お試し期間付き彼女

おむらいす

文字の大きさ
7 / 10

第7話 お試し期間・おにぎり対決!

しおりを挟む

 
咲が退院して1週間後。

オレは自分の車で咲を迎えに行き、
自分のアパートへ連れて来た。

ドアを開けると…

「おかえり、アキラ。
お久しぶりね、咲さん。」

先に来て待たせていたのは歩美。

今日は以前から決まっていた、料理対決の日。

咲と歩美、どちらがオレの彼女になるかを決める日でもあった。


歩美
「咲さん、大変だったわね。
でも、手加減はしないわ!
どちらが勝っても恨みっこなしね。」



「はい!私…負けませんから!
歩美さん、よろしくお願いします!」


松葉杖を突く咲には、腰掛けて作業できるようリビングのテーブルで、

歩美にはキッチンで、両者のおにぎり作りがスタートした。

コメはオレが予め炊いておいたので、同じ御飯を使った対決。

中に入れる具は各自自由。
塩加減や握り方も味を左右する。
ここが決め手になるはずだ。

二人は作業を始めた。

オレは経過を見つめる。




歩美
(あんなブーちゃんに負けてたまるもんですか!
ワタシはアキラの味の好みを知っているんだから、この勝負、頂きね!)


歩美は魚焼き網をコンロに置き、火加減を調節しながら塩シャケを焼いている。

歩美
(アキラはシャケの塩焼きが大好物。
それも、あんまり塩辛くない塩鮭。
味にうるさい彼は、おにぎりの具に
鮭フレークでは満足しない。
アキラのツボは押さえてる!
絶対に…勝つ!!」



一方

(え?歩美さん魚を焼いてる?
おにぎりの具にそこまで…
すごく本気を感じる…
アキラさんを本気で好きなんだわ…

でも、私だって…)

咲はボウルに味噌を少量の酒で溶き、長ネギを刻み、かつおの削り節、一味少々を隠し味に入れ、箸で練りあげた。

(アキラさん、レストランで食事しながら前に言ってた…)

~回想


「この料理、とても美味しいです!
アキラさんて、美味しいものに…
すごく…詳しいんですね!」

アキラ
「美味しいものは好きだよ。
食べ歩くのも好きだし、自分で作るのもね(笑)」


「じゃあ…毎日、ご馳走を食べてるんですか?」

アキラ
「まさか(笑)
家で食べるのはシンプルな物ばかりだよ。
焼きシャケとか、麻婆豆腐とか。
お金足りない時はネギ味噌を作って、ご飯を食べるんだ(笑)
あれ、美味すぎてオカズがいらないんだよね(^ ^)」





(アキラさんは多分、私より料理に詳しい…そんな私にも作れそうなネギ味噌で勝負するしかない。
自分なりに作り方を調べて来た。

だから!私も負けたくない!)



両者の、静かな火花散る戦い。

具を作るところから対象的でありながら、どちらからも一生懸命さが伝わって来る。

オレは…どちらにも…負けて欲しくない…





オレ
「うーん。いい匂い…」

歩美の焼きシャケは薄っすらと焼き目を付け、上々の焼き上がりだ。


歩美
(ふふ。アキラの鼻がいい反応してる。
食べたらびっくりさせてあげる!)



 !
何?
この香ばしい香り!?



ボボボボー
焼き目をつけるためのガスバーナーを操り、ボウルの中のネギ味噌を軽く焦がす咲。


オレ
「何!ネギ味噌を焦がす?!
そんな手が…
なんて美味そうな、香ばしい香り…」

あまりに奇抜な手法に度肝を抜かれたオレ。
味噌やネギは軽く焦がす事で格段に風味が増し、食欲をそそる。
これを焼き目をつけるバーナーでやるのは見た事がない。



(アキラさんを満足させるには…
ただの具じゃダメ!
私の、気持ち、届いて!)



歩美
(あ、あんなのアリ!?
…これは手強い…
油断ならないわ…)




両者譲らず、シンプルな筈のおにぎり対決は技巧合戦へと発展した。

勝つのは 咲か、
それとも  歩美か?



次回決着!!







続く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...