陰陽転化

煙々茸

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第二章 人形の怪

【壱】ー3

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「あの……何か拙かったのでしょうか?」
「これは“お菊人形”ですね。いつ撮られた物ですか?」
 中路の不安そうな声には答えず違う質問を投げる。
 写っている着物の柄は菊の花。写真自体も少し古いようだ。
「いつ頃かは私にも分かりません。中路に婿入りした時にはもうありましたから。なので二十年は前の物かと」
「今もこの姿ですか?」
「えっ」
 既にどうなっているのか知っているかのような晴明の視線に、中路の喉がコクリと鳴る。
「そ、それが……歪んでしまっているのですっ。まるで溶けたかのように……。信じられませんよね」
「いえ、信じますよ」
「え……?」
 青ざめた中路の顔に驚きの色が重なる。
「先ほどの答えですが、着物を切る行為はこの人形を傷つけるも同義。非常に危険です。その上もし今の状態を写真に収めていたらあなたは無事では済まなかったでしょう」
「そんな……っ」
「脅かすようなことを言ってすみません。ですが安全の為にあなたには知っておいて頂きたいんです」
 霊の力にも寄るが、もし写真を撮っていたらお菊人形に憑いた霊が彼に不幸をもたらしていたかも知れない。
 その写真を媒体にしてここに持ち込まれた場合、祓えたとしてもお菊人形本体でない限り禍は再び起こるだろう。
 意気消沈してしまった中路には悪いが、まだ重要な話が残っている。
 少し間を置いてから晴明は訊ねた。
「状況が変わったというのは“人形に異変が起きたため実物を持ち出すのが困難になってしまった”ということで合っていますか?」
「……はい」
「この人形は今何処に?」
「いつもお世話になっている寺院に預けてあります」
「着物を切り取るよう助言されたのはそのお寺でですか?」
「は、はい……そこの住職に……。まさか危険なこととは知らず……」
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