婚約破棄、喜んでお受けします。わたくしは隣国で幸せになりますので

しおの

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 学園へ通うため、わたくしは王都の屋敷へ来ていた。お父様も王宮での仕事をしているため、一緒についてきていた。そしてなぜかライラとお母様も。当初の予定ではお母様とライラはもう一年、領地の方で過ごすはずだったのだけれど、どうやらライラお得意のおねだりでついてきたみたい。
 多分イアン殿下との逢瀬を重ねるためでしょうけど。
 最近ではわざわざわたくしに「イアン王子ったらライラの方が好みみたいなのぉ。お姉様が王都へ行くって言ったら、ライラにもきてって誘われたからお願いしたのぉ」とくねくねしながら報告してきたもの。本当気持ち悪いわ……
 こんなこと言っちゃいけないとは思うけれど心の中で呟くくらいなら許されるわよね?
 それにわたくしはどうやら世間ではとても女性らしい体つきになったみたい。身長も平均よりもないことでより一層そう見えるみたい。
 それに気づいたイアン殿下がいやらしい目つきで特に胸元を特に見つめてくるから本当に嫌なのよね。ああ、気持ち悪いわ。


 そこで数日過ごした後、わたくしは学園へと通い始めた。
 クラスにはイアン殿下ももちろんいたのだけれど、「おはようアリア」なんて言いながらわたくしの顔でなく胸を舐め回すようにみてくるのよね。それに気づいたオリーブとブライアンが割って入ってくれて離してくれるのだけれど。
 お昼休み、三人で食事を取った後は一人で図書室に行くのが日課となった。どうしてオリーブとブライアンと一緒にいないかといえば、あの二人やっと婚約したみたのよね。だから二人で過ごす時間も必要よねと思って、わたくしから申し出たわ。学園で過ごす日々は限られているもの。どうせなら二人で楽しい時間を過ごしてもらいたいもの。
 それから、周りの生徒達がよく噂をしている。
 内容としては、わたくしは婚約者にも関わらずあまりうまくいっていないのではないか、その根拠として毎日のようにライラと街に出かけている様子を目撃されているからみたい。
 全く。学園に通うようになってからのわたくしは、放課後王子妃教育と称して王宮に呼び出されている。初めはマナーや勉強をしていたけれどどれも問題ないとのことで、早いけれどお仕事を任されているの。それも結構な量で、こんなのただの婚約者のわたくしの仕事なのかしらと疑問に思っていたのだけれど、確認もできないしそのまま処理しているわ。
 時折どこかに出かけようとするイアン殿下と引き止めようとする教育係の姿を見かける。
「イアン殿下! お仕事が溜まっておりますので今日の外出はおやめくださるようお願いしていたではありませんか。それに王子教育の方もまだまだ終わってはおりませぬ。陛下からも言われているでしょうに」
「うるさい。今のオレにはそれよりも大切なことがあるんだ。そんなものアリアにやらせておいたらいいだろう」
「そんなわけにはいきません! アリア様は確かにイアン殿下の婚約者であらせられますが、本来ならば結婚してからのお仕事を前倒しでやっていただいているのです! 貴方様の仕事は貴方様がやらなくては」
「オレはもういく。仕事はアリアに任せておけ」
「イアン殿下っ!」
 大きなため息をつく教育係の方を見ると本当にかわいそうになってくるわ。どうせ怒られるのは彼なのでしょうね。
 不憫に思いながらもこれ以上仕事を増やされては化粧品の開発に使う時間がなくなってしまうわ。
 踵を翻して仕事部屋へと向かった。
 というか、本当は今のお仕事わたくしの仕事ではないってことよね? それはそれで許せないのだけれど。
 どうせ陛下や王妃様が出来損ないの第三王子に見切りをつけてわたくしに仕事を押し付けるために今から仕事をさせているのでしょうね……
 本当親子揃って呆れるわ。
 こんな人たちについている周りも大変ね。どうやら王太子殿下はとても優秀だそうだけれど。
 どうやらイアン殿下のこの仕事ぶりも他のメイドや王宮に来ている貴族達にも知れ渡っているらしい。皆こそこそと噂をしていた。
 どうして貴族って噂が好きなのかしらね。女性ならわかるのだけれど男性でも噂話をしたりするなんて。
 ため息をつきながら書類を読んでからサインをし、机の上の山を崩していった。そばにいた方はわたくしのため息にビクッとしていたけれど、これはどうしてかしら。
 わたくしが怖いのかしら……だったらちょっとショックだわ。
 そんなことを思いながら黙々とサインをし続けていた。
 後もう少し我慢したらこの生活が終わるわ。それを糧に頑張らなくちゃ。
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