婚約破棄、喜んでお受けします。わたくしは隣国で幸せになりますので

しおの

文字の大きさ
18 / 49

18

しおりを挟む
18
 それから王太子殿下はこっそりと教えてくれた。実はイアン殿下はわたくしとの婚約破棄を陛下と王妃様に申し入れたみたい。けれど、王妃様はもちろん大反対。それもそうよね。こんなに仕事をしてくれてあまつさえ働いてくれている臣下からの評価は上々。それに加えて自分の評価も上がっていくのだから。
 どう考えてもわたくしを手放すのはよろしくないとわかっているのでしょうね。国王陛下にも王妃様からお話しが行っているようで、わたくしの評価が高いみたい。
 そりゃ反対されるわよね。イアン殿下の尻拭いをしてくれるいい人材だもの。王宮内が正常に回っているのもわたくしが仕事をしているおかげでもあるのよね。
 以前秘書官の方や王妃様にわたくしが仕事をやめたらどうなるのかそれとなく聞いてみたんだけれど、第二王子が不在の今、もう王宮は回らなくなるだろうと言っていたわ。
 流石にそれでは結局皺寄せがくるのは民なので、お給金で仕事を続けているのだけれど。
 というか問題は、それに激怒したイアン殿下が乗り込んでくることね……
 王宮には寄り付きたくないみたいだからきっとわたくしの家に確実に来るわね……
 いやだわ。図書室についで二番目に落ち着ける場所を荒らされるなんて。
 はあぁぁぁ。
 あ、ついでに王太子殿下に学園のお休みについて聞いておけばよかったわ。

 休憩から戻ると、二人とももう仕事を始めていたみたい。遅くなってごめんなさいねと声をかけたら「いえ、先ほど戻ってきたばかりです」って言ってくれて。
 とてもいい方々ね。こういう人たちこそ大事にしなければ足元を掬われてしまうのにね。
 人が増えたおかげか今までで一番早く仕事を終えることができたわ。
 お二人にも御礼を述べて家へ帰った。


「さあアリアっ。お話を聞かせて頂戴。あなたのおかげでとても働きやすくなったと臣下からの言葉が絶えないのよ。なんでも言って頂戴な」
 約束していた王妃様とのお茶会。初めのうちは王妃様もビクビクしていたけれど、結果的に自分の評価や陛下の評価が上がったことで、楽しくなってきたみたい。
 わたくしみたいに意見を述べるものも今までいなかったみたいなのだけれど、今では気軽に臣下からの意見を聞いているみたい。
 まあ、王妃様も身分の低い家から嫁いだから余計に腫れ物に触るみたいな態度を取られていたみたい。それもそれでかわいそうだなと思うわ。最近では自分から臣下に色々聞いてお勉強もされていると伺っている。
 とてもいい傾向ね。
 やっぱりきっかけさえあれば人って何歳でも変われるものね。
「今日は、わたくしの学園の授業免除をお願いしたく、参りましたの」
「まあ、そうなのね。ちょっと待って頂戴。詳しいものを呼ぶから」
 こうして自分ではわからないことはわからないままにせず、わかるものを頼るようになったおかげで信頼関係も良好みたいね。初めはどうしてやろうかと少し、ほんのすこーし考えていたけれど。
「王族は学園での授業免除が許可されます。それに準ずるもの、王家からの依頼の仕事であれば、一切を免除できます」
「そうなのね! 許可しましょう。陛下にも伝えておくわ」
「ありがとうございます。ただ、免除するのは午後からの授業で大丈夫ですよ。そのくらいでちょうど秘書官の方も定時で上がれますから」
「まあまあ! 秘書官の方の時間まで気にしてくれているのね。それはいいわね。一日の時間を決めてその時間で仕事が終われるようにしていけば、過労で倒れる人も減るかしら?」
 どうやらかなりお勉強されているみたい。この世界では毎日朝から晩まで働くことが当たり前で、王族、貴族、平民ともに同じみたい。最近では他国で導入されている時間や休日のシステムをしっかりと学んでいらっしゃる。
「そうですね。一日八時間程度がよろしいかと。それと秘書官から、ぜひ連休が欲しいと。どうやら長期休暇でお休みされている教育係の方がかなり心身ともにリフレッシュされているみたいで、自分たちもたまには休んでみたいと要望がありまして。もちろん皆が一斉に休むと仕事に支障が出ますから日程は相談しないといけないでしょうけど」
「そうね! 私たちもお休み欲しいもの。まずは王族が休めれば、臣下も休めていいものね。王宮のお休みをまずは一日決めて緊急の要件のみの受付、交代でお休みの日に要件を受け付ける人を残したらどうかしら」
「それもいいですね。皆が休んでいる時にお仕事してもらうのでお手当をつけたらいいかと思います」
 キラキラと目を輝かせる王妃様に周りの人たち。前世では当たり前のことがこの世界では新しい試みなのよね。
 わたくしの常識の押し付けかしらと少しなたんだこともあったけれど、いい方向に変わっていきそうね。
 王妃様もなんだか楽しくなってきたのか色々王宮内の改革に乗り気みたいだし。
 にこりと微笑んで退室する。相変わらずすれ違う人々の頭を下げられるのだけは慣れないけれど……
 まあいいわ。学園を午後からお休みしていいのなら、毎日お仕事したらちょうど学園が終わる頃に帰れるわね。
 それにイアン殿下たちの動向も調査したいし、ちょうどいいわ。
 ふんふんと鼻歌を歌いながらどうにか今日の分のお仕事を終わらせることができた。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

姉の結婚式に姉が来ません。どうやら私を身代わりにする方向で話はまとまったみたいです。式の後はどうするんですか?親族の皆様・・・!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
家の借金を返済する為に、姉が結婚する事になった。その双子の姉が、結婚式当日消えた。私の親族はとりあえず顔が同じ双子の妹である私に結婚式を行う様に言って来た。断る事が出来ずに、とりあえず式だけという事で式をしたのだが? あの、式の後はどうしたら良いのでしょうか?私、ソフィア・グレイスはウェディングドレスで立ちつくす。 親戚の皆様、帰る前に何か言って下さい。 愛の無い結婚から、溺愛されるお話しです。

初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。

甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」 「はぁぁぁぁ!!??」 親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。 そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね…… って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!! お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!! え?結納金貰っちゃった? それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。 ※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。

契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件

水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。 「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな
恋愛
 略奪系ゲーム『花盗人の夜』に転生してしまった。  しかも、ヒロインに婚約者を奪われ断罪される悪役令嬢役。  これは円満な婚約解消を目指すしかない!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

処理中です...