野良猫 ジークの 願い事

Repos〜ルポ

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とある街に一匹の猫がいました。

その猫は野良猫で他の野良達とも仲良くなろうとせず、食べ物はいつも路地裏で何かを拾って食べる毎日でした。

ある日、その猫は何処へともなく歩いていると、ある家の庭先で女の子がブランコに揺られながら、歌を歌っているのが見えました。
その歌があまりにも心地良かったので、しばらく聴いていることにしました。

すると女の子が、その猫に気づいて近づいて来ました。

「私の歌を聴いてくれた
 初めての、お客さんね。
 あなたも…私と一緒で
 独りぼっちなのね」

いつもなら他の猫だろうと人間だろうと、一緒に居る事は嫌いな猫でしたが、何故か…この女の子となら一緒にいても良いなと思いました。

でも、その女の子は猫を飼うことが出来ません。その猫も飼い猫になるのは嫌でした。だから毎日何となく…その女の子の家に通う様になりました。

女の子の名前はラポットと言いました。ラポットは毎日同じ時間に庭先のブランコで歌っていました。

今日も、いつもの様に猫がラポットの歌を聴いていると、ラポットが突然猫に話し掛けました。

「名前があった方が良いわね。
 そうだ!ジークにしましょ。
 その方が、お話していても
 楽しいわッ」

名前をもらったジークは、ちょっぴり嬉しくなりました。ラポットは続けて自分の事を話し始めました。

「ジークは自由で羨ましいな。
 私は庭先で歌えるのが
 精一杯よ。ママにも猫は
 飼っちゃダメって言われるし。
 私は病気だから学校にも
 行けないのよ」

ジークは人の言葉がわかる不思議な猫でした。しかし、ラポットの話を聞いても何もしてあげられません。だから何となく…庭先のブランコで歌を歌っているこの時間だけでも、そばに居てあげようと思いました。それから毎日…同じ時間、同じ場所で、ジークはラポットの歌を聴き、話を聞いていました。

ラポットには夢がありました。

「大きくなったら…沢山の
 人達の前で、歌を歌いたい
 んだ。皆もママも、笑顔で
 居られる様に…。だから、
 早く病気を治さなくちゃね」

ラポットは目をキラキラさせて、話していました。

また別のある日。

いつもの様にラポットの家へ向かうとラポットはいませんでした。ジークは不思議そうに庭先を見ていると、ラポットのママが誰かと電話で話していました。

「ラポットが…病院へ
 運ばれたのよ。あなたも
 早く病院へ向かって!」

ラポットのママは大きなバッグを持って、急いで車で出かけていきました。

"きっと…ママさんはラポットの所へ行くんだ!”

ジークは走って追いかけました。
ママは、近くにある大きな病院へ入っていきました。
ジークは、その日から…雨の日も風の日も、ラポットのいる病院を眺めていました。

ようやく、ラポットが家に帰る日がやって来ました。
病院から出てきたラポットを見てジークはホッとしました。

次の日からジークはまたラポットの家へ通うようになりました。

数日が経ち…外に出られるようになったラポットは、いつもの様に同じ時間にブランコに乗っていました。
毎日通っていたジークは、ようやくラポットのそばに居られるようになったので嬉しそうでした。
しかしラポットは歌を歌うことが出来ません。

「ジーク、私ね…遠くの
 病院で手術をしないと
 治らないんだって。
 それまでは歌も歌っちゃ
 ダメって。本当は外にも
 出ちゃダメなんだけど、
 ジークが来てくれてたの
 わかってたから会いたくて
 でも…しばらく、さよなら
 しなくちゃいけないんだ」

ジークは悲しくなりました。

やっと居心地の良い場所、友達が出来たのに…と。

「でもね…病気が治ったら
 また会えるよね?今度は
 私が会いに行くよ。
 ママにも"飼っていいよ”って
 言ってもらえたから、早く
 治さなきゃね。ジークと
 一緒に居られるように…」

ジークは待つことにしました。

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