2人

名も知らぬ素人

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始まりの夜

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町の展望台は、山を少し登った所に有り、町の夜景がカップルに人気だ

そこで、ユウイチと合流した

ユウイチは、この前の事が嘘の様に、まるで本当の女の子の様に、恋人の様に接してくれた

夜景をバックに、ユウイチは、ボクの顎をクイっと少し上げ

ユウイチ「目を閉じて」

アキラ「え?え?」

ユウイチ「他のカップルだって、してるだろ?」

ボクは、その言葉に恥じらいながら、少し顔を逸らした時だった

茂みの中に、何かを見つけた

よく目を凝らすと、カメラで、こっちを撮っている男が居た

ボクは、ユウイチに「あ、あっちの方に行こ」と提案した

だが、ユウイチは「ダメだ」

アキラ「な、なんで?」

ユウイチ「だって、場所変えたら、お前の、それ、撮れねえだろ」

ボクは背筋が凍りついた

ユウイチは、ボクの襟を掴んで逃げられない様にしている

ユウイチ「もっと撮って貰えよ、お前の女装した格好をよお」

ボクは必死に泣きながら、その場から逃げようと踠いた

アキラ「嫌!、嫌!、嫌!」

ユウイチ「なんだあ?その声。マジでカマ野郎じゃねえか!」

他のカップルは、ただ見ているだけで助けようとはしてくれなかった

アキラ(嫌!辞めて!)目には涙が浮かんでいた

ユウイチ「何?涙なんか浮かべてんだ、男が簡単に泣いてんじゃねえよ!」

ユウイチ「俺だって、本当は、こんな事したくないんだぜ」

ユウイチ「お前を、男らしくする為に、仕方なく!」

ユウイチ「嫌な思いをしたら、もう、あんな気持ち悪い事しないだろ!」

ユウイチ「全部、お前の為なんだよ」

アキラ(嫌!助けて!誰か助けて!)ギュッと目を瞑り、助けを祈った

その時だった

帽子を被った髪の長い女が、ユウイチの腕を横から掴んだ

髪の長い女「いい加減にしなよ」

ユウイチ「なんだあ、このアマ!」

髪の長い女は、ユウイチに、回し蹴りを喰らわせた

ユウイチが、蹴りで怯んでる隙に、女性はボクの手を取って、その場から逃げた


ボクは、その日、初めて人に手を引かれて、夜の町を走った











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