愛しい隠れ美少年はサキュバスだった。

想田くんに夢中

想田くんからのお返事

夢の出来事を反芻しながら登校した。
登校して下駄箱を開けると誰かが入れた連絡先のメモと、しっかりした便箋があった。

「……」

俺は封筒から取り出して手紙をその場で読んだ。

『倉本くんへ
手紙ありがとう。怪我は大丈夫？
俺、人見知りするから倉本くんをガッカリさせるかもしれない。
でも仲良くしたいって言ってくれて嬉しかったよ。
想田より』

え………………

え？？？？？？

(想田くんからお返事きた！！！！)

『仲良くしたいって言ってくれて嬉しかったよ』だって？！？！？！

ってことは仲良くしていいってことだよね！！！！

俺は足早にクラスへ向かった、そして一直線に想田くんの元にやってきた。

「想田くん！おはよう！！手紙読んだよ！！」
「……」

俺はテンションが上がりすぎていた。
アクションを起こせば想田くんが応えてくれると思い込んでいたけど、想田くんはみるみるうちに顔が赤くなって黙り混んでしまった。
そして想田くんが周りにチラッと視線をやった。
俺も我に返って周囲を見ると、俺の大きい声のせいで近場にいた人がみんなこっちを見ていた。
で、俺は普段から悪目立ちするから友人や女子たちもこっちに視線を向けはじめた。

「クラ、何想田くんに絡んでんの？」

仲良い女友達が冷ややかな声で尋ねてきた。

「絡んでねぇって！その、」

俺は手紙のことを口にしそうになったけど手紙は俺たちと華ちゃんだけの秘密にしたいと思って堪えた。
そしたらなんて言い訳すればいいか迷ってしまってその内に次々人が集まり始めた。

「クラと想田くんって仲良かったっけ？」
「これから仲良くなるんだよ！」
「なんじゃそりゃ。」
「その、俺たちのことはほっとけよ！！」
「俺たちとか言ってる。」
「クラ必死じゃん。」
「あーもぉ！その、そっとしといてよ！」

俺は不安になって想田くんの様子をチラッと見た。
するとそこに想田くんの姿はなかった。

「え？想田くんは？？」
「知らん。」

俺は顔面蒼白になった。

(行動ミスったかもしれない……)

(俺……嫌われたかも……)

その日は最悪の気分で１日過ごした。
想田くんの様子をチラチラ伺ったけど一回も目が合わなかった。

(俺……本当に脈なしだ……)