COLORFUL_WARS

綺羅星宇宙

文字の大きさ
上 下
16 / 28
3章 喜劇か悲劇か伝記となるか……サーカス開演!

決意の炎は何色か

しおりを挟む
「どうすんだよアリア」 
エース達は久方振りに共有の寮に戻り自分たちの部屋のベッドで眠る。
エースは屋根に上り夜空を見上げていた、アリアも気がつきエースの隣に座っている、キズも癒えトレーニングも前と同じ量とそれ以上にこなしているのだ。
「どうするって?決まってるよ離れたりしない」
髪の毛を結んでいないアリアはどこか昔を思い出させた
「そうか」
エースは小さく呟きアリアの手に指先を少し重ねた。
「………見付けたらどうするの?」
アリアは夜風に吹かれながら乱れた髪をそのままにして髪の隙間からエースに聞く、その表情はどこか寂しげだった。
「連れ戻す絶対に、シソラスを探し出す」

 「ねぇねぇエース!エースは本当に剣が得意なんだ!」
紅の国は孤児がパレット大陸の中で一番多くエースもまた孤児院で育てられている。
そんなエースと相部屋のヴィンテージ・ワイン色の天然パーマの長髪、首の左側から目元にかけてモロッコレッド色の刺青がありいつもエースと一緒にいる。
「シソラスお前も剣の稽古しろよ」
エースは木でできた剣をブンブンと振り回しながらシソラスに言う
「僕はね!魔法が得意なんだ!だからエースは剣で僕は魔法!」
シソラスは様々な色のシャボン玉を出してエースを驚かせた。
六メートルと四メートルで出来た部屋を2人ひと組で供用しておりエースとシソラスは机2つ、タンス二竿にベッドが2つ真ん中に置いてある。
が、服は互いのが辛うじて解るが畳まず干されたままか床に積み上げられベッドの上と周辺は互いの大事なモノが散乱している。
「シトラス!上手いな!」
「美味しいね」
自由時間以外は部屋にいなくてはならず喧嘩も絶えないのが普通だがエース達はそんなこともなくチャンバラごっこや窓際で育てている野菜とスパイス類で料理を大量に作り食べながら喋るのが日課になっていた。
孤児が多く孤児同士もどうしてそうなったかを知りたがらず孤児院で育つこともあまり傷付かない。
「俺2年後にはココ出て学校行くんだ」
シトラスが魔方陣で汚れだ服を洗う呪文を唱え終わり互いが分厚い布団を何枚も被り時刻は子供が起きているような時間では無かったが2人は強制的に灯りを消された部屋で天井を見ながら話す。
「そしてこの腕で職について誰かの為になることしたい、剣を使って護る」
エースは真剣に声を震わせながらもシトラスに言った
「エースにならできるよ僕はとめない」
シソラス洗濯が終わり魔方陣から勢い良く吐き出された洗濯物がそのままの勢いで部屋をヒラヒラと舞う。
「……僕養子に取られることになった」
ヒラヒラと舞う服の中でその告白は余りにも急であった。
「本当か!どんな家だ!美味いもん毎日食べれるんだろうな!?」
エースは喰い気味にシソラスに尋ねた。
「紅魔方協会って所、きっと魔法を学べる」
シソラスは両手をあげてニコリと笑った。
「いつ行くんだよ」
「……紅い満月を八回見たら」
紅の国では月に一度血よりも赤い満月が空に上る 
紅い満月を八回観たら……八ヶ月後だ。
「よーし!養子に出ても俺のこと忘れるなよ!」
エースとシソラスは拳を付き合わした。
 そしてシソラスが養子に行く時にエースは2とカールした髪の人物が彫られたシールドリングをシソラスに手渡した
「!これは!」
驚くシソラスに指輪を左の中指にはめエースは叫んだ
「ジュバユ、エバ!」
叫ぶとシソラスが指輪をはめている部分が熱くなり小さく痛いっと叫んだ。
「お揃いだコレさえ着けてればまた会える!」
着古した上着を捲りエースのヘソ部分には1と剣のシールドピアスがあった。
「初めて会ったときにシソラスの1番って意味でエースって名付けてくれたよな?俺シソラスのエースでいつ続けるから!」
涙を堪えニカッと笑うと大人に手を引かれるまでシソラスの手を握り続けた。
 「うぅ……ぅぅあ」
シソラスの乗った空飛ぶ汽車が見えなくなるとエースはボロボロと涙を流していた。
「だいじょーぶ?」
エースの頭を撫でながら慰めていたのはアリアだった
「魔法協会につれてかれたーあーあ」
その一言にエースは心の弱い部分を刺激され他の部屋の子供の胸ぐらを掴んだ。
「それどういう意味だよ」
「お、ま……知らねーの、魔法協会に……連れてかれるってのは魔法の才能がある孤児で記憶を消されて最強の戦士に、」
胸ぐらを掴まれ途切れ途切れに言う言葉は最後まで聞くことは無く子供は地面に投げられエースは2人で過ごした部屋に戻った
2人で使っていたクレヨンで書かれた魔方陣、イタズラ玩具、シソラスが好きだったソフトキャンディの包み紙エースが好きな大玉のキャンディ監視の目をかいくぐり大量に手に入れていたソフトキャンディと大玉キャンディはリュックサック程の瓶に八割ほど残っている。
シソラスの服は余り残されてなかった、エースは涙を拭い冷たい月明かりを2人の部屋で浴び、父親らしい人物の形見である名前のプレートが着いている魔剣を手に真面目に剣の稽古をするようになった。



 「ねぇ坊や落ちたわよ」一夜明け街に繰り出したエースは1人買い物をしていたそんな中、シグナルレッドの髪はストレートでボブほどにあり厚い生地の上からでも解るほどの胸と括れそして流れるような身体のラインをしている。
マゼンタの口紅、アガットの瞳。
「すいません!」
エースは急いで買った物を拾い集める
「んふふそんなに、大粒のキャンディ買うの?」
クスクスと笑いながらエースが買った大粒のキャンディの瓶を3つ手渡した。
「……思い出の品なんです大切な奴がコレ食べてると安心するっていうか」
エースは少し落ち込みながらも女性に1番大きな瓶を渡した
「コレお礼ですこんなお礼しかできませんが」
昔からあるソーダ水と甘味料のカラフルなキャンディの詰め合わせを女性に手渡した。
「貴男、自分で繋ぎ止める呪いを“彼”と交わしているわねその呪いがある限り貴男も彼も離れることはできないわ」
ハッとする一言が耳に入りエースは顔を上げると、女性の姿はなく本能を掻き乱すような残り香は当分消えることは無かった。
 「お帰りなさいエース」
エースが買い物を終えシェア型の寮に戻るとルージュ達はラフな格好で談笑していた、だがテーブルには豪華な食事がある。
「お前今さら降りるとかねーよな?」
ロキが果実酒を含みながらエースを見るその目は真剣かつ威圧的であった、まるで降りると言わないでと懇願されてるようである
「降りない皆はどうなんだよ」
買い込みを終わり両手に自分の腰ほどの紙袋を肩に担ぎアリア達の所へ向かう。
「ここにいる全員降りないよ降りるならもうこの寮にはいないだろう」
ミカエルは眼鏡を外しヤレヤレと髪の毛を顔に降ろす
「エース、君の帰りを待ってたんだよ」
キルシュは優しく微笑みショコラと共に部屋から大きなアップルパイを持ってきた
「真面目な話しちゃうとサーカスの件を聞いて降りるなんて言っちゃうと色々と面倒よ?」
ルージュはネグリジェのままいつものカールヘアではなく降ろしだ髪のままエースの手を取って引っ張った。
「きっと見つかる、いや見付ける!」 
アリアは拳を握りエースの胸を小突いた。
「痛って!お前ちょっとは力加減考えろよ!」
エースはケホケホと咳き込みながらも温かく迎えてくれる新たな居場所に安堵するのだった。


 
 「あの子達…中々に良い子達じゃない」
マルクスの私室には地下があり地下室にはドール達は居らず大きなベッド、室内はまるで星空のようで2階とは別に浴槽室がある。
薄暗い室内にマルクスともう1人。
「そうだろう?前年はあの2人だけ2人の前は0人だ今年はどこも豊作なんだろうね」
マルクスはアカデミックドレスを脱ぎ捨てはなしを続けた
「例の件はどうなっているのかな」
「私の所から1人と紫の所から1人スパイを送ってるナデシコの所は“表側”からの情報収集そして解ったことがあるバックにいるのは何処かの国の魔法協会よ」
女は小さなテーブルに書類をヤレヤレと言わんばかりに置き魔法で関係者以外閲覧できないように魔法と呪文と呪縛をかけた。
「君の詠み通りだね流石だよ、さて、と三ヶ月ぶりだね会うのはナンシーいやアフロディーテ」
ナンシーとはスパイとしての名前であり本名はアフロディーテそして先程エースに飴を貰った女性である
「その名前で呼んでくれるのはマルクスとナデシコ達だけね」
マルクスは大きく広いベッドに寝転び魔方陣を出している、アフロディーテはマルクスに覆い被さった。
重ねられた唇、マルクスは手袋を外しアフロディーテを服に溝をつける
「っ……!」
エースから貰った大玉のキャンディが口のかに残っておりアフロディーテは噎せてしまった。
「ソレはちゃんとしたキャンディなのかい?」
アフロディーテの口に指を入れキャンディを取り出す
「……っあ、お宅の坊やから貰ったのよ親が決めた婚約者で疑われたら嫌だから月に1回はこうして写真を親に送ってるでしょ…じゃなければ」
ゴホゴホと咳き込みながらマルクスに伝える、2人は親が勝手に決めた婚約者同士であり“始まる前”の“証拠”を親に見せなければ怒涛の手紙が送られてくるのだ。
お互い嫌いなわけでもなく、仕事のための決断である
「僕はアフロディーテのこと好きだよ」
マルクスは言動も優しく何枚か写真を魔方陣で撮りソレゾレの親に送った。
飴玉は口に含みながらもアフロディーテとマルクスは燃え上がったままであった。
しおりを挟む

処理中です...