PARISで…

Repos〜ルポ

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story〜3

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「それじゃあ、もう少しだけ…」

それから2人は時間を忘れて話した。

他愛もない話ばかりだけど、それでも今までにない心地良さを感じながら気づけば夜更けまで…話していた。

「こんな時間。もう帰るね」

「ホントだ。送るよ」

「風邪も治ったばかりだし
 ムリしないで」

「もう大丈夫だよ。それより
 こんな時間に女性を一人で
 帰すわけにはいかないよ」

「ありがとう」

ユーゴは、アーチが泊まっているホテルまで送ってくれた。

「送ってくれてありがとう。
 楽しかったわ」

「オレの方こそ楽しかったよ
 遅くまで付き合ってくれて
 ありがとう。ごはんも
 ごちそうさまでした」

「どういたしまして。あっ…
 宝くじの結果、いよいよ
 明日だね」

「当たってると良いなぁ…。
 こっちには?もう少し
 いられるの?」

「う、うん…」

「良かった。それじゃあ
 明日…」

「また明日ね…」

アーチはつい…ウソをついてしまった。本当は、明後日が帰国だった。もう会えなくなると思うと、
帰る…とは言えなかった。

明日は宝くじの結果当日。それは2人の最終日。その時間が迫っていた。

そして宝くじの結果当日。いつもより早くユーゴがホテルまで迎えに来た。

「Hi!アーチ。待ちきれなくて
 迎えに来たよ!」

「ユーゴ?随分早いのね。
 ちょっと待ってて」

2人は、いつものカフェで同じ席に座り、同じ物を注文し、昨日の続きを楽しく話していた。

「そういえば、宝くじの
 結果って、そろそろ出る頃
 じゃない?」

「そうだね。でも、この
 時間が終わっちゃうのは
 何だか寂しいよ…」

「まだわからないじゃない!
 ホラッ!見に行きましょ。
 楽しみにしてたんだもん!」

「わかった。行こうか」

売り場へ行くと当選結果は一覧表で渡してくれた。

「良かったら…ウチでユックリ見ようか」

「いいの?」

「もちろん。大歓迎さ!」

2人はユーゴの家で結果を見ることになった。
結果…ユーゴの持っていた宝くじは全てハズレ。

「ざーんねん。アーチは?」

「私もハズレー。残念…」

「あーあ。付き合えると
 思ったのにな…」

「でも、この一ヶ月…本当に
 楽しかったわ。どうも
 ありがとう」

「オレもだよ。アーチに
 出会えて良かった」

笑顔で見つめ合った2人は…

そのままキスをした。

アーチはその夜、ユーゴの家に泊まった…。


次の日…ユーゴが目覚めるとアーチの姿はなかった。

戸惑うまま起き上がると、テーブルの上には手紙と宝くじが置いてあった。

~ユーゴへ~

アナタがこの手紙を読む頃…多分私はもう帰りの飛行機に乗っていると思います。

何も言わずに日本に帰る事を許してね。

私はアナタにウソをつきました。本当は今日、帰ることは決まっていました。

でもどうしても言えなかった…。
引き止められるのがわかってたし見送られるのもツライから…。

だから何も言わずに旅立ちます。

もしいつか…日本に来る事があったら話していたカフェ・サージにも遊びに来てね。

私の友人マビーがオーナーでね、コーヒーもスイーツも料理だってとても美味しいのよ。
テラス席からの眺めも最高だし、私の友達も優しいから、きっと気に入ると思うわ。是非、立ち寄ってね。

ユーゴに出逢えて本当に良かった。楽しい時間をありがとう。
        
p.s.私の持ってた宝くじだけど… 実は結果を見てないの。 だから確認してみてね。
  
ユーゴが幸せになります様に…。

       ~アーチ~

手紙を読み終えたユーゴは、その場に立ち尽くしていた…。



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