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第8話 お試し期間・決着
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咲、歩美のおにぎり作りの対決は、俺の想像を遥かに超えた技巧合戦になっていた。
この二人の本気に俺は…どう応えるべきなのか。
両者に甲乙を付ける…残酷な判定を下す苦しみ…
それが俺が背負うものなのかも知れない。
歩美は焼けたシャケの皮を外し、身を包みやすい大きさにカットした。
ボウルにご飯を取り、軽く塩をふり、混ぜて塩飯を作る。
それを手に取り、カットしたシャケをのせ、握る。
歩美
(負けられない!負けられない!)
一方、咲はご飯をボウルにとり、塩を振らず、手にご飯を取ると、ネギ味噌を包み、握る。
咲
(…アキラさんに美味しく食べて欲しい…)
…
おにぎりは完成した。
まずは歩美が皿を持ってくる。
歩美
「アキラ。
ワタシのから、食べてみて…
あなたの好きなシャケ入りだよ。」
歩美のおにぎりは海苔を巻き、上にゴマが掛かっている。
形も綺麗で、細かな配慮が感じられた。
オレ
「歩美、ありがとう。
一生懸命に作ってくれたの見てたよ。
じゃあ、いただきます。
パクっ
…
お、美味しい…
シャケも焼き過ぎてないからパサパサしてないし、脂も残ってる。
フレークじゃ絶対出ない味だ。
ご飯とシャケの塩加減も、オレ好みだし。
歩美…昔より、ずっと美味しい料理、作れるようになったんだな!
凄いよ!」
歩美
「喜んで貰えてよかったわ」
(ホッ…(^^))
続けて咲が皿を持ってくる。
咲
「歩美の後で…恥ずかしいのですが…
前にアキラさんが、ネギ味噌をよく作って食べている、って聞いたので…
おにぎりに入れてみました…」
咲のおにぎりは歩美のに比べ、形は若干崩れている。
違う特徴は、海苔を巻かずとろろ昆布を巻いているところだ。
オレ
「咲さん、そんな身体で無理させて、本当に申し訳ない…
それでも頑張って作ってくれて、本当にありがとうな。
では、いただきます。」
パクっ
…
!
歩美
!?
咲
…
オレは一瞬、言葉を失った。
「…美味い…
このネギ味噌の香り、香ばしさ…
それに…塩飯にしなかったのはネギ味噌の塩分が強いからもあるけど、
このとろろ昆布を巻いたからか!
もし海苔だと炙ったネギ味噌の香ばしさとケンカしたかもしれない。
ネギ味噌に入ってるカツオ節と、旨味が調和する昆布…
だけど、この美味さ…
具やとろろ昆布だけじゃない…
ご飯が…口の中でさらりと解けて…
そうか!」
咲
(…)
…
オレ
「二人とも、本当に美味しかったよ…
どっちも…感動するくらい。
でも、今回は…」
歩美
(…アキラ!ワタシだよね?)
咲
(…お願いします…)
オレ
「咲さんのおにぎりが勝ちだ…」
咲
「えっ!?…」
歩美
「な、なんで…」
オレ
「歩美…咲さんのおにぎりと、食べ比べてみて…
多分、キミにもわかるから…」
歩美は自分のおにぎりを一口食べた後、咲のおにぎりを食べた。」
…
歩美
「……!
これ…もしかして…ワタシのご飯…
固すぎる…」
オレ
「うん。
歩美のおにぎりはお店で出てくるような、綺麗な形に握られていた。
多分、形を整えるのに気が行って、ご飯を固く握り過ぎたんだよ。きっと。
食べ比べしなかったらわからないレベルだよ。
でも、それが…」
歩美
「勝敗を分けた…って事ね。
…これじゃ、どんなに具に凝っても、おにぎりとしては粗が見えてくるわ…
咲さんのと比べたらね…」
咲
「そんな…」
歩美
「ううん。
ワタシ、形を整えるためだけに固く握ってしまったんじゃないの。
勝ちたい…っていう思いが強過ぎたのかな(笑)
だから、チカラ入れ過ぎたのかもね…」
歩美はため息を吐いた後、咲に振り返り、
「ワタシの負けよ…咲さん。
ワタシ、絶対勝てるって思ったのに…
残念…
あなたのおにぎり、美味しかったわ。」
と、ニコっと微笑んだ。
咲
「…そんなことないです…
私は…不器用だし…
ただ、アキラさんに喜んで欲しくて…」
歩美
「…ワタシ、多分、アキラに食べてもらう事忘れて、勝ちたいだけになってたかもね…
その時点で負けてたわ…
咲さん、アキラと幸せになってね…
今日はありがとう。」
そう言って、手を差し出す。
咲
「…私こそ、ありがとうございます!」
咲と歩美は握手を交わした。
が、その後、
咲
「でも、私…これで失礼します…
やっぱりアキラさんには歩美さんが一番だと思いますから…」
続く…
この二人の本気に俺は…どう応えるべきなのか。
両者に甲乙を付ける…残酷な判定を下す苦しみ…
それが俺が背負うものなのかも知れない。
歩美は焼けたシャケの皮を外し、身を包みやすい大きさにカットした。
ボウルにご飯を取り、軽く塩をふり、混ぜて塩飯を作る。
それを手に取り、カットしたシャケをのせ、握る。
歩美
(負けられない!負けられない!)
一方、咲はご飯をボウルにとり、塩を振らず、手にご飯を取ると、ネギ味噌を包み、握る。
咲
(…アキラさんに美味しく食べて欲しい…)
…
おにぎりは完成した。
まずは歩美が皿を持ってくる。
歩美
「アキラ。
ワタシのから、食べてみて…
あなたの好きなシャケ入りだよ。」
歩美のおにぎりは海苔を巻き、上にゴマが掛かっている。
形も綺麗で、細かな配慮が感じられた。
オレ
「歩美、ありがとう。
一生懸命に作ってくれたの見てたよ。
じゃあ、いただきます。
パクっ
…
お、美味しい…
シャケも焼き過ぎてないからパサパサしてないし、脂も残ってる。
フレークじゃ絶対出ない味だ。
ご飯とシャケの塩加減も、オレ好みだし。
歩美…昔より、ずっと美味しい料理、作れるようになったんだな!
凄いよ!」
歩美
「喜んで貰えてよかったわ」
(ホッ…(^^))
続けて咲が皿を持ってくる。
咲
「歩美の後で…恥ずかしいのですが…
前にアキラさんが、ネギ味噌をよく作って食べている、って聞いたので…
おにぎりに入れてみました…」
咲のおにぎりは歩美のに比べ、形は若干崩れている。
違う特徴は、海苔を巻かずとろろ昆布を巻いているところだ。
オレ
「咲さん、そんな身体で無理させて、本当に申し訳ない…
それでも頑張って作ってくれて、本当にありがとうな。
では、いただきます。」
パクっ
…
!
歩美
!?
咲
…
オレは一瞬、言葉を失った。
「…美味い…
このネギ味噌の香り、香ばしさ…
それに…塩飯にしなかったのはネギ味噌の塩分が強いからもあるけど、
このとろろ昆布を巻いたからか!
もし海苔だと炙ったネギ味噌の香ばしさとケンカしたかもしれない。
ネギ味噌に入ってるカツオ節と、旨味が調和する昆布…
だけど、この美味さ…
具やとろろ昆布だけじゃない…
ご飯が…口の中でさらりと解けて…
そうか!」
咲
(…)
…
オレ
「二人とも、本当に美味しかったよ…
どっちも…感動するくらい。
でも、今回は…」
歩美
(…アキラ!ワタシだよね?)
咲
(…お願いします…)
オレ
「咲さんのおにぎりが勝ちだ…」
咲
「えっ!?…」
歩美
「な、なんで…」
オレ
「歩美…咲さんのおにぎりと、食べ比べてみて…
多分、キミにもわかるから…」
歩美は自分のおにぎりを一口食べた後、咲のおにぎりを食べた。」
…
歩美
「……!
これ…もしかして…ワタシのご飯…
固すぎる…」
オレ
「うん。
歩美のおにぎりはお店で出てくるような、綺麗な形に握られていた。
多分、形を整えるのに気が行って、ご飯を固く握り過ぎたんだよ。きっと。
食べ比べしなかったらわからないレベルだよ。
でも、それが…」
歩美
「勝敗を分けた…って事ね。
…これじゃ、どんなに具に凝っても、おにぎりとしては粗が見えてくるわ…
咲さんのと比べたらね…」
咲
「そんな…」
歩美
「ううん。
ワタシ、形を整えるためだけに固く握ってしまったんじゃないの。
勝ちたい…っていう思いが強過ぎたのかな(笑)
だから、チカラ入れ過ぎたのかもね…」
歩美はため息を吐いた後、咲に振り返り、
「ワタシの負けよ…咲さん。
ワタシ、絶対勝てるって思ったのに…
残念…
あなたのおにぎり、美味しかったわ。」
と、ニコっと微笑んだ。
咲
「…そんなことないです…
私は…不器用だし…
ただ、アキラさんに喜んで欲しくて…」
歩美
「…ワタシ、多分、アキラに食べてもらう事忘れて、勝ちたいだけになってたかもね…
その時点で負けてたわ…
咲さん、アキラと幸せになってね…
今日はありがとう。」
そう言って、手を差し出す。
咲
「…私こそ、ありがとうございます!」
咲と歩美は握手を交わした。
が、その後、
咲
「でも、私…これで失礼します…
やっぱりアキラさんには歩美さんが一番だと思いますから…」
続く…
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