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第一章 祓い師
【陸】ー2
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「一体なぜ……」
どうして消えてしまったのか……。
「匣の中身を知っていますか?」
男の口振りからして中身はこの世に出してはならぬモノ。害となる何か。そういう代物なのだろう。
「中身は大昔に存在していた大妖だ。大人しく土塊(つちくれ)になっていれば良いものを……まったく目障りでしかない」
心底毛嫌いしているのか最後は吐き捨てるように言う彼に、晴明は更に問う。
「土塊とは……もう死んでいるんですか?」
「ああ。もう大昔にな。屍になってもこの世に未練でもあるのかしがみ付いて離れないのだ。まあ何百年も経てば残っているのは骨と霊魂くらいだろうが……本当にしつこい奴だ」
今度は怠そうに吐き捨てた。一体その大妖とどんな因縁があるのか。晴明は少し知りたいと思った。
しかし話を終わらせるかのように男は次いで口を開く。
「まあ奴をこのまま野放しにするつもりはない。そなたは気にせず仕事を済ませるといい」
男がここを訪れた理由は匣と関わりある事なのは分かった。
その大妖とやらも気になるが、今は彼の言う通りこの地下を元の状態に戻すのが先だ。
戻すと言っても見た目ではなく、今回の餓鬼のようなモノが二度と立ち入れないようにするという意味だ。立ち入ることは普通の事ではないから……。
晴明は両手で輪っかを作って印を結び、張り巡らせた霊符に霊力を注ぎこの地下空間を封印した。
これで暫くは悪戯に侵入するモノはいないだろう。解ける頃には忘れ去られていることを願うばかりだ。
地上に出ると昨日と同じように雨雲が暮れ始めた空を覆っていた。
まだ雨は落ちてこないが、そう経たないうちに降り始めるだろう。
「あの、これ……ありがとうございました」
車から取ってきた淡い黄葉色の羽織りを男に返す。ここで会えなかったらずっと借りっ放しになるところだった。
「少し雨に濡れたので乾かしたんですが……。もし不具合があれば連絡ください」
一緒に名刺を渡すと、男はそれを口元に当てて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ご丁寧に、どうも」
「いえ。良ければ名前を伺っても? このままでは不便なので支障がなければ教えてもらいたいのですが」
どうして消えてしまったのか……。
「匣の中身を知っていますか?」
男の口振りからして中身はこの世に出してはならぬモノ。害となる何か。そういう代物なのだろう。
「中身は大昔に存在していた大妖だ。大人しく土塊(つちくれ)になっていれば良いものを……まったく目障りでしかない」
心底毛嫌いしているのか最後は吐き捨てるように言う彼に、晴明は更に問う。
「土塊とは……もう死んでいるんですか?」
「ああ。もう大昔にな。屍になってもこの世に未練でもあるのかしがみ付いて離れないのだ。まあ何百年も経てば残っているのは骨と霊魂くらいだろうが……本当にしつこい奴だ」
今度は怠そうに吐き捨てた。一体その大妖とどんな因縁があるのか。晴明は少し知りたいと思った。
しかし話を終わらせるかのように男は次いで口を開く。
「まあ奴をこのまま野放しにするつもりはない。そなたは気にせず仕事を済ませるといい」
男がここを訪れた理由は匣と関わりある事なのは分かった。
その大妖とやらも気になるが、今は彼の言う通りこの地下を元の状態に戻すのが先だ。
戻すと言っても見た目ではなく、今回の餓鬼のようなモノが二度と立ち入れないようにするという意味だ。立ち入ることは普通の事ではないから……。
晴明は両手で輪っかを作って印を結び、張り巡らせた霊符に霊力を注ぎこの地下空間を封印した。
これで暫くは悪戯に侵入するモノはいないだろう。解ける頃には忘れ去られていることを願うばかりだ。
地上に出ると昨日と同じように雨雲が暮れ始めた空を覆っていた。
まだ雨は落ちてこないが、そう経たないうちに降り始めるだろう。
「あの、これ……ありがとうございました」
車から取ってきた淡い黄葉色の羽織りを男に返す。ここで会えなかったらずっと借りっ放しになるところだった。
「少し雨に濡れたので乾かしたんですが……。もし不具合があれば連絡ください」
一緒に名刺を渡すと、男はそれを口元に当てて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ご丁寧に、どうも」
「いえ。良ければ名前を伺っても? このままでは不便なので支障がなければ教えてもらいたいのですが」
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