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129 否定しなくても
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「それだけなら別にいいんだけど」
不思議そうに首を捻るリオラお兄様は、ぼくとノエルが危ないことをしていないとわかって安心したらしい。
ノエルオリジナルのおまじないについては深く言及してこない。
そうしてぼくの頭を撫でたお兄様は、ちらちらとライアンに視線を送っている。その意味深な動きに、ライアンが「リオラ様?」と首を傾げる。
「あー、えっと」
頬をかくリオラお兄様は、視線を彷徨わせている。その迷うような仕草に、ぼくとノエルも揃ってお兄様を見守る。
どうやらライアンに言いたいことがあるらしい。勇気が出なくて固まっているようだ。
「リオラお兄様、がんばれぇ」
ぎゅっと拳を握って小声で応援すれば、ノエルもよくわかっていないような顔で「頑張ってください」とぼくの真似をしてくる。
そんなぼくらの応援に励まされたのか。
リオラお兄様がライアンを見据えた。
「私は別にいいと思うよ。でも相談くらいしてくれても」
「え、相談ですか?」
話が見えずに目を瞬くライアンを放置したまま、リオラお兄様は俯いてしまう。
これはあれだ。ライアンとリッキーがお付き合いしている件だ。お兄様、ライアンのことは好きじゃないと口では言いつつ、やっぱり気にしていたらしい。
「リオラお兄様! 元気出してくださぁい!」
途端にリオラお兄様のことが心配になり、駆け寄るぼく。ロルフは自分の口元を押さえてみんなから離れるように後退ってしまう。いつものように笑いを堪えているのだろう。リオラお兄様の失恋を笑うなんて。すごく失礼。
「お兄様にはもっといい人いまぁす! ぼくが探してあげます」
「それはちょっと」
なぜかぼくの親切心を辞退したリオラお兄様。なぜ。
「あの、話が見えないのですが」
困惑気味に口を挟んできたライアンに、リオラお兄様がゆっくりと首を左右に振る。
「とぼけなくてもいいよ。リッキーと付き合ってるんだってね」
「付き合ってませんよ!?」
大声で否定するライアンに、リオラお兄様が「そんな否定しなくても。リッキーが可哀想だろ」と眉を寄せる。これにライアンが絶望顔をした。
「俺がリッキーと付き合っているなんて、一体誰から聞いたんですか」
そう問いかけつつも、ライアンの目はしっかりぼくを見据えていた。
すかさず「ぼくです! ぼくが教えてあげました!」と手をあげてアピールしておく。得意になるぼく。
けれどもライアンは苦い顔で「どこまで広めたんですか」と腰を屈める。
「まだあんまり言ってないよ」
「本当ですか?」
疑いの目を向けてくるライアンに、「うん」と頷いておいた。そこからリオラお兄様へと視線を戻したライアンは「なにか誤解があるようで」と悪あがきし始める。
「いいよ。私は気にしないから」
でもリオラお兄様は聞いていない。
気にしないからと繰り返している。そんなに気にしないを連発されると、気にしているようにしか見えない。ライアンもそう思ったのだろう。頬を引きつらせて固まっている。
「言ってくれればよかったのに」
「いや、ですから」
その後もリオラお兄様はライアンの話に耳を傾けることなく会話を打ち切ってしまう。終始気にしないよと言っていたリオラお兄様は、おそらくなにかを気にしていた。
そそくさ去って行くお兄様の背中を見送って、ライアンを見上げる。額を押さえて僅かに俯くライアンは、やがてため息を吐いた。
「アル様」
「なんですか」
呼ばれて元気にお返事すれば、ライアンが屈んでぼくと目線を合わせてきた。
「何度も言っていますが。俺とリッキーは単なる幼馴染ですから」
「ふむふむ」
頷けば、ライアンが「信じてくれてます?」と眉間に皺を寄せる。
「ちょっぴりね」
「いや絶対にこれっぽっちも信じてもらえていませんよね?」
「えへへ」
にっこり笑って曖昧に誤魔化せば、ライアンがロルフへと助けを求める。だがお気楽なお世話係さんは「へ?」と首を傾げるだけで助けない。さすがロルフ。マイペースだ。
そんな中、動きを見せたのはノエルであった。
「そこまで言うなら証拠を見せてください!」
ビシッとライアンに指を突きつけたトラブルメーカーは、新たなトラブルを起こそうとしている。
証拠? と首を捻るライアンに、ノエルが「そうです。証拠です」と言葉を重ねる。
「リッキーと付き合っていないという証拠を見せてください」
「そんなこと言われましても」
付き合ってない証拠ってなんだろう。普通に難しくない?
ハラハラとふたりの会話を見守ることしかできないぼく。ライアン、頑張れぇ。
不思議そうに首を捻るリオラお兄様は、ぼくとノエルが危ないことをしていないとわかって安心したらしい。
ノエルオリジナルのおまじないについては深く言及してこない。
そうしてぼくの頭を撫でたお兄様は、ちらちらとライアンに視線を送っている。その意味深な動きに、ライアンが「リオラ様?」と首を傾げる。
「あー、えっと」
頬をかくリオラお兄様は、視線を彷徨わせている。その迷うような仕草に、ぼくとノエルも揃ってお兄様を見守る。
どうやらライアンに言いたいことがあるらしい。勇気が出なくて固まっているようだ。
「リオラお兄様、がんばれぇ」
ぎゅっと拳を握って小声で応援すれば、ノエルもよくわかっていないような顔で「頑張ってください」とぼくの真似をしてくる。
そんなぼくらの応援に励まされたのか。
リオラお兄様がライアンを見据えた。
「私は別にいいと思うよ。でも相談くらいしてくれても」
「え、相談ですか?」
話が見えずに目を瞬くライアンを放置したまま、リオラお兄様は俯いてしまう。
これはあれだ。ライアンとリッキーがお付き合いしている件だ。お兄様、ライアンのことは好きじゃないと口では言いつつ、やっぱり気にしていたらしい。
「リオラお兄様! 元気出してくださぁい!」
途端にリオラお兄様のことが心配になり、駆け寄るぼく。ロルフは自分の口元を押さえてみんなから離れるように後退ってしまう。いつものように笑いを堪えているのだろう。リオラお兄様の失恋を笑うなんて。すごく失礼。
「お兄様にはもっといい人いまぁす! ぼくが探してあげます」
「それはちょっと」
なぜかぼくの親切心を辞退したリオラお兄様。なぜ。
「あの、話が見えないのですが」
困惑気味に口を挟んできたライアンに、リオラお兄様がゆっくりと首を左右に振る。
「とぼけなくてもいいよ。リッキーと付き合ってるんだってね」
「付き合ってませんよ!?」
大声で否定するライアンに、リオラお兄様が「そんな否定しなくても。リッキーが可哀想だろ」と眉を寄せる。これにライアンが絶望顔をした。
「俺がリッキーと付き合っているなんて、一体誰から聞いたんですか」
そう問いかけつつも、ライアンの目はしっかりぼくを見据えていた。
すかさず「ぼくです! ぼくが教えてあげました!」と手をあげてアピールしておく。得意になるぼく。
けれどもライアンは苦い顔で「どこまで広めたんですか」と腰を屈める。
「まだあんまり言ってないよ」
「本当ですか?」
疑いの目を向けてくるライアンに、「うん」と頷いておいた。そこからリオラお兄様へと視線を戻したライアンは「なにか誤解があるようで」と悪あがきし始める。
「いいよ。私は気にしないから」
でもリオラお兄様は聞いていない。
気にしないからと繰り返している。そんなに気にしないを連発されると、気にしているようにしか見えない。ライアンもそう思ったのだろう。頬を引きつらせて固まっている。
「言ってくれればよかったのに」
「いや、ですから」
その後もリオラお兄様はライアンの話に耳を傾けることなく会話を打ち切ってしまう。終始気にしないよと言っていたリオラお兄様は、おそらくなにかを気にしていた。
そそくさ去って行くお兄様の背中を見送って、ライアンを見上げる。額を押さえて僅かに俯くライアンは、やがてため息を吐いた。
「アル様」
「なんですか」
呼ばれて元気にお返事すれば、ライアンが屈んでぼくと目線を合わせてきた。
「何度も言っていますが。俺とリッキーは単なる幼馴染ですから」
「ふむふむ」
頷けば、ライアンが「信じてくれてます?」と眉間に皺を寄せる。
「ちょっぴりね」
「いや絶対にこれっぽっちも信じてもらえていませんよね?」
「えへへ」
にっこり笑って曖昧に誤魔化せば、ライアンがロルフへと助けを求める。だがお気楽なお世話係さんは「へ?」と首を傾げるだけで助けない。さすがロルフ。マイペースだ。
そんな中、動きを見せたのはノエルであった。
「そこまで言うなら証拠を見せてください!」
ビシッとライアンに指を突きつけたトラブルメーカーは、新たなトラブルを起こそうとしている。
証拠? と首を捻るライアンに、ノエルが「そうです。証拠です」と言葉を重ねる。
「リッキーと付き合っていないという証拠を見せてください」
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付き合ってない証拠ってなんだろう。普通に難しくない?
ハラハラとふたりの会話を見守ることしかできないぼく。ライアン、頑張れぇ。
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