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買い物から帰った後、ネルトにお茶に誘われアーティのことをいろいろ教えてくれた。
「いやあ、母上と王妃様は昔から仲が良くてね。必然的に僕とアーサーも仲がいいんだよ。小さいころから王太子というだけで女性に言い寄られていて、モテモテだったよ。まあ、アーサーはそれが嫌で冷たくあしらっていたけど。そんな彼が少しだけ一緒に過ごしたアリアにベタ惚れだったからねぇ。あの時は驚いたよ」
まあ、それは知らなかったわ。あの彼が冷たくなんて想像もできないわね……というよりもイーリス国では学園で変装していて、あまり周りには人がいなかったような。
もしかしてあの七三も女性対策だったのかしら……
「ああ、学園での変装は完全にアリアをびっくりさせようと思ってやったらしいよ。アーサーは元々女性を寄せ付けないようにしているし、素のままでも特に支障はないらしいから」
あら、声に出てたのかしら……本当にただそれだけだったのかしら。そのためだけに、七三……
「ずっと僕に手紙で逐一報告してくれてね。アーティと街で会ったろう? あの時なんて気づいてもらえなかったらどうしようって言ってたし」
まあ、案外繊細なのかしら。あんなに印象に残る容姿をしているのにね。まあ一緒にいた時間も少しだけだったもの。そう思うのも無理ないわね……
でも一緒にいる彼はいつも余裕そうで、いろいろ先回りしてやってくれてるのに意外ね。
「そうそう。それにアリアが腕がかぶれたこともあったろう?あの時なんて彼の侍従に聞いたけど慌てた様子で薬を取りに来たって言ってたし。本当おかしかったって言ってたなぁ」
なんだか聞いているととても面白いわ。案外心配性なのね。そんなそぶりちっとも見ないんだけれど……
「それよりこんなお話わたくしが聞いてもいいのかしら……?」
「いいよ。アリアのことだって勝手に調べて知ってるんだし、フェアじゃないでしょう。それにこんな話あいつ絶対話さないよ」
そ、そうなのね。でもなんとなくわかったような気がするわ。なんだか大丈夫そうっ。
「こんな話いっぱいあるから、何かあった時は聞いてよ。いくらでも教えるから」
なんだか勇気が出てきたわ。頑張らなくちゃっ。
「大丈夫。あいつならアリアを幸せにしてくれるから」
その言葉に嬉しくなると共に、自分も努力しなければと改めて思ったわ。
ついにアーティの誕生日当日。なぜか向こうから誘われてお泊まりセットまで準備するようにお願いされたのだけれど……
誕生日本人から誘われるなんて思っても見なかったわ……普通は逆じゃないかしら。王宮へ行って渡そうと思っていたんだけれど……
「今日は来てくれてありがとう。母上から休みをもらってね。ついでに宿泊券ももらったんだよ。一緒に行くならアリアかなと思って誘ってみたんだ」
「まあ、ありがとうございます」
こっそりと服の間に忍ばせたプレゼントはラッピングまでされており、そのラッピングの豪華さに驚いたくらいよ。きっとお店の方が気を利かせてくれたのかしらね。
馬車に乗り込むと彼はいつもの定位置、わたくしの隣にピッタリとくっついてくるけれど、昨日のネルトの話を思い出しているとあまり気にならなくなってきたわっ。
「なんか今日いつもと違う? どうして?」
「そうですか?」
「うん。照れて固まるアリア、可愛いのに」
「……っ、わたくしが大変になるので、ほどほどにしてくださいませっ」
「ふふっ。わかったよ」
どうやら加減してくれるみたいで、その言葉の通りわたくしはなんとか意識を保つことができて、窓からの景色を楽しむ余裕もあったわ。なんだか慣れてきたみたい。相変わらずドキドキはするけれど色々なお話をすることができたもの。と言ってもほとんどがわたくしの話ばかりなのだけれど……
ついた先はとても賑わっていた。屋台や出店がたくさんで、貴族の方から平民まで入り乱れている。驚いて立ち尽くしているわたくしの手を彼は握った。
「はぐれたらいけないからね」
まあ、それもそうよね。わたくしだったらすぐにはぐれてしまいそう……
今日の宿泊先にはわたくしの侍女のカリンと彼の従者が荷物を運んでくれているみたい。そのまま彼に連れられて街を散策した。どうやら今日はお祭りがあるみたいで、それで賑わっていたみたい。屋台や出店のお値段もお祭り価格みたいで、少し高めに設定しているみたい。さすが商売上手ね。こういう雰囲気だとお財布の紐が緩んでしまうものだもの。よくよく考えたらぼったくり価格でもお祭りというだけで手を出してしまうのよね。
そういうわたくしもついつい買ってしまうのだけれど。屋台で串焼きを買ってかぶりつく。美味しいわ……
本来なら貴族としてはしたないのだけれど、前世の記憶があるわたくしは全く抵抗ないのよね。問題は……
「うん、美味しいね」
あら……普通に食べていらっしゃるわ。抵抗あるかと思ったのだけれど、周りと同じように食べている彼を見て少し驚いてしまったわ。王族というと毒味が必要で、食事もフォークやナイフを使う食事ばかりだと思うのだけれど。不思議そうに首を傾げているわたくしをくすくす笑って彼は教えてくれた。
「よく市井にお忍びで行ってるんだよね。というかアリア。聞きたいことがあるなら遠慮なく聞いて?」
「あ、ごめんなさい。そうよね……」
そうね。いつも言わなくても察してくれるから甘えていたわ……ダメね。
「僕のことならいくらでも教えてあげるから」
綺麗な笑顔にドキドキするわ……周りの女性たちも色めきだっていて黄色い声まで聞こえてくる。本当モテるのもわかるわ……
買い物から帰った後、ネルトにお茶に誘われアーティのことをいろいろ教えてくれた。
「いやあ、母上と王妃様は昔から仲が良くてね。必然的に僕とアーサーも仲がいいんだよ。小さいころから王太子というだけで女性に言い寄られていて、モテモテだったよ。まあ、アーサーはそれが嫌で冷たくあしらっていたけど。そんな彼が少しだけ一緒に過ごしたアリアにベタ惚れだったからねぇ。あの時は驚いたよ」
まあ、それは知らなかったわ。あの彼が冷たくなんて想像もできないわね……というよりもイーリス国では学園で変装していて、あまり周りには人がいなかったような。
もしかしてあの七三も女性対策だったのかしら……
「ああ、学園での変装は完全にアリアをびっくりさせようと思ってやったらしいよ。アーサーは元々女性を寄せ付けないようにしているし、素のままでも特に支障はないらしいから」
あら、声に出てたのかしら……本当にただそれだけだったのかしら。そのためだけに、七三……
「ずっと僕に手紙で逐一報告してくれてね。アーティと街で会ったろう? あの時なんて気づいてもらえなかったらどうしようって言ってたし」
まあ、案外繊細なのかしら。あんなに印象に残る容姿をしているのにね。まあ一緒にいた時間も少しだけだったもの。そう思うのも無理ないわね……
でも一緒にいる彼はいつも余裕そうで、いろいろ先回りしてやってくれてるのに意外ね。
「そうそう。それにアリアが腕がかぶれたこともあったろう?あの時なんて彼の侍従に聞いたけど慌てた様子で薬を取りに来たって言ってたし。本当おかしかったって言ってたなぁ」
なんだか聞いているととても面白いわ。案外心配性なのね。そんなそぶりちっとも見ないんだけれど……
「それよりこんなお話わたくしが聞いてもいいのかしら……?」
「いいよ。アリアのことだって勝手に調べて知ってるんだし、フェアじゃないでしょう。それにこんな話あいつ絶対話さないよ」
そ、そうなのね。でもなんとなくわかったような気がするわ。なんだか大丈夫そうっ。
「こんな話いっぱいあるから、何かあった時は聞いてよ。いくらでも教えるから」
なんだか勇気が出てきたわ。頑張らなくちゃっ。
「大丈夫。あいつならアリアを幸せにしてくれるから」
その言葉に嬉しくなると共に、自分も努力しなければと改めて思ったわ。
ついにアーティの誕生日当日。なぜか向こうから誘われてお泊まりセットまで準備するようにお願いされたのだけれど……
誕生日本人から誘われるなんて思っても見なかったわ……普通は逆じゃないかしら。王宮へ行って渡そうと思っていたんだけれど……
「今日は来てくれてありがとう。母上から休みをもらってね。ついでに宿泊券ももらったんだよ。一緒に行くならアリアかなと思って誘ってみたんだ」
「まあ、ありがとうございます」
こっそりと服の間に忍ばせたプレゼントはラッピングまでされており、そのラッピングの豪華さに驚いたくらいよ。きっとお店の方が気を利かせてくれたのかしらね。
馬車に乗り込むと彼はいつもの定位置、わたくしの隣にピッタリとくっついてくるけれど、昨日のネルトの話を思い出しているとあまり気にならなくなってきたわっ。
「なんか今日いつもと違う? どうして?」
「そうですか?」
「うん。照れて固まるアリア、可愛いのに」
「……っ、わたくしが大変になるので、ほどほどにしてくださいませっ」
「ふふっ。わかったよ」
どうやら加減してくれるみたいで、その言葉の通りわたくしはなんとか意識を保つことができて、窓からの景色を楽しむ余裕もあったわ。なんだか慣れてきたみたい。相変わらずドキドキはするけれど色々なお話をすることができたもの。と言ってもほとんどがわたくしの話ばかりなのだけれど……
ついた先はとても賑わっていた。屋台や出店がたくさんで、貴族の方から平民まで入り乱れている。驚いて立ち尽くしているわたくしの手を彼は握った。
「はぐれたらいけないからね」
まあ、それもそうよね。わたくしだったらすぐにはぐれてしまいそう……
今日の宿泊先にはわたくしの侍女のカリンと彼の従者が荷物を運んでくれているみたい。そのまま彼に連れられて街を散策した。どうやら今日はお祭りがあるみたいで、それで賑わっていたみたい。屋台や出店のお値段もお祭り価格みたいで、少し高めに設定しているみたい。さすが商売上手ね。こういう雰囲気だとお財布の紐が緩んでしまうものだもの。よくよく考えたらぼったくり価格でもお祭りというだけで手を出してしまうのよね。
そういうわたくしもついつい買ってしまうのだけれど。屋台で串焼きを買ってかぶりつく。美味しいわ……
本来なら貴族としてはしたないのだけれど、前世の記憶があるわたくしは全く抵抗ないのよね。問題は……
「うん、美味しいね」
あら……普通に食べていらっしゃるわ。抵抗あるかと思ったのだけれど、周りと同じように食べている彼を見て少し驚いてしまったわ。王族というと毒味が必要で、食事もフォークやナイフを使う食事ばかりだと思うのだけれど。不思議そうに首を傾げているわたくしをくすくす笑って彼は教えてくれた。
「よく市井にお忍びで行ってるんだよね。というかアリア。聞きたいことがあるなら遠慮なく聞いて?」
「あ、ごめんなさい。そうよね……」
そうね。いつも言わなくても察してくれるから甘えていたわ……ダメね。
「僕のことならいくらでも教えてあげるから」
綺麗な笑顔にドキドキするわ……周りの女性たちも色めきだっていて黄色い声まで聞こえてくる。本当モテるのもわかるわ……
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