愛しい隠れ美少年はサキュバスだった。

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想田くんに夢中

姪っ子に相談

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想田くんのこと考えてたらあっという間に放課後になってしまった。
俺は日課の姪っ子のお迎えに来ていた。

「こんにちは、華ちゃん迎えに来ました」
「あ、彰悟くんこんにちは!」

先生に挨拶して教室に向かった。

「華ちゃーん」

華ちゃんはみんなと一緒に工作で作ったオモチャで遊んでいた。

「しょうごにいちゃん!」

俺の名前を呼んで駆け寄ってきてくれたのは華ちゃんではなく華ちゃんのお友達たち。
華ちゃんは俺がお世話するまでもなく一人でてきぱき帰り支度をしている。

「しょうごにいちゃん!これ一緒にしよー!!」
「また今度ね!」
「しょうごにいちゃん、これいっしょにするやくそくでしょ!!」
「今度公園で会った時ゆっくりやろ!!」

子どもたちの構って攻撃を許すと永遠に遊び続けないといけないし、ママたちにも絡まれることを学んだので素っ気ないけど華ちゃんと一緒にそそくさと退散している。

華ちゃんは俺の姉ちゃんの娘。
うちは数年前に母さんを病気で亡くしてから父と姉夫婦と姪っ子と俺で暮らしている。
俺は父さんと姉ちゃんと義兄さんのおかげでごく一般的な学校生活が送れてる。
だから俺も姪っ子の華ちゃんには何不自由なく成長してほしいと思ってる。
大人たちは仕事で大変なので保育所へのお迎えは一番時間の都合がつく俺の担当。
そうやって毎日過ごしてるから華ちゃんとは兄妹のように仲良し。
姉ちゃん帰ってくるまでたまに公園で遊んだり図書館行ったりして時間を潰したりもする……華ちゃんは本を読むのが好きだから俺より博識なんだ。
華ちゃんはちょっと大人びてるというかミステリアスな所がある。

(華ちゃん、想田くんと気が合うかもね……想田くんもいつも本読んでるし。)

「ショーゴくんどうしたの?」
「ん?なにが?」
「なやみごとしてるかお」
「わかるの?」

華ちゃんが頷いた。
やっぱり華ちゃんは賢いし鋭い気がする。
 
「……華ちゃん、二人だけの秘密にしてほしいんだけど」
「うん。やくそくやぶらないよ」
「ありがとう。……俺好きな子できたかも」

華ちゃんがニコッとして「よかったね」って言ってくれた。
華ちゃんはすごく優しい。

「でもさ……どうやって仲良くしたらいいかわかんないんだよね」
「どうして?」
「あんまり話しかけてほしくないんだって」
「……」

華ちゃんの沈黙が続いた。
そのまま華ちゃんと俺は家にたどり着いた。
手を洗っていると今日は残業なしだった姉ちゃんが帰ってきた。
姉ちゃんは仕事帰りに買ってきた食材を台所に置いて華ちゃんと一緒に風呂に入った。
その間俺は宿題を片付けた。
で、風呂から上がると姉ちゃんは晩御飯を作りはじめて、俺は華ちゃんとリビングで過ごしていた。
華ちゃんが自分の引き出しから何かを持ってきて俺に差し出した。

「なに?華ちゃん」
「すきなコに、おテガミをかいたらいいとおもう」
「あー、天才じゃん!華ちゃん!」

華ちゃんはまたニコッと笑った。
華ちゃんには申し訳ないけど華ちゃんの大事なレターセットをもらった。
そして俺は何時間もかけて想田くんに手紙を書いた。


翌朝、教室の前で待ち構えて想田くんに声をかけた。
想田くんは気まずそうに視線を反らした。

「あまり喋りかけちゃダメかなって思って、手紙で気持ち伝えることにしたよ」
「……」

手紙を差し出すと想田くんは突き返さないで受け取ってくれた。

(やっぱり優しいよね)

想田くんに宛てた手紙の内容は……

『想田くんへ
昨日は怪我手当てしてくれてありがとう。
想田くんはグイグイ来られるの苦手かなって思ったから手紙で気持ちを伝えることにしました。
それでも嫌な気持ちにさせてたらごめん。
手紙は慣れてないから思ってること上手く伝えられないけど、想田くんと仲良くなりたいです。
倉本より』

あんまり好き好きアピールしても怖いだろうし、中身なさすぎてもおかしいし……俺なりに熟考した。
義兄さんが姉ちゃんに初めてメールする時ドキドキしたって言ってたけど何か気持ちがわかったかもしれない。
その日の接触は手紙を渡しただけだったけど、受け取ってもらえただけで俺は1日中浮かれていた。

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