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第1章 記憶
怨死事件
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「おい聞いたか。世君山にまた怨死がでたらしいぜ。」
酒を片手に1人の酔っ払い仙氏が言った。
「俺も聞いたぞ。これで何度目だ。」
「噂によれば暗家が絡んでるとか。なんでも、蠱毒を使って死体を操っているらしい。」
「暗家の蠱毒使いといったら『暗 光様』の1番弟子、『暗 夜明』!」
「やめろ!口にだしたらどんな災いをもたらすか……」
「静かにしろ。めったなことを言うもんじゃねぇ。暗家の者がいたらどうするんだ!」
口元に人差し指を当て、小さな声で言ったと同時に後ろで物音がした。
バンッ!!
店内の雰囲気とは不釣り合いな荒い音が響き渡り、シーンと静まり返った。
「聞こえているぞ。」
静かに一喝したその声音には不機嫌さがあらわれていた。
仙氏が彼をみるなり顔が青ざめていく。
穢れを知らない真っ白な羽織りに、額に赤い1輪の蓮の花。
絹のように真っ黒な艶のある髪は腰まで長く、鮮やかな赤い蓮の花とは反対に肌の色は透き通るごとく白く、伏した長い睫毛と相まってどこか憂いを帯びた端正な顔立ちをしていた。
その身なりからさっきの1人の仙氏が慌てて前にでて謝罪をする。
「申し訳ありません!星家の若様がいらっしゃるとは……」
「あれは星家の『星 蘭威様』じゃないか!」
それを遮るように1人が名を呼ぶと周りの客が 星 蘭威 を囲むように集まってきた。
星 蘭威 はこの端正な顔立ちから老若男女に人気がある。
「星の若様よ!相変わらずお美しい。」
続々と集まってくる人達に軽く会釈をし、静かな口調で蘭威は言い放つ。
「皆、怨死について不安だと思うが真実が分からない以上、」
噂話をしていた彼らを冷ややかな目で一喝し、
「噂話を鵜呑みにしないように。」
蘭威は一言そう言い放つと銭をテーブルの上に置き、店を出た。
彼らの一部始終を端の席でみていた老人がボソッと言う。
「あれは、
星蘭威じゃない
(はやく当主に知らせなくては)」
~語句解説~
世君山・・・地名。人通りの少ない山。
怨死・・・生前の怨念が強い死体。
蠱毒・・・暗家だけが作れる毒。死体を操ることができるという噂がある。
酒を片手に1人の酔っ払い仙氏が言った。
「俺も聞いたぞ。これで何度目だ。」
「噂によれば暗家が絡んでるとか。なんでも、蠱毒を使って死体を操っているらしい。」
「暗家の蠱毒使いといったら『暗 光様』の1番弟子、『暗 夜明』!」
「やめろ!口にだしたらどんな災いをもたらすか……」
「静かにしろ。めったなことを言うもんじゃねぇ。暗家の者がいたらどうするんだ!」
口元に人差し指を当て、小さな声で言ったと同時に後ろで物音がした。
バンッ!!
店内の雰囲気とは不釣り合いな荒い音が響き渡り、シーンと静まり返った。
「聞こえているぞ。」
静かに一喝したその声音には不機嫌さがあらわれていた。
仙氏が彼をみるなり顔が青ざめていく。
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その身なりからさっきの1人の仙氏が慌てて前にでて謝罪をする。
「申し訳ありません!星家の若様がいらっしゃるとは……」
「あれは星家の『星 蘭威様』じゃないか!」
それを遮るように1人が名を呼ぶと周りの客が 星 蘭威 を囲むように集まってきた。
星 蘭威 はこの端正な顔立ちから老若男女に人気がある。
「星の若様よ!相変わらずお美しい。」
続々と集まってくる人達に軽く会釈をし、静かな口調で蘭威は言い放つ。
「皆、怨死について不安だと思うが真実が分からない以上、」
噂話をしていた彼らを冷ややかな目で一喝し、
「噂話を鵜呑みにしないように。」
蘭威は一言そう言い放つと銭をテーブルの上に置き、店を出た。
彼らの一部始終を端の席でみていた老人がボソッと言う。
「あれは、
星蘭威じゃない
(はやく当主に知らせなくては)」
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蠱毒・・・暗家だけが作れる毒。死体を操ることができるという噂がある。
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