アスモディアンズは、カオスな仲間たち。

第5章 「本当の目的と真実。」

「俺の正体...。」

 「俺の名前は、ボン......ボメン・フリーザン。」

 「....なんやお前...ヘンテコな名前やな？？？...それで、ヘボン。（笑）お前が相手してくれるのは本当か？？？」

 「......。...あぁ、決して相手をするのではないがな....。俺は、お前のその行動と物言いにイライラが募った。...これほどまでにクズな人間は、どうしたら生まれるんだろうかとな....。」

 ボンが嫌みったらしく、魔法使いの前まで出てくると、にたっと微笑みを浮かべている魔法使いに挑発的な視線を向けた。

 そんなボンの挑発に乗った魔法使いは、顔を真っ赤にさせてボンの両肩を勢いよく突き飛ばした。

 「...ﾁｯ...んだと！！！！！お前、生意気だな...！！！！！！だいたい、お前みたいなひょろひょろに一体何が出来るんだよ！！！！どうせ、さっきの仲間にかけた、おねんねの魔法ぐらいしか使えないんだろう？？？？あぁ？？？ヘボのくせに、何とか言ったらどうなんだ？？？？（笑）」

 魔法使いの言葉にボンは、突き飛ばされたことで、よろけた体をさっと安定させると、魔法使いの方をただじぃ～っと、食い入るように見つめるのだった。

 ボンのその様子が不気味で気持ちが悪かったのか、魔法使いはボンの顔に今度は唾を吐き、ボンが反論してくるのを待った。

 だが、魔法使いがいくら待っても、何をしてもボンはただじぃ～っと、魔法使いの目を見つめ続けるのだった。

 そうして、あまりの動きのなさに嫌気がさした魔法使いは、ボンの顔めがけて、一度鞘にしまった剣を再度引き抜き、勢いよく振り下ろしたのだった。

 「なんなんだよ、お前...！！！！！！さっきから、人の目をじぃーっと見つめてきて、一体何が目的なんだよ！！！！！！！」

 「....っ。...痛いな....。あ～ぁ、俺のお守り....血に濡れちゃったじゃん....。どうしてくれるの？？？これ...ルグさんからもらった、大切なお守りなんだけど....。アンタ、これ弁償できるの？？？？....出来ないよね？？？？しかも何？？？さっきから俺は、お前に何も危害を加えなかったにもかかわらず、お前はなんて愚かな判断をしたんだろうな？？？？まぁ、いいよ...お前はそういう奴なんだろ？？」

 ボンの言っている意図がよく分からず、魔法使いは首を軽くかしげ、ボンの動きを見つめていた。

 そんな魔法使いの様子にボンは、目の前で血に汚れた青色の巾着袋のようなものに入った、真っ白なビー玉を取り出し見つめながら、口元は確かに笑っているのに、目が全く笑っていない表情で、一歩また一歩と、状況を理解出来ていない魔法使いに近づいていった。

 当然、何をされるのか分からない魔法使いは、常に一定の間隔を取りながらボンの動きを警戒しながら見ていた。

 「おまえ....何なんだよ！！！！！何するつもりなんだよ！！！！！！」

 「そんなの聞かれて、素直に答えるわけないじゃん。しかも何....俺は、あの時...無抵抗で、お前に逃げるチャンスを、これでもかというほど与えていたんだぞ？？？？それなのに、お前は逃げるどころか....俺に唾を吐いたり、剣を使って傷を付けたり、なぁ？？？？俺の正体...まだ見えてないの？？？？いい加減、眼科にでもいったら？？？」

 「お前の...正体...？？？.........っ！！！！！！....うっ、うわぁ！！！！！！」

 「や～っと見えたんだぁ？？？....そうそう、いつもはね....俺、ルグさんの忠実な下部...奴隷（イヌ）なわけでさぁ？？？普段は、姿を隠すために借りの姿を作っているんだけどね....？？アンタが俺に唾吐いたり、暴力奮ったりと、散々してくれたお陰で...。ルグさんは覚えてないけど、昔....俺は、ルグさんにある規則を作られた。その規則とは、自分の身が危険な状態になったときだけ、この姿が解放されるっていう厄介な規則なんだけど...。とまぁ、ここまで言えば、いくら頭の空っぽなアンタでも、まずい事ぐらい分かるよね？？？」

 そう口にするボンの姿に、口をぱくぱくさせた魔法使いは、震える声でこう言った。

 「まさか....まさか、お前が....魔王の昔にいたとされる......幻の隠し子だったなんて.....。（恐）その腕からかすかに見える黒い模様....間違いない。お前は、魔王の子供だ....。っ...でも何故だ！？？？....お前は、魔王とは顔を合わせたことは無かったのではないのか....！？？？」

 魔法使いの言葉に、鼻を鳴らしながらボンはこう口にした。

 「俺を....魔王の血をみくびるな！！！！そんなのなぁ...微かに漂う血の臭いだけで分かるんだよ。俺と、そこでぶっ倒れていた親父が、同族の家族だって事がな！！！魔王は...お前が思っている以上に最強の魔物だ！！」

 ボンの言葉に、冷や汗にも似た汗を大量にかいた魔法使いは、どうにかボンの目の前から逃げようと背後を振り返ったが、そこには....

 「あらぁ～、や～ッと気がついたのねぇ～～。私の麗しいむ・す・こ・ちゃん♡....まぁ、わざとやられたふりをして、流したくない血を流したときは、さすがにやばいと思ったわ...。だって、剣に毒が塗られているなんて聞いてなかったんだもの...。全く、あの魔族探偵....あとで、慰謝料請求しなくちゃ！！」

 「オカマっ....お前....不死身か...！！！！俺は、剣に確かに毒を！！！！」

 マオちゃんがぴんぴんしている様子に、動揺が隠せない魔法使いは、立っているのもやっとなのか、膝をわなわなと震わせながら、疑問を繰り返し呟いていた。

 そんな魔法使いに、今度は背後に立っていたボンが、おかしそうな声色でこう言葉を返した。

 「....あはは、お前の頭も、いい加減アップデートしたらどうだ？？？魔王が毒に侵されるなんて、今の医療と魔法の進歩じゃあり得ないから。いいか？？よーく聞けよ？？？...今の魔王はな、小さい頃から毒に耐性をつける薬を服用させられて育つんだよ。今じゃ、毒に侵されてもその辺の風邪にちょっとかかってしまったぐらいのダメージしか負わない。....お前の知識は、一億年前のまんまだな。この...時代遅れが。」

 ボンの言葉に魔法使いは、ぐっと唇を噛みしめた後、自身の体に魔法を掛けだしたのだった。

 「お前らに、俺の本当の恐ろしさを味あわせてやる！！！！！」