婚約破棄、喜んでお受けします。わたくしは隣国で幸せになりますので

しおの

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 一通りお祭りを楽しんだわたくしたちは今日泊まる宿へと辿り着いた。とても豪奢な建物でみるからにお高そうなお宿ね。どうやら高位貴族が利用するところみたいで、とても対応がいいお宿だったわ。他のお客様とすれ違ってもいいものなのに全くすれ違わなかったのよね。そういうところも徹底しているのかしら。
 そんなことを考えながら案内された部屋へと入る。
 あれ、部屋……
「どうしたの?」
「あの……どう見ても二人部屋なのですが」
「そうだよ。母上が用意してくれたんだ。もっと仲良くなれるようにって」
 もっと仲良く……? それって、もしかして……
「あ、そうなんですね……」
 どう反応していいかわからなくてドキドキしてしまうわ。というか、忘れてたわっ。今日は彼が誕生日なんだもの、プレゼントをお渡ししなければ!

「あの、これを。誕生日おめでとうございます」
「ありがとう」
 くしゃりとした笑顔を向けられて、喜んでもらっていることが伝わってきて嬉しくなるわ。悩んだ甲斐があったわね。
 あれ、でもなんだかアーティの様子がおかしいわ。プレゼントを持つ彼の手がプルプル震えているもの。
「どうしたの……?」
「いや、あの……」
 珍しくはっきりしない彼に首を傾げてしまう。どうしたのかしら。なんか、ダメだった……?
 急に不安になってしまう。おろおろするわたくしと俯く彼。
 なんだか不思議な構図だわ。
「……アーティ?」
 急に抱きしめられて驚いて固まってしまう。え、どうしたの本当に。
「……ごめん。あんまりうれし、かったから」
「ふふ、いつもと逆ね」
 なんだかおかしくて二人で笑ってしまったわ。思った以上に喜んでもらえたみたい。そのまま頭の後ろに手を添えられて、唇と唇が触れ合う。
 そのままベッドへ横抱きにされて連れていかれる。もうね、一応前世でも経験があるからなんとなくわかるけれど、こんなに胸がドキドキするのは初めてかもしれないわ。
「ねえ、アリア。好きだよ」
「……わたくしも、好き、です……」
 再び重なった口づけがどんどん深くなる。最近まであんなにバクバクしていた心臓も妙に落ち着いている。彼に触れられるたびにドキドキよりも喜びの方が強くなっていって、どんどん力が抜けてくる。
 するすると器用に服を脱がせられてしまい、下着だけになってしまう。流石に恥ずかしくて隠そうとしたけれど、彼の手に止められてしまった。
「隠さないで、綺麗なんだから」
 左目の下にチュッと吸いつかれて肩が揺れる。なんでそんなとこ……
「ずっと思ってたけど、この黒子とても色っぽいよね。肌も綺麗」
 うう、もういちいち恥ずかしい……
 あちこち口づけされてくすぐったい。彼の髪が肌を撫でていく感覚まではっきりと伝わってしまって、思わずと息が漏れる。
「……っ」
 愉しそうに目を細めて手が肌を撫でながら下に降りていく。下着の上から胸の膨らみを撫でられる。わかっているのだけれど、とてつもなく恥ずかしい……
「本当この小さな体にこれはいけないね」
 胸の形が変わるくらい揉みほぐされる。そのままスルリと下着を脱がされ、勢いよく弾ける胸が余計に羞恥心を煽る。
「ほら、僕の手から溢れてる」
「……っ、いちいち言わないでっ」
「アリアの反応可愛いのに」
 ちょっと拗ねていたけれど、そんな顔してもきかないわよっ。
 ぺろりと頂を舐められている感覚に反応してしまう。声も漏れ出して、腰が動く。
 とろりとあふれる感覚がして思わず足を閉じようと思ったけれどいつの間にかしっかりと彼の体が入っていてそれもできない。
 もう、恥ずかしすぎる……
 両足をぐっと開かれて、なぞられて。これからすることはわかっているけれど、やっぱりはずかしくて。
 するすると下も脱がされてしまって全てが曝け出される。彼もいつの間にか上をぬいでいたけれど、みる余裕もなくて。
「んあっ……」
 敏感なところに触れられて思わず漏れ出てしまう。彼の指がその芽をなぞる度にどんどん上り詰めていく。
「イっていいよ」
 その一言が妙に頭に響いてきて、そのまま昇り詰めてしまう。
 ぐったりと四肢を投げ出したわたくしを満足そうに眺めるアーティ。もう頭が白くなっているわたくしは恥ずかしいとかもう考えられなくなっていた。
 ツプリと彼の指が入り込んできている。十分蜜の溢れているそこはすんなり受け入れていて、わたくしのナカを探る。
「っん……」
 指が増やされ、バラバラと狭い中を開くように蠢き始めて、わたくしは再び快楽の波に襲われていた。
 ナカが解されずるりと抜ける。
「ダメだったら教えて。無理はしてほしくないから」
 少し眉を顰めて苦しそうな彼の首に返事がわりに腕を回す。彼のモノがあてがわれて、ズズズと入ってくる。熱い、硬い、おっきい。
 くるであろう痛みに備えて目をぎゅっと瞑る。そんなわたくしの様子に気づいた彼はたくさんキスをしてくれる。わたくしも痛みを紛らわそうと必死に彼のしたに吸い付く。
「……っ、全部入った。痛かったね、ごめん」
 わたくしの髪を撫ででくれている彼も汗をかいていて少し苦しそうだわ。それになんだか色気ダダ漏れでクラクラしそう……
「だい、じょうぶ……」
 そのままゆるゆると腰が動かされて、声が漏れる。だんだん何も考えられなくなっていって、訳もわからず彼にしがみつくけれど、だんだん力が入らなくなってくる。
「っ、かわいいアリア。もっといっぱい乱れて……っ」
 すでに彼の声もあまり聞こえなくなっていて、もう何もわからない。ただ彼が優しく髪を撫でてくれることと、気持ちいいということだけ。それに肌を合わせることで得られる幸福感だけがわたくしを包み込んでいた。
「あ、っ……もっ」
「一緒にいこう」
 そのまま激しく打ち付けられてわたくしの意識は沈んでいった。
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