 ルーは、ニコッと天使のスマイルでルグに話しかけると...話の内容を聞いたルグが、露骨に嫌な顔をしていた。

 「...は？？？...お前はまさか...俺に給料を払えというのか？？？」

 「えっ？？？...逆に給料が出ないなんてほざくんじゃないですよね...？？？？だったら、僕もアルバイトしに行くんで...。」

 ルーの生意気な態度にルグは、眉間にシワを寄せると...ルーに吠えかかった。

 「...ルー？？？...お前は...一体、何処をどう間違えたら、そんなせこい人間になれるんだよ！！！...あー、分かっているよ...。どうせ、俺が給料払わないって言ったら、お前はのこのこ日雇いバイトに行くんだろ？？？...ったく、分かったよ...。...日給制な。」

 ルグの苦渋の決断に、ルーは、不服そうな顔をしながら...渋々ルグにこう言った。

 「ちぇー...分かったよ。...ルグ、最低賃金よりも100円は高くするんだよ？？？...頼んだからね。」

 ルーは、ルグに言いたいことだけ言うと、リリー同様に話すことがないと言った様子で、自室へと戻って行った。

 ルーが部屋に戻ったあと、ルグは、今日で何度目かわからない大きなため息をつきながら、こうボヤくのだった。

 「何が、『頼んだからね。』...だ！！！...本来なら、給料なんて出ない仕事なんだぞ？？？...クソっ。」

 こんなルグの様子に、隣で気まずそうにしていたボンは、ルグにペコペコと頭を下げていた。

 「...あの...なんかすみません...。...自分がバイトしていたせいで...。」

 「いや、お前は悪くない...。むしろ、この家の家賃の為に、バイトをしてくれて助かっているぐらいだ...。」

 「いや...俺は......ルグさんの...。」

 「ん？？...何か言ったか？？」

 「いえ......その...なんでもないです。」

 ボンは、こういうと近場の日雇いのバイトがあると言って、屋敷を出ていった。

 結局最後まで、リビングに残っていたルグは、一人になった空間で、深いため息を吐き出すと...少しばかりの休息をと...仮眠をとるのだった。

 ...そして次の日

「では、今日から予定通り...ターゲットの捜索活動を行う。...みんな、少しでも怪しい奴を見つけたら、声を掛けて見てくれ！！...ターゲットは、自分がターゲットという事を、知らないようだから...捜すのは非常に大変だろうが、頑張ってくれ！！」

 そう言って、朝も早くからリビングに集合していた屋敷の住人は、思い思いの装備で、屋敷から出ていこうとしていた。

 そんな彼らに、思い出したような態度でルグは、こう呼び掛けた。

 「あっ！！...それと、くれぐれも...俺達が、こっちの世界の人間ではないということがバレないように、慎重に捜索に当たってくれ！！...以上だ。」

 ルグが、話を終えようと踵を返した瞬間、首をひねっていたルーが、ルグに声をかけた。

 「ねぇねぇ、ルグ？？...それって、どういう意味？？？」

 「いーぃ、ルー。...俺達は、元々魔族でこっちに来てからは姿を変えて、生活を送っているだろう？？......つまりは、俺達の正体がバレないように、慎重に人間の演技をしながら、捜索活動をしろってことだよ！！」

 ルーに説明したルムは、どこか得意げな顔をして、みんなを見つめていたルグに視線を投げかけた。

 ルムの視線を受け取ったルグは、小さく頷くと...面倒くさそうに、こう言ったのだった。

 「...ルムの言った通りだ。......もう一度言うが、くれぐれもみんな気をつけてくれよ...！！！！」

 ...そう......こうして、自由人な魔族たちの人捜しが始まったのだった...。