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帰りの馬車の中は平和だった。妹さんのことを教えてくれたの。名前はエリザベス様というみたい。歳はわたくしよりも二つ下でどの方に対してもツンツンしているらしいわ。ただ顔に結構出るので微笑ましいのだとか。
レオン王太子殿下とは小さなころから知り合いみたいで、エリザベス様のあのツンもどうやらレオン王太子殿下が原因らしいのよね。エリザベス様を気に入ったレオン殿下が極限までアピールしまくった結果、ああなってしまったらしいわ。一体何をしたのかしら……
それから化粧品の商売のこともやっとお話しできたわ。陛下にも話を通しておいてくれるみたい。
次の日、わたくしはエリザベス様のお茶会へ招待されたの。お茶会の場所は彼女の部屋で、お部屋でよろしいのか聞いてみたんだけれど、誰にも訊かれたくないってことだったみたい。
結局は侍女も騎士もいるから変わらないような気もするけれども。
「あのっ、あの方私のこと何か言ってなかった?」
「あの方とは、どなたのことでしょうか?」
なんとなくはわかっていたけれど、間違っていたら失礼だものね。昨日会ったばかりですし、一応確認しておかないと。
「私の婚約者よっ」
あら、少し怒ったのかしら……
「イーリス国のレオン王太子殿下でしょうか?」
「っ、そうよっ」
あら、お顔が真っ赤だわ。怒っているのか照れているのかわかりにくいわ……
その時、そばにいたエリザベス様の侍女がこそっと耳打ちしてくださったわ。あれは照れておられるだけですのでって。なるほどね。ツンだわ。
「何かと言われましても……あ、最後お別れの際に婚約者をよろしくねと言われましたわ」
「そ、そうじゃなくてっ、何か言ってなかった⁈」
一体何を求めていらっしゃるのかわからないわね。なら王太子殿下から聞いたお話、全てお伝えしたほうがよろしいかしら。
「わかりました。エリザベス様に関する言動をそのままお伝えしますね。まず、とても可愛い婚約者がいるんだ。隣国の王女なんだけど、小さい頃から知っていてね。一目で気に入って口説いていたんだけど、なかなか素直になってくれなくてね。あ、勘違いしないでほしいんだけど、それが嫌というわけではなくてむしろ気に入っているんだ。最近では私を見るだけで逃げてしまうようになってね。あ、でもそれが嫌というわけではなくてむしろ可愛いんだけど、一番可愛いのは私に負けて素直になった瞬間なんだよ。たまに見せるあれがたまらないん……」
「わぁぁぁっ、やめてぇぇぇぇ!」
ふとエリザベス様を見るともう茹で上がっていたわ。あら、わたくしったら思い出しながらだったから彼女の様子をちっとも見ていなかったわ。
「ごめんなさい、聞きたいことと違ったかしら? どのことかわからなかったから……」
「ううっ、もういいわよっ。わかったからぁっ」
とても動揺している様子の彼女にどうしていいかわからずおどおどしているわたくし。先ほどの侍女が「大丈夫です。照れているだけですので」と教えてくださったわ。
わたくしには彼女の気持ちを察してあげることが難しそうね……
「それで、本当に聞きたいことが別にあるんですよね? 間違っていたら申し訳ないのですが……」
「ううっ、私っどうしても逃げたくなっちゃうのよっ。それを、どうにか、したいんだけどっ」
まあ、なんとも可愛らしい相談ね。これは揶揄いたくなっちゃうのもわかるわぁ……なんていうか可愛いのよねぇ。
それに逃げたくなる気持ち、わかるわっ。わたくしも彼と二人きりの馬車はとても耐え難いもの……
「どうして逃げたくなるの?」
「う、は、恥ずかしいのよっ」
わかるわ、大変よくわかるわ……前世ですらそんなことはなくて、よくよく考えてみればわたくしから好きになって付き合っていたから向こうからのアプローチなんて皆無だったのよね。だから余計にアーティにはどうしたらいいかわからなくなるのよ……
「その気持ち、わかるわぁ……逃げたくなるわよね。その方法があったらわたくしも教えてほしいくらいだわ」
ポツリと呟いたつもりがバッチリとみんなに聞こえてしまったみたいで生暖かい視線が刺さる。
やだ、恥ずかしい……
「えっ、あなたもっ⁈ それってお兄様のことよね?」
なんだか突然元気を取り戻したエリザベス様。わたくしの隣に座って手を握られたわ。
「本当どうしたらいいかわからないわよねっ。逃げちゃうのも仕方ないわよねっ」
「そうですね。でも逃げるのを直したいというお話ではなくて……?」
「う、そう思ったんだけど、逃げるところも可愛いって思ってもらっているならいいのかなってちょっと思って」
もじもじしながら話すエリザベス様、可愛いわっ。
「そうね。どう見てもレオン王太子殿下はあなたを溺愛しているみたいだもの。そのままでいいんじゃないかしら?」
「うん、でも、もう少しどうにかならないかなって思うの。どうしたらいいかな」
「わたくしも思っているんだけれど……ねえ、あなた方も何かいい案はないかしら。本当に毎回心臓が破裂するんじゃないかってくらい大変なのよ」
いつの間にかエリザベス様の恋愛相談からわたくしたち二人の相談を周りの使用人たちに聞いてもらっている状態で、周りも困惑し始めてしまっているわ。
けれどこれは死活問題なのよね……
「エリザベス様、どなたかこういうのが得意なお友達はいらっしゃらないかしら……」
「いたらあなたに相談する前に解決しているわよ……」
「それもそうよね……」
二人であれやこれやと悩んでいたけれど、結局いい回答は思いつかずに時間になってしまったわ。確か明日は王妃様とのお茶会があったわね。聞いてみようかしら……
帰りの馬車の中は平和だった。妹さんのことを教えてくれたの。名前はエリザベス様というみたい。歳はわたくしよりも二つ下でどの方に対してもツンツンしているらしいわ。ただ顔に結構出るので微笑ましいのだとか。
レオン王太子殿下とは小さなころから知り合いみたいで、エリザベス様のあのツンもどうやらレオン王太子殿下が原因らしいのよね。エリザベス様を気に入ったレオン殿下が極限までアピールしまくった結果、ああなってしまったらしいわ。一体何をしたのかしら……
それから化粧品の商売のこともやっとお話しできたわ。陛下にも話を通しておいてくれるみたい。
次の日、わたくしはエリザベス様のお茶会へ招待されたの。お茶会の場所は彼女の部屋で、お部屋でよろしいのか聞いてみたんだけれど、誰にも訊かれたくないってことだったみたい。
結局は侍女も騎士もいるから変わらないような気もするけれども。
「あのっ、あの方私のこと何か言ってなかった?」
「あの方とは、どなたのことでしょうか?」
なんとなくはわかっていたけれど、間違っていたら失礼だものね。昨日会ったばかりですし、一応確認しておかないと。
「私の婚約者よっ」
あら、少し怒ったのかしら……
「イーリス国のレオン王太子殿下でしょうか?」
「っ、そうよっ」
あら、お顔が真っ赤だわ。怒っているのか照れているのかわかりにくいわ……
その時、そばにいたエリザベス様の侍女がこそっと耳打ちしてくださったわ。あれは照れておられるだけですのでって。なるほどね。ツンだわ。
「何かと言われましても……あ、最後お別れの際に婚約者をよろしくねと言われましたわ」
「そ、そうじゃなくてっ、何か言ってなかった⁈」
一体何を求めていらっしゃるのかわからないわね。なら王太子殿下から聞いたお話、全てお伝えしたほうがよろしいかしら。
「わかりました。エリザベス様に関する言動をそのままお伝えしますね。まず、とても可愛い婚約者がいるんだ。隣国の王女なんだけど、小さい頃から知っていてね。一目で気に入って口説いていたんだけど、なかなか素直になってくれなくてね。あ、勘違いしないでほしいんだけど、それが嫌というわけではなくてむしろ気に入っているんだ。最近では私を見るだけで逃げてしまうようになってね。あ、でもそれが嫌というわけではなくてむしろ可愛いんだけど、一番可愛いのは私に負けて素直になった瞬間なんだよ。たまに見せるあれがたまらないん……」
「わぁぁぁっ、やめてぇぇぇぇ!」
ふとエリザベス様を見るともう茹で上がっていたわ。あら、わたくしったら思い出しながらだったから彼女の様子をちっとも見ていなかったわ。
「ごめんなさい、聞きたいことと違ったかしら? どのことかわからなかったから……」
「ううっ、もういいわよっ。わかったからぁっ」
とても動揺している様子の彼女にどうしていいかわからずおどおどしているわたくし。先ほどの侍女が「大丈夫です。照れているだけですので」と教えてくださったわ。
わたくしには彼女の気持ちを察してあげることが難しそうね……
「それで、本当に聞きたいことが別にあるんですよね? 間違っていたら申し訳ないのですが……」
「ううっ、私っどうしても逃げたくなっちゃうのよっ。それを、どうにか、したいんだけどっ」
まあ、なんとも可愛らしい相談ね。これは揶揄いたくなっちゃうのもわかるわぁ……なんていうか可愛いのよねぇ。
それに逃げたくなる気持ち、わかるわっ。わたくしも彼と二人きりの馬車はとても耐え難いもの……
「どうして逃げたくなるの?」
「う、は、恥ずかしいのよっ」
わかるわ、大変よくわかるわ……前世ですらそんなことはなくて、よくよく考えてみればわたくしから好きになって付き合っていたから向こうからのアプローチなんて皆無だったのよね。だから余計にアーティにはどうしたらいいかわからなくなるのよ……
「その気持ち、わかるわぁ……逃げたくなるわよね。その方法があったらわたくしも教えてほしいくらいだわ」
ポツリと呟いたつもりがバッチリとみんなに聞こえてしまったみたいで生暖かい視線が刺さる。
やだ、恥ずかしい……
「えっ、あなたもっ⁈ それってお兄様のことよね?」
なんだか突然元気を取り戻したエリザベス様。わたくしの隣に座って手を握られたわ。
「本当どうしたらいいかわからないわよねっ。逃げちゃうのも仕方ないわよねっ」
「そうですね。でも逃げるのを直したいというお話ではなくて……?」
「う、そう思ったんだけど、逃げるところも可愛いって思ってもらっているならいいのかなってちょっと思って」
もじもじしながら話すエリザベス様、可愛いわっ。
「そうね。どう見てもレオン王太子殿下はあなたを溺愛しているみたいだもの。そのままでいいんじゃないかしら?」
「うん、でも、もう少しどうにかならないかなって思うの。どうしたらいいかな」
「わたくしも思っているんだけれど……ねえ、あなた方も何かいい案はないかしら。本当に毎回心臓が破裂するんじゃないかってくらい大変なのよ」
いつの間にかエリザベス様の恋愛相談からわたくしたち二人の相談を周りの使用人たちに聞いてもらっている状態で、周りも困惑し始めてしまっているわ。
けれどこれは死活問題なのよね……
「エリザベス様、どなたかこういうのが得意なお友達はいらっしゃらないかしら……」
「いたらあなたに相談する前に解決しているわよ……」
「それもそうよね……」
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