Cafe サージ

Repos〜ルポ

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Last story〜4

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月灯りが、ぼんやり夜の海を
照らしている頃…。


マビアの自宅バルコニーには
オーシャとコトハがいた。
3人でワインを飲みながら、
静かにマビアの話を聞いていた。

「出逢った頃からね…2人とも
 スイーツが好きで、デートと
 言えばカフェ巡りだったの。
 レストランで食事するより、
 1軒目のCafeではランチ、
 2軒目はデザート…とかね。
 海外旅行でもカフェ巡りする
 くらい好きだったな…」

話を聞いていたオーシャは、
目を輝かせながら話した。

「カフェ巡り楽しそう。
 海外だとステキなカフェも
 たくさんありそうね…」

「楽しかったよー。
 でもある時、不意に彼がね…
『いつかオレ達もCafeやって
 みたいね…』って言い出して」

これを聞いてコトハは驚いた。

「楽しい中にも沢山の努力が
 あったのね…凄いわ、マビー」

「ありがとう。結婚しても、
 お互いに夢は消えなくてね。
 仕事しながらお金を貯めて、
 ようやくお店が始められる…
 というところまで来た頃に、
 彼は病気で亡くなって…。
 でもね、お店や家を残して
 おいてくれて。『Cafeサージ』 
 って名前も絶対付けよう!
 って彼が言ってたから、この
 名前にしたの」

これを聞いてコトハが言った。

「サージって素敵な響きよね…」

オーシャはマビーに聞いた。

「そういえば…サージって
 どういう意味なんだろ…」

マビーは2人の話に答えた。

「彼も響きが良いと言っていた
 わ。でもサージって…確か、
 急伸する、急増する、という
 意味と、波のように打ち寄せ
 る…って意味があるみたいよ。
 彼がこの場所にしたのかも、
 何か意味があるんだろうな
 って…思ってる。2人とも
 海が好きだしね…」

「ステキな話だね、オーシャ」

「ウン…私も憧れちゃうな」

2人がウットリしながら言って
いるとマビーがこう言った。

「2人は、これからでも
 目指していけるじゃない!
 永遠に変わらぬ愛を、
 持ち続けることは大事よ」

「ヨーシ…私も目指しますか!
 …と言っても、まずは彼を
 探す所から…だけどね。
 コトちゃんのところは今より
 ますます…愛の溢れるご家族
 でいてね!」

「ホントだね。頑張りますか。
 マビーに負けないように」

「そうだよー!私は今でも、
『夫を愛してます!永久に
 不滅です…!』だからね」

「アレ…?その言葉、どこかで
 聞いたような名言…」

3人で顔を見合わせてクスッと
笑ってしまった。笑いながら、
マビアは写真を見ながら夫に
感謝し『私は今、幸せだから
安心してね…』と心の中で呟いた。


季節が変わり、桜が咲く頃…。


お店には、2種類のチーズ
ケーキが並んでいた。

「Hi、マビー!コトハでーす。
 アレ…珍しい。レアチーズと
 チーズケーキ2種類出てる。」

「これね…夫が好きだったの。
 お店を始めた頃は作る事も
 並べる事も出来なかったんだ
 けど、そろそろ良いかな…と
 思って」

「ウンウン。美味しそうだよ。
 貰っていこうかな…開店前
 だけど大丈夫?」

「もちろんよ。ありがとう」

「ねーねーマビー。また3人で
 食事しよう!」

「是非!そろそろアーチも
 帰ってくるみたいだから、
 今度は4人で食事しよう」

「いいね!帰ってきたら連絡
 してね。楽しみにしてる。
 ケーキありがとう。毎度、
 ありがとうございました!」

「ハーイ!パンもありがとう」

今日もマビアは、
静かに打ち寄せる波音を聴き
暖かな春の陽射しを感じながら
入口の看板をOPENにめくった。

自宅に飾られた写真の前には
カフェラテとチーズケーキが
置いてあった…。

         ~Fin~








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