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想田くんに夢中
愛しの想田くん
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(またか?)
朝登校してきて靴を履き替えようと下駄箱を開けるとメッセージアプリのIDが書かれたメモが入っていた。
ここ数日で何回もこういうのが入ってる。
ここ最近ある出来事がきっかけで何でか注目を集めてる。
そのある出来事っていうのは階段から落ちた一年の女の子を俺が助けたこと、それで俺の好感度が上がってるらしい。
「倉本先輩おはようございます!」
「おーおはよー」
メモを見つめていると後輩女子二人が駆け寄ってきた。
「昨日SNSからDM送ったんですが見てくれました?」
「?いや、SNSあんま見ないから気づかなかった」
「えー!先輩と話したいことがあったから送ったんですよ」
「おー、ごめん」
(朝から元気いっぱいだな。)
「先輩、SNSじゃなくてメッセアプリの方で連絡先交換しましょうよ!」
「あー俺あんま連絡先交換しないようにしてるからごめん」
「えーなんでー??」
「連絡無精だから」
話してると視界の端に俺の意中の人が音楽聴きながら登校してきたのが見えた。
「ごめん、俺行かなきゃ!」
「あ、先輩!送ったDM返事下さいね!!」
「思い出したらねー」
俺は彼女たちを置いて想田くんの元に駆け寄った。
「想田くん、おはよー」
「……おはよう」
想田くんの顔を覗きこんだら驚いた様子でイヤホンを取った。
想田くんは少し照れてる顔で視線を落として挨拶した。
(今日も可愛いな……!!)
想田くんは綺麗な黒髪だけど前髪が重くて目元が隠れている、おまけに黒ぶちメガネかけてるから表情がわかりにくい。
基本無表情だからちょっととっつきにくい雰囲気だったけど、話すようになって感情が声とか顔色とか雰囲気に出てしまう素直な子だって知った。
「昨日の夜カミナリすごかったねー!」
「……うん」
「俺カミナリの音で起きちゃった!うちの姪っ子も起きちゃって、姪っ子が寝付くまで一緒に小声で歌うたって過ごしたんだー」
「そうなんだ」
(あ、ちょっとだけ微笑んでくれた)
1日で唯一想田くんとお喋りできる時間がこの朝の時間。
……いや、俺が一方的に話してるように見えるけどこれは想田くんなりの最大限のコミュニケーションだと思う。
「それからさ、」
「クラぁ!」
クラっていうのは俺、倉本彰悟のあだ名。
友人たちが俺の元に駆け寄ってきた。
(貴重な想田くんとの時間なのに……)
教室に向かう足を止めたら想田くんが俺を置いていくだろうし、今日のお喋りが終わってしまうのはわかりきってたから、何とか友人たちの会話を切り上げて想田くんとの時間に移行しようと考えを巡らせていた。
「クラお前、笹木ちゃんにデート誘われたんだろ?」
「デートじゃない!ていうか断った」
(うわぁ……想田くんの前でデート誘われたとか言うなよー!!)
「は?!断った?!?!なんで?!?!」
「行く必要ないから」
「いや、行けよ!笹木ちゃんお前に気があるのわかりきってるじゃん」
「気なんかないよー。この間のお礼したいって言われただけ」
みんなが笹木ちゃん笹木ちゃん言ってる子はこの間階段から落ちた女の子。
フィギュアスケートで活躍していて地元で有名な子らしくて、こいつらみたいにファンしてる人間が多い。
あそこで怪我してたら選手生命に関わることだったって、笹木さんにもすごく感謝された。
それで今度の休みお礼がしたいから一緒に過ごさないか?って誘われた。
二人が気まずければ友達も呼んで会いましょうとまで言ってくれた。
笹木さんが申し訳なさそうにしてるのも、感謝してるのも、ひしひしと伝わってきた。
けど俺はたまたま笹木さんの後ろにいただけだから気にしないでって断った。
けどこのファンボーイたちはそれが納得できないらしい。
「笹木ちゃんとお近づきになれるチャンスを不意にするのか……?」
「俺には必要ないチャンスだからね」
「イケメンでモテるからって余裕見せやがって!!」
「そういうの関係ないよー」
「お前の代わりに俺が行くから代われよー!!」
「やましい事考えてる奴をホイホイ女の子に近づけるわけないでしょ」
「イケメンぶりやがってぇー!!」
友人がふざけて肩をポカポカ殴ってきた。
友人と軽口を叩きながら想田くんの横をキープし続けた……けど教室に着くなり想田くんは一直線で自分の席についてイヤホンして本を読みはじめた。
(想田くんとの時間、終わっちゃった……)
想田くんは人と極力関わらないようにして過ごしてるみたいだ 。
だから一対一で会話できる朝のタイミングしか話さないようにしてる。
1日の数分間だけなんだけど、俺はその時間を大事にしている……なのに、アイツらぁ……。
俺は少しずつでいいから想田くんと仲良くなりたい……いつか心置きなく話せるようになって、遊びに出かけたりもして、そして行く行くは恋人にしてもらえると嬉しいな!!と、自分は思ってる。
朝登校してきて靴を履き替えようと下駄箱を開けるとメッセージアプリのIDが書かれたメモが入っていた。
ここ数日で何回もこういうのが入ってる。
ここ最近ある出来事がきっかけで何でか注目を集めてる。
そのある出来事っていうのは階段から落ちた一年の女の子を俺が助けたこと、それで俺の好感度が上がってるらしい。
「倉本先輩おはようございます!」
「おーおはよー」
メモを見つめていると後輩女子二人が駆け寄ってきた。
「昨日SNSからDM送ったんですが見てくれました?」
「?いや、SNSあんま見ないから気づかなかった」
「えー!先輩と話したいことがあったから送ったんですよ」
「おー、ごめん」
(朝から元気いっぱいだな。)
「先輩、SNSじゃなくてメッセアプリの方で連絡先交換しましょうよ!」
「あー俺あんま連絡先交換しないようにしてるからごめん」
「えーなんでー??」
「連絡無精だから」
話してると視界の端に俺の意中の人が音楽聴きながら登校してきたのが見えた。
「ごめん、俺行かなきゃ!」
「あ、先輩!送ったDM返事下さいね!!」
「思い出したらねー」
俺は彼女たちを置いて想田くんの元に駆け寄った。
「想田くん、おはよー」
「……おはよう」
想田くんの顔を覗きこんだら驚いた様子でイヤホンを取った。
想田くんは少し照れてる顔で視線を落として挨拶した。
(今日も可愛いな……!!)
想田くんは綺麗な黒髪だけど前髪が重くて目元が隠れている、おまけに黒ぶちメガネかけてるから表情がわかりにくい。
基本無表情だからちょっととっつきにくい雰囲気だったけど、話すようになって感情が声とか顔色とか雰囲気に出てしまう素直な子だって知った。
「昨日の夜カミナリすごかったねー!」
「……うん」
「俺カミナリの音で起きちゃった!うちの姪っ子も起きちゃって、姪っ子が寝付くまで一緒に小声で歌うたって過ごしたんだー」
「そうなんだ」
(あ、ちょっとだけ微笑んでくれた)
1日で唯一想田くんとお喋りできる時間がこの朝の時間。
……いや、俺が一方的に話してるように見えるけどこれは想田くんなりの最大限のコミュニケーションだと思う。
「それからさ、」
「クラぁ!」
クラっていうのは俺、倉本彰悟のあだ名。
友人たちが俺の元に駆け寄ってきた。
(貴重な想田くんとの時間なのに……)
教室に向かう足を止めたら想田くんが俺を置いていくだろうし、今日のお喋りが終わってしまうのはわかりきってたから、何とか友人たちの会話を切り上げて想田くんとの時間に移行しようと考えを巡らせていた。
「クラお前、笹木ちゃんにデート誘われたんだろ?」
「デートじゃない!ていうか断った」
(うわぁ……想田くんの前でデート誘われたとか言うなよー!!)
「は?!断った?!?!なんで?!?!」
「行く必要ないから」
「いや、行けよ!笹木ちゃんお前に気があるのわかりきってるじゃん」
「気なんかないよー。この間のお礼したいって言われただけ」
みんなが笹木ちゃん笹木ちゃん言ってる子はこの間階段から落ちた女の子。
フィギュアスケートで活躍していて地元で有名な子らしくて、こいつらみたいにファンしてる人間が多い。
あそこで怪我してたら選手生命に関わることだったって、笹木さんにもすごく感謝された。
それで今度の休みお礼がしたいから一緒に過ごさないか?って誘われた。
二人が気まずければ友達も呼んで会いましょうとまで言ってくれた。
笹木さんが申し訳なさそうにしてるのも、感謝してるのも、ひしひしと伝わってきた。
けど俺はたまたま笹木さんの後ろにいただけだから気にしないでって断った。
けどこのファンボーイたちはそれが納得できないらしい。
「笹木ちゃんとお近づきになれるチャンスを不意にするのか……?」
「俺には必要ないチャンスだからね」
「イケメンでモテるからって余裕見せやがって!!」
「そういうの関係ないよー」
「お前の代わりに俺が行くから代われよー!!」
「やましい事考えてる奴をホイホイ女の子に近づけるわけないでしょ」
「イケメンぶりやがってぇー!!」
友人がふざけて肩をポカポカ殴ってきた。
友人と軽口を叩きながら想田くんの横をキープし続けた……けど教室に着くなり想田くんは一直線で自分の席についてイヤホンして本を読みはじめた。
(想田くんとの時間、終わっちゃった……)
想田くんは人と極力関わらないようにして過ごしてるみたいだ 。
だから一対一で会話できる朝のタイミングしか話さないようにしてる。
1日の数分間だけなんだけど、俺はその時間を大事にしている……なのに、アイツらぁ……。
俺は少しずつでいいから想田くんと仲良くなりたい……いつか心置きなく話せるようになって、遊びに出かけたりもして、そして行く行くは恋人にしてもらえると嬉しいな!!と、自分は思ってる。
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