黒鏡~コクキョウ~

翡翠 優

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第1章 鏡探し編

タイムカプセル

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バタバタバタ。

私たちの足音が冷たい廊下に響き渡る。
真夏のジリジリとした暑さも夕方になると若干ひんやりして気持ちが良い。

前の2人組は暑ぐるしいけど。

「おい!待てこら!」

「待てって言われて待つバカがいると思う~?あ、目の前にいたわ!」

「ふざけんな!!」

「……。」

秦と魁里が未だに言い合いをしてるから、多分、先に行った2人にはもう聞こえてるんだろうな。

私はもう、疲れすぎて喋る気力がない。

「あ、秦と魁里の声がする」

「ほんとだ!3人ともこっちこっちー!」

遠くから手を振る2人の姿がみえた。

「ごめん、遅くなっちゃった」

「大丈夫大丈夫。前日に誘った私が悪いんだし。私もお兄ちゃんと今探してたところだから!中々見つからないんだよねぇ。どこに隠したっけな」

この子は、伊集院 栞 (いじゅういん しおり)。

その兄が、伊集院 彼方 (いじゅういん かなた)。

2人は、一卵性の双子で顔がよく似ているけど、性格と髪色は全然違う。

栞は、天真爛漫で明るくて、周りを笑顔にしてくれる太陽みたいな可愛い女の子だ。

ふわふわしたロングのウェーブがかった栗色の髪の毛を、ついつい触りたくなる。

彼方は、栞とは対照的で、落ち着いていて面倒見が良く、月みたいな物腰の柔らかい男の子。

彼方の髪は黒色の地毛で絹のようにさらさらしていてストレートだ。

私の傷んだ髪とは大違いで見比べてると虚しくなるからやめた。

私たち5人は、近所で話題になるくらい昔から仲の良い幼馴染で有名で、久しぶりに皆で集まった。

小学生の頃に"タイムカプセルを埋めて20歳の7月7日に皆であけよう"と誰かが言い出した。

その当時は、タイムカプセルを埋めて願い事が叶うみたいなドラマが流行っていて、どうせ叶えてもらうなら七夕の日が良いとなった。

それに賛成した皆が、それぞれ願い事を書き綴って、全員分の手紙を1つの箱にいれて、昔私たちが通っていた、今では廃校舎になっているこの場所に隠した。

田舎の小学校だったこともあり、子供たちの数が少なく、学校を維持できなくなり悲しいことに廃校になってしまったらしい。

取り壊しが"1ヶ月後"と昨日、栞から電話がかかってきて、タイムカプセルを開封するのが高3の7月7日の今日に予定がはやまった。

廃校になるのは耳に入っていたけど、まさか取り壊しになるとは思わなかったからさすがに驚いた。

そして今、私たちは、隠したタイムカプセルを探している最中だ。

小学生の頃のことだからあまりよく覚えていないけど、「埋めたら、埋めた場所が分からなくなるから」と魁里が言い、秦はどうしても「埋めたい!埋めなきゃ意味が無い!」と言い合っていて2人の喧嘩は、想像を絶するほど酷かったから、これだけは、よく覚えている。

でも、今になって、隠しても分からなくなってしまったから笑ってしまった。

皆もぼんやりこの校舎のどっかに隠した、ぐらいにしか覚えていないらしい。

秦と魁里に関しては、喧嘩の出来事を思い出したのか、赤くなったり白くなったり顔色がコロコロ変わっている。

「じゃあ俺、1番上の階から探すわ~」

「あ~俺、この階の奥から探すわ。トイレ行きてーし」

2人はささくさと行ってしまった。

「あの2人、私たちに何か言われる前に先に行きやがったよ!いじろうと思ったのに……。」

「あはは、僕達は2階から探そうか。暗くならないうちに見つけ出そう」

「「うん!」」

こうして私たちは、秦は1階、私と栞と彼方の3人は2階、魁里は5階から探すことになった。

窓からみた空は、もう暮色に包まれていた。



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