40 / 43
番外編
sideノア 通い編
しおりを挟む
ルカが帰ってきて早速話を聞く。どうやら彼女は伯爵家の元令嬢。何かがあって山へ捨てられたと言っていた。その屋敷の使用人にたまたま会うことができて詳しく聞けたのだが、どうやら使用人同然の扱いを受けていたらしい。家から出るためにわざと妹のヘイトを買ってそれが成功して今に至るのだとか。
使用人達にはとても慕われていたようで、皆心配していたが彼女の家でのことを話すとホッとした様子だったという。さすがお嬢だななんて笑っていたとも。
お嬢のこと、よろしくお願いします。と頭を下げて頼まれたのだという。
本当に慕われていたのだろうな。自分の境遇にも負けずむしろそれをひっくり返して自由に生きている彼女は本当に尊敬する。
俺も自由にはさせてもらっているが、それでも周りにたくさんの人がいて助けられているというのに。
その話を聞いて彼女に会いたくなった俺は村のことはルカに任せ、馬を走らせた。
向かった先はもちろん彼女の家。出迎えた彼女は驚いている様子だったが、何かしてあげたくて声をかける。頼まれたのはバナナの収穫だった。
というかこの国でバナナなんて南の方でしか育たないと記憶していたが……
そう思って見てみるも見事なバナナがぶら下がっている。さすがに足台では届かないので木にのぼり収穫した。彼女はお礼だと言ってお茶とお菓子を出してくれる。
本当に気遣いのできる人だな。そう思いながらお茶とクッキーをいただいたが、あることが気になり彼女に尋ねる。
「ところで、こないだ来た時はバナナの木はなかったはずだが。成長が早すぎないか? それにあれは一部の地域でしか育たないはずだが……」
そう伝えると彼女は俺を畑へと連れて行ってくれる。彼女が手をかざすだけでみるみるうちに大きくなる野菜。特殊能力か? それならば、国に見つかったら保護されるならまだいい方で、最悪ずっとボロ雑巾の様に働かされるぞ。そうなれは彼女の自由は完全に奪われてしまうだろう。
彼女は考えてもみなかったようで考え込んでしまっていた。そんな彼女が心配になったが、今日のところはひとまず帰ることにしよう。
馬に跨り、また来ると彼女に言い残して村へと帰る。彼女は危ういな。誰かが守ってやらないと。そう思いながらもでもその守る役目は誰にも譲りたくはない。ここで初めて彼女への恋心を自覚したのであった。
ある日、騎士から報告を受ける。金髪の男が村人に何かを訪ね歩いていて、その内容がどうもセリーヌに関するもののようだと。俺は急いでその場に向かい、様子を伺う。
あいつ……確か、グロリア国の王太子だったな。しかしなぜセリーヌを……?
そういえばルカから気になる情報をもらっていたことを思い出す。一回だけ参加した夜会でどうも目をつけられたらしい。セリーヌに王太子直々に招待状が届いたことがきっかけで山へと追い出されたのだと。
まさか……セリーヌを狙っている?
急に高鳴る胸の鼓動を抑えながら、気づけば馬に乗って駆け出した。
いつものように出迎えたセリーヌは食事を作っていたらしい。誘われ、一緒に食事をとりつつ、彼女にあいつのことを話す。どうやら先に来ていた商人にも言われたらしいが、彼女は心当たりがないという。招待状までもらっていたら勘づいてもいいようなものなんだが……
その辺疎いのか?
そのまま彼女を連れ出し、景色の綺麗な川のそばへと連れ出す。釣りがしたいという彼女に俺はもっともらしい理由をつけて一緒にいる時にやろうとさそう。あいつがうろつく可能性もあるからな。もしみつかりでもしたら大変だ。
そして次の日は彼女の希望通り釣り竿を持ってくる。彼女の横顔はとても可愛い。動かない水面を楽しそうに眺めるその表情に俺は目を奪われていた。
初めて会った時よりもだいぶ心を許してもらっている気がして、俺は彼女のことを尋ねた。すると彼女は自分の境遇を話してくれて、信頼されていると喜ぶと同時にこんな仕打ちをしたもの達への怒りが湧く。複雑な心境は彼女にも伝わってしまったようで、それをなんとかしようと慌てる姿も可愛かった。
いつの間にか彼女の言動全てが可愛く思えてきて、気持ちだけが大きくなっていった。
そのまま彼女の家に戻った俺は用意していた書類を持って、彼女に選択肢を提示する。彼女を守りたい気持ちと自分の願望が混ざっているその選択肢。彼女はとても悩んでいる様子だった。けれど、最終的には俺の願望が強く出ている選択肢を選んでもらえて、気持ちは舞い上がっていた。
そこから彼女へのアプローチが始まる。彼女の欲しそうなものをプレゼントしたり一緒に多くの時間を過ごしたり。俺にとってはとても充実した日々を送っている。彼女もまんざらでもない様子で、楽しんでいてくれていたと思う。
まさかあんなことが起こるなってその時の俺は全く予測していなかった。
使用人達にはとても慕われていたようで、皆心配していたが彼女の家でのことを話すとホッとした様子だったという。さすがお嬢だななんて笑っていたとも。
お嬢のこと、よろしくお願いします。と頭を下げて頼まれたのだという。
本当に慕われていたのだろうな。自分の境遇にも負けずむしろそれをひっくり返して自由に生きている彼女は本当に尊敬する。
俺も自由にはさせてもらっているが、それでも周りにたくさんの人がいて助けられているというのに。
その話を聞いて彼女に会いたくなった俺は村のことはルカに任せ、馬を走らせた。
向かった先はもちろん彼女の家。出迎えた彼女は驚いている様子だったが、何かしてあげたくて声をかける。頼まれたのはバナナの収穫だった。
というかこの国でバナナなんて南の方でしか育たないと記憶していたが……
そう思って見てみるも見事なバナナがぶら下がっている。さすがに足台では届かないので木にのぼり収穫した。彼女はお礼だと言ってお茶とお菓子を出してくれる。
本当に気遣いのできる人だな。そう思いながらお茶とクッキーをいただいたが、あることが気になり彼女に尋ねる。
「ところで、こないだ来た時はバナナの木はなかったはずだが。成長が早すぎないか? それにあれは一部の地域でしか育たないはずだが……」
そう伝えると彼女は俺を畑へと連れて行ってくれる。彼女が手をかざすだけでみるみるうちに大きくなる野菜。特殊能力か? それならば、国に見つかったら保護されるならまだいい方で、最悪ずっとボロ雑巾の様に働かされるぞ。そうなれは彼女の自由は完全に奪われてしまうだろう。
彼女は考えてもみなかったようで考え込んでしまっていた。そんな彼女が心配になったが、今日のところはひとまず帰ることにしよう。
馬に跨り、また来ると彼女に言い残して村へと帰る。彼女は危ういな。誰かが守ってやらないと。そう思いながらもでもその守る役目は誰にも譲りたくはない。ここで初めて彼女への恋心を自覚したのであった。
ある日、騎士から報告を受ける。金髪の男が村人に何かを訪ね歩いていて、その内容がどうもセリーヌに関するもののようだと。俺は急いでその場に向かい、様子を伺う。
あいつ……確か、グロリア国の王太子だったな。しかしなぜセリーヌを……?
そういえばルカから気になる情報をもらっていたことを思い出す。一回だけ参加した夜会でどうも目をつけられたらしい。セリーヌに王太子直々に招待状が届いたことがきっかけで山へと追い出されたのだと。
まさか……セリーヌを狙っている?
急に高鳴る胸の鼓動を抑えながら、気づけば馬に乗って駆け出した。
いつものように出迎えたセリーヌは食事を作っていたらしい。誘われ、一緒に食事をとりつつ、彼女にあいつのことを話す。どうやら先に来ていた商人にも言われたらしいが、彼女は心当たりがないという。招待状までもらっていたら勘づいてもいいようなものなんだが……
その辺疎いのか?
そのまま彼女を連れ出し、景色の綺麗な川のそばへと連れ出す。釣りがしたいという彼女に俺はもっともらしい理由をつけて一緒にいる時にやろうとさそう。あいつがうろつく可能性もあるからな。もしみつかりでもしたら大変だ。
そして次の日は彼女の希望通り釣り竿を持ってくる。彼女の横顔はとても可愛い。動かない水面を楽しそうに眺めるその表情に俺は目を奪われていた。
初めて会った時よりもだいぶ心を許してもらっている気がして、俺は彼女のことを尋ねた。すると彼女は自分の境遇を話してくれて、信頼されていると喜ぶと同時にこんな仕打ちをしたもの達への怒りが湧く。複雑な心境は彼女にも伝わってしまったようで、それをなんとかしようと慌てる姿も可愛かった。
いつの間にか彼女の言動全てが可愛く思えてきて、気持ちだけが大きくなっていった。
そのまま彼女の家に戻った俺は用意していた書類を持って、彼女に選択肢を提示する。彼女を守りたい気持ちと自分の願望が混ざっているその選択肢。彼女はとても悩んでいる様子だった。けれど、最終的には俺の願望が強く出ている選択肢を選んでもらえて、気持ちは舞い上がっていた。
そこから彼女へのアプローチが始まる。彼女の欲しそうなものをプレゼントしたり一緒に多くの時間を過ごしたり。俺にとってはとても充実した日々を送っている。彼女もまんざらでもない様子で、楽しんでいてくれていたと思う。
まさかあんなことが起こるなってその時の俺は全く予測していなかった。
83
あなたにおすすめの小説
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る
基本二度寝
恋愛
「婚姻は王命だ。私に愛されようなんて思うな」
若き宰相次官のボルスターは、薄い夜着を纏って寝台に腰掛けている今日妻になったばかりのクエッカに向かって言い放った。
実力でその立場までのし上がったボルスターには敵が多かった。
一目惚れをしたクエッカに想いを伝えたかったが、政敵から彼女がボルスターの弱点になる事を悟られるわけには行かない。
巻き込みたくない気持ちとそれでも一緒にいたいという欲望が鬩ぎ合っていた。
ボルスターは国王陛下に願い、その令嬢との婚姻を王命という形にしてもらうことで、彼女との婚姻はあくまで命令で、本意ではないという態度を取ることで、ボルスターはめでたく彼女を手中に収めた。
けれど。
「旦那様。お久しぶりです。離縁してください」
結婚から半年後に、ボルスターは離縁を突きつけられたのだった。
※復縁、元サヤ無しです。
※時系列と視点がコロコロゴロゴロ変わるのでタイトル入れました
※えろありです
※ボルスター主人公のつもりが、端役になってます(どうしてだ)
※タイトル変更→旧題:黒い結婚
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!
最後の夜
ざっく
恋愛
明日、離縁される。
もう、一年前から決まっていたこと。
最後に一人で酒盛りしていたシルヴィーは、夫が隣に部屋に戻ってきていることに気が付いた。最後なのに、顔も見せない夫に腹が立って、シルヴィーは文句を言うために、初めて夫の部屋のドアをノックした。
わんこな旦那様の胃袋を掴んだら、溺愛が止まらなくなりました。
楠ノ木雫
恋愛
若くして亡くなった日本人の主人公は、とある島の王女李・翠蘭《リ・スイラン》として転生した。第二の人生ではちゃんと結婚し、おばあちゃんになるまで生きる事を目標にしたが、父である国王陛下が縁談話が来ては娘に相応しくないと断り続け、気が付けば19歳まで独身となってしまった。
婚期を逃がしてしまう事を恐れた主人公は、他国から来ていた縁談話を成立させ嫁ぐ事に成功した。島のしきたりにより、初対面は結婚式となっているはずが、何故か以前おにぎりをあげた使節団の護衛が新郎として待ち受けていた!?
そして、嫁ぐ先の料理はあまりにも口に合わず、新郎の恋人まで現れる始末。
主人公は、嫁ぎ先で平和で充実した結婚生活を手に入れる事を決意する。
※他のサイトにも投稿しています。
ストーカーに狙われたので歳上騎士様に護衛をお願いしました。
ねーさん
恋愛
「氷の彫刻」と呼ばれる美貌の兄を持つ公爵令嬢のクラリッサは不審な視線に悩まされていた。
卒業を二日後に控えた朝、教室のクラリッサの机に置かれた一通の偏執狂者からの手紙。
親友イブを通じてイブの婚約者、近衛騎士団第四分団員のジョーンズに相談すると、第四分団長ネイトがクラリッサのパートナーとして卒業パーティーに出席してくれる事になって───
〈注〉
このお話は「婚約者が記憶喪失になりました。」と「元騎士の歳上公爵様がまさかの××でした!?」の続編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる