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31 きらきら
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「お待たせいたしました。アル様」
「ライアン! こんちは」
ガストン団長は、言葉通りにライアンとリッキーを連れて来てくれた。袖を捲ってラフな格好のライアンは、額を拭っている。訓練のお邪魔をしてしまったかもしれない。ここは早々に用事を済ませてしまおう。
「ライアン、リッキー。この間は助けてくれてありがとうございました」
「いえいえ。アル様がご無事でなによりでした」
屈んで目線を合わせてくれるライアンは、優しく微笑んでくれる。リッキーは、相変わらず緊張したような面持ちで、微妙にぼくと視線を合わせてくれない。ぼく相手に、そんな身構えなくてもいいのにな。
忙しいガストン団長は、ぼくにライアンを会わせると、すぐに仕事へと戻って行った。ガストン団長、雰囲気はちょっぴり怖いけど、すごくいい人。
「これどうぞ。この間約束したきらきらの石です」
早速ライアンに石を差し出せば、ライアンは首を傾げて「ん?」という顔をした。なんだその顔は。
「ライアンは、ぼくを助けてくれました。そのお礼です」
再度「どうぞ」と石を差し出せば、「あ、あぁ。あの時の?」となんだか煮え切らない反応。もしかして、石のこと忘れていたのか? それとも、ぼくが五歳だから遠慮しているのだろうか。ライアンは、比較的まともな大人なので、子供から物をもらうのは良くないと考えているのかもしれない。
「遠慮しなくていいです。ぼくはまだたくさん持っているので。きらきらの石」
「そうですか。ではお言葉に甘えて」
ようやく受け取ってくれたライアンは、しげしげと石を観察する。巻いてあるリボンを褒めてくれたライアンに、ぼくはにっこにこ。
「リッキーもどうぞ」
「え」
カチコチに固まっているリッキーにも、石を渡しておく。それを素早く受け取ったリッキーは「ありがとうございます」と、礼儀正しく頭を下げてくる。
「ライアンとリッキー、お揃いにしておきました。ふたりは恋人なので」
「違いますよ?」
「違わないです! お付き合いしていること、ぼくは知っています!」
ぼくを誤魔化すことなんてできないからな、と頬を膨らませておけば、ライアンが「困ったな」と小声で眉尻を下げてしまう。
背後で、ロルフが一生懸命に笑いを堪えている。すごく失礼な従者である。
「大丈夫。リオラお兄様には内緒にしておいてあげます」
「なぜリオラ様には内緒なのですか?」
なぜって。だってリオラお兄様はライアンのことが好きだから。変な質問をしてくるライアンは、もしかしてリオラお兄様の気持ちに気が付いていないのだろうか。頑張れ、リオラお兄様。
いや、でも。
ライアンとリッキーがお付き合いしている今、リオラお兄様がライアンに告白しても勝ち目はない。これはあれだ。早々にライアンに代わる恋人候補を見つけてあげないと。お兄様が破滅する。
「じゃあ、ぼくは忙しいので」
はやくリオラお兄様の恋人を見つけてあげないと。ライアンとリッキーが既にお付き合いしているとリオラお兄様に知られたら大変だ。
「リッキーと仲良くね!」
ばいばいとライアンに手を振れば、「いや、ですから。恋人ではありませんよ」と、律儀に訂正してくる。
わかったわかった。
リオラお兄様には内緒にしておいてあげるから。
※※※
「シャルお兄さんに頑張ってもらわないと。リオラお兄様がピンチ」
「リオラ様が?」
ライアンとリッキーにきらきらの石を渡すことに成功したぼくは、ロルフを引き連れて騎士棟を後にする。
そして、ぼくがいつも遊んでいる庭に戻ると「シャルお兄さん居ませんかぁ!?」と大声で叫んでみる。
しんと静まり返る庭。耳を澄ましてみるが、シャルお兄さんの声は聞こえない。
「ガストン団長には先程会ったじゃないですか」
「もう! だからシャルお兄さんは団長じゃないってば」
しつこいロルフは、「同じですよ」と何度も繰り返す。同じじゃないもん。
面倒くさそうな顔をするロルフのことは放っておいて、庭を駆けまわる。「シャルお兄さん!」と呼びかけながら、きょろきょろしてみるが、シャルお兄さんは落ちていない。
いつもは庭の一角にべちゃっと落ちているのに。
「あ! きらきらの石」
代わりに、きらきらの石を発見した。素早く拾ってポケットに入れておく。ぼくの石コレクション。また増えてしまった。
「石、好きですね」
「きらきらしてるから。もしかして、ロルフもほしいの?」
ポケットの中の石を握って、そろそろとロルフを見上げる。欲しいって言われたらどうしよう。譲ってあげるべきかな。でもぼくが先に見つけたものだし。でもな。ぼくは他にも石、持っているもんな。ロルフは持っていないみたいだし。やっぱり譲ってあげるべきかな。
むむむっと考えるぼく。しかし、ロルフは「いえ。俺は大丈夫です」と遠慮してくれた。
ホッとしたぼくは、再びシャルお兄さんを探し始める。「俺が呼んできましょうか?」と提案してくるロルフ。だが、ロルフに任せると、きっとガストン団長を連れてくると思う。ぼくはガストン団長ではなく、シャルお兄さんを探しているのだ。
自力で見つけるので、お構いなく。
「ライアン! こんちは」
ガストン団長は、言葉通りにライアンとリッキーを連れて来てくれた。袖を捲ってラフな格好のライアンは、額を拭っている。訓練のお邪魔をしてしまったかもしれない。ここは早々に用事を済ませてしまおう。
「ライアン、リッキー。この間は助けてくれてありがとうございました」
「いえいえ。アル様がご無事でなによりでした」
屈んで目線を合わせてくれるライアンは、優しく微笑んでくれる。リッキーは、相変わらず緊張したような面持ちで、微妙にぼくと視線を合わせてくれない。ぼく相手に、そんな身構えなくてもいいのにな。
忙しいガストン団長は、ぼくにライアンを会わせると、すぐに仕事へと戻って行った。ガストン団長、雰囲気はちょっぴり怖いけど、すごくいい人。
「これどうぞ。この間約束したきらきらの石です」
早速ライアンに石を差し出せば、ライアンは首を傾げて「ん?」という顔をした。なんだその顔は。
「ライアンは、ぼくを助けてくれました。そのお礼です」
再度「どうぞ」と石を差し出せば、「あ、あぁ。あの時の?」となんだか煮え切らない反応。もしかして、石のこと忘れていたのか? それとも、ぼくが五歳だから遠慮しているのだろうか。ライアンは、比較的まともな大人なので、子供から物をもらうのは良くないと考えているのかもしれない。
「遠慮しなくていいです。ぼくはまだたくさん持っているので。きらきらの石」
「そうですか。ではお言葉に甘えて」
ようやく受け取ってくれたライアンは、しげしげと石を観察する。巻いてあるリボンを褒めてくれたライアンに、ぼくはにっこにこ。
「リッキーもどうぞ」
「え」
カチコチに固まっているリッキーにも、石を渡しておく。それを素早く受け取ったリッキーは「ありがとうございます」と、礼儀正しく頭を下げてくる。
「ライアンとリッキー、お揃いにしておきました。ふたりは恋人なので」
「違いますよ?」
「違わないです! お付き合いしていること、ぼくは知っています!」
ぼくを誤魔化すことなんてできないからな、と頬を膨らませておけば、ライアンが「困ったな」と小声で眉尻を下げてしまう。
背後で、ロルフが一生懸命に笑いを堪えている。すごく失礼な従者である。
「大丈夫。リオラお兄様には内緒にしておいてあげます」
「なぜリオラ様には内緒なのですか?」
なぜって。だってリオラお兄様はライアンのことが好きだから。変な質問をしてくるライアンは、もしかしてリオラお兄様の気持ちに気が付いていないのだろうか。頑張れ、リオラお兄様。
いや、でも。
ライアンとリッキーがお付き合いしている今、リオラお兄様がライアンに告白しても勝ち目はない。これはあれだ。早々にライアンに代わる恋人候補を見つけてあげないと。お兄様が破滅する。
「じゃあ、ぼくは忙しいので」
はやくリオラお兄様の恋人を見つけてあげないと。ライアンとリッキーが既にお付き合いしているとリオラお兄様に知られたら大変だ。
「リッキーと仲良くね!」
ばいばいとライアンに手を振れば、「いや、ですから。恋人ではありませんよ」と、律儀に訂正してくる。
わかったわかった。
リオラお兄様には内緒にしておいてあげるから。
※※※
「シャルお兄さんに頑張ってもらわないと。リオラお兄様がピンチ」
「リオラ様が?」
ライアンとリッキーにきらきらの石を渡すことに成功したぼくは、ロルフを引き連れて騎士棟を後にする。
そして、ぼくがいつも遊んでいる庭に戻ると「シャルお兄さん居ませんかぁ!?」と大声で叫んでみる。
しんと静まり返る庭。耳を澄ましてみるが、シャルお兄さんの声は聞こえない。
「ガストン団長には先程会ったじゃないですか」
「もう! だからシャルお兄さんは団長じゃないってば」
しつこいロルフは、「同じですよ」と何度も繰り返す。同じじゃないもん。
面倒くさそうな顔をするロルフのことは放っておいて、庭を駆けまわる。「シャルお兄さん!」と呼びかけながら、きょろきょろしてみるが、シャルお兄さんは落ちていない。
いつもは庭の一角にべちゃっと落ちているのに。
「あ! きらきらの石」
代わりに、きらきらの石を発見した。素早く拾ってポケットに入れておく。ぼくの石コレクション。また増えてしまった。
「石、好きですね」
「きらきらしてるから。もしかして、ロルフもほしいの?」
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むむむっと考えるぼく。しかし、ロルフは「いえ。俺は大丈夫です」と遠慮してくれた。
ホッとしたぼくは、再びシャルお兄さんを探し始める。「俺が呼んできましょうか?」と提案してくるロルフ。だが、ロルフに任せると、きっとガストン団長を連れてくると思う。ぼくはガストン団長ではなく、シャルお兄さんを探しているのだ。
自力で見つけるので、お構いなく。
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