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第3章 エルフとの会談
VSアバイゾ 8
しおりを挟むコータの声に呼応するかのように、コータの眼前にある巨大な魔法陣に強い光が走った。
光は刹那に消え去り、真っ赤に燃え上がる炎に変化をする。
メラメラと火花を散らしながら燃ゆる炎を纏うかのように、蒼色の暴風が吹き荒れる。
「これだけあれば十分だ。喰らえッ!」
コータの魔法陣とほぼ同等の大きさまで成長したアバイゾの魔法陣に光がともる。
同時に、そこから闇の一閃が迸った。
螺旋状に回転しながらコータに向かって、柱の如く太さの闇の一撃が走る。
血の滲んだ大地を大きく抉り、粉塵を舞いあげながらコータへと突き進んでいく。
「弾き返せ」
轟音と共に迫り来る闇の一閃に、コータはその声で応じた。
炎と暴風が混じり合い、紫色を帯びた風が吹き荒れている。超高温の紫色の風は、1つの意志を持っているかの如くうねりを上げながら闇の一閃へと向かった。
闇の一閃と紫色の暴風が衝突する。その瞬間、立って居られない程の衝撃波が周辺に広がる。
「うぅ……」
あまりの衝撃波にコータは思わず目を伏せてしまう。
『目を開けて。しっかりと意識しないと押し戻されるわ』
体内からピクシャが声を上げてくる。
『そうよ。折角の力なんだから、勝ちなさいよ』
少し涙色が残った声音でミリが告げる。
「あぁ」
コータは短く返事をしてから、紫色の暴風が闇の一閃を覆い、飲み込む様をイメージする。
それと同時に紫色の暴風の威力が増す。闇の一閃が暴風の圧に押され、どんどんと後退しアバイゾに寄っていく。
「ま、まじかよッ!」
魔族七天将に与えられし能力を行使して尚、押されている状況にアバイゾは驚愕の表情を浮かべる。
そう言っている間にも押し込まれる闇の一閃に、アバイゾは更なる魔力を込める。
体内の魔力をかき集めるようにして放出する。
腕が膨張し褐色の肌に蒼色が滲み始める。誰が見ても普通の状態では無いことがわかるアバイゾの姿。
それでもアバイゾは、闇の一閃に魔力を供給し続ける。
強い轟音が震撼し、大地の抉り方が激しくなる。それに伴い、押していた紫色の暴風が押し返され始める。
闇の一閃が迫るにつれ、コータの表情が歪む。全身の毛が逆立ち、暑くもないのに汗が噴き出し、大地を踏みしめる足がジリジリと後方へ押される。
『もっともっとイメージを強くして』
少しでも力を弱めれば一瞬で闇に呑み込まれるだろう。そんな場面で、ピクシャはコータの中から声を飛ばす。
言葉には出さず、コータは頷くだけで応えると紫色の暴風の威力が増すイメージをする。
同時に舞う暴風に迫力が増し、闇の一閃に亀裂を入れていく。鋭利な刃物の如くになった紫色の暴風は、闇の一閃を切り落としながら、刹那でアバイゾの眼前に迫った。
「このアバイゾ様が、貴様ら雑種に負けるわけ無いだろォォォォッ!!」
血走った、今にも眼球が飛び出しそうな様でアバイゾは雄叫びをあげる。瞬間、切り落とされつつあった闇の一閃に力が蘇り、迫り来る紫色の暴風を押し返す。
闇の一閃が紫色の暴風を呑みこみ、今度はコータに迫っていく。
「ウオォォ!」
刹那で眼前にまで迫ってきた闇の一閃に、コータは咆哮を上げ魔力供給量を増やす。
今度は紫色の暴風に威力が増す。だが、大量の魔力供給に体がついていかなくなったのか。コータの全身の毛細血管が切れ、血が噴き出す。
「うぐっ」
思わず喘ぎ声をこぼしたコータは、体の体勢を崩してしまう。その極小の隙で、闇の一閃がコータを呑みこんだ。
「うぉぉぉ」
慌てた剣を抜き、コータは闇の一閃を月の宝刀で受け止める。
ギシギシと月の宝刀が軋む音がする。しかし、闇の一閃は勢いを弱めるどころか更に強くして月の宝刀を折ろうとしている。
「魔族七天将を舐めるなッ!!」
闇の一閃を受け止めようと試みるコータを見て、アバイゾはどこか嬉しそうな色を滲ませた声で吠え、更に魔力供給を強くした。
同時に、月の宝刀にかかる負担が一気に増した。どうにか堪えようと、奥歯を噛み締め闇の一閃を防ぎ切ろうと努力する。
力と力がぶつかり合い、決死の覚悟で受け止めていた。
だが、それもほんの一瞬。
闇の一閃は、みるみるうちに威力を落とした。
「ど、どういうことだ?」
負けることを嫌っていたアバイゾが、攻撃の手を緩めるなんてありえないことだろう。そう思ったが、闇の一閃は姿を消した。
そのありえないであろうと思っていた状況に、コータが声を洩らす。
「グァァ……」
今にも死んでしまいそうな、言葉にすらなっていない声音がコータの耳朶をうつ。
闇の一閃を受け止めていたこともあり、コータの手は痺れ、立っているだけでもしんどい。
その体に鞭を打ち、顔を上げる。すると、眼前には全身から血を噴き出し倒れ込んでいるアバイゾの姿があった。
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