ふくろうくんのくるみボタン

舟崎葵葉

文字の大きさ
1 / 1

ふくろうくんのくるみボタン

しおりを挟む
 ある日のばん。きつねのこん吉は、ふくろうくんの店でキャンドルを1本かいました。
「こん吉くん、おまけあげるよ」
「これ、なあに?」
「くるみボタンだよ。木のボタンを ぬのでくるんで、ししゅうしたから、くるみボタンっていうんだよ」
「へえー、すてきだねえ」
 くるみボタンには、ビーズがぬいつけられていて ふくろうくんのかおになっています。
「ボタンの うしろのひもで、カバンやぼうしにつけてみて」
「うん」
こん吉は、ボタンを くろいかばんにむすびつけました。
「ふくろうくん、ありがとう」
 店をでると、あたりはまっくらです。
 森のなかは、ふくろうくんのキャンドルだけが くらやみをてらす あかりです。

 キャンドルに火をともすと、くるみボタンがキラキラとかがやきました。
「うっふふふ。すてきなボタンを もらっちゃった。きっと、ぼくにだけのおまけだ! 」
 こん吉は、なんどもボタンをみて、うっとりしました。

〈おまけ
 おまけ
 おまけのボタン
 ふくろうくんから 
 もらったよ〉
 こん吉は、はなうたを うたいだしました。

「森のみんな、こんばんは。ぼくのうたきこえた?」
 こん吉は、ひとりで ぺらぺらとしゃべったり、うたったりしています。

〈こん こん こん こん ぼくにだけ
 こん こん こん こん おまけつき

 こん こん こん こん こん吉の
 こん こん こん こん たからもの〉

 こん吉が おおごえでうたっていると、
「うるさいなぁ、ねむれやしない」
 うさぎのぴょんすけが、家のまどからかおをだしました。

「やあ、ぴょんすけ。いいものをみせてあげるよ」
 こん吉が、カバンをもちあげてくるみボタンをみせました。
「えっ、みせてみせて。どこでかったの?」
 ぴょんすけが、まどから みをのりだしてきました。
「うっはっはっは~、これはもらったんだ。ふくろうくんの店で キャンドルをかったから」
「ふーん」
 ぴょんすけは、そういうと、 まどをしめてしまいました。
「なんだ、ぴょんすけったら・・・・・・。そうだ! あした、森のみーんなにくるみボタンをみせようっと」
 こん吉は、はなうたをうたいながら 家にもどりました。

 つぎの日。こん吉は ボタンをむすびつけた カバンをもってひろばにむかいました。
「みんなー、ぼくのたからものみせてあげるよ」
 こん吉がおおきなこえでいうと、森のみんながあつまってきました。
「これは、くるみボタンっていうんだ。木のボタンを ぬのでつつんで、ししゅうしてあるんだぞ」
「うわあ、いいなあ」
「ふくろうくんにもらったんだよ。ぼくにだけのおまけなのさ」
 こん吉がいうと、みんながざわざわしはじめました。

 そこに、ちいさなぼうしをかぶった、ぴょんすけがやってきました。

〈ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん おいらにも
 ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん おまけつき

 ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん ぴょんすけの
 ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん たからもの〉 
 
「やあ、こん吉。こんにちは」
 ぴょんすけが、ぼうしをとってあいさつをしました。
「キャンドルをかったら、ふくろうくんがくるみボタンをくれたんだ」
 ぴょんすけのぼうしに、金いろにひかるボタンがついています。

「えっ、きみもくるみボタンをもらったの?」
「うん、そうだよ。いいだろう。ひとはり ひとはり金いろの糸でぬってあるんだって」
 ボタンは、おほしさまのかたちにししゅうされています。
「ほら、みてよ。ボタンのうしろにあながあるだろう。ふくろうくんがリボンをとおすといいよって」
 ぴょんすけが、ぼうしからボタンをとって みせてきました。
「こんなに金いろにがやくボタンをみたことないよ」
 こん吉が、ぴょんすけから ボタンをとって ふたつならべました。

「金いろのボタンもいいな。ぼくのかばんにぴったりだ」
「こん吉のボタンもすてきだね。なないろに かがやいていてみえるよ」
「ねえ、ぼくのぼうしにもつけさせて」
 こんどは、ぴょんすけが ふたつのボタンをとって ぼうしにつけました。
「おいらのぼうしにぴったりだ!」
 ぴょんすけがぼうしをかぶってとびまわりました。

「そうだ! ぼく、いいことかんがえた」
 こん吉がおおきなこえでさけびました。
「ぴょんすけ、たいけつしようぜ! ボタンをなげて、さきにひろったほうが ふたつもらうっていうのはどうだ」
「よし、わかった。おいらがとってやる!」
ぴょんすけは、ボタンをひとつ うけとりました。

「それーっ!」
 こん吉とぴょんすけは、ボタンをそらたかくなげました。
「がんばれー、こん吉」
「がんばれー、ぴょんすけ」
 まわりでみていたみんなが、おうえんしはじめました。
 ボタンは、くるくるとまいながら、ぴょんすけのあしもとにおちました。
「やった、ボタンをとったぞ。おいらのかちだ!」
 ぴょんすけがとびあがってさけびました。
「いや、だめだ。やりなおし。きみのほうがなげるのがおそかったじゃないか」
「でたらめいうな、おなじくらいになげただろう」
 ぴょんすけがこん吉につかみかかりました。
「あともういっかい、しょうぶしようぜ。ぼくがうたいおわったら、ボタンをなげよう」
「もういっかいだけだぞ」

〈こん こん こん こん ぼくにだけ
 こん こん こん こん おまけつき

 ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん おいらだけ
 ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん おまけつき〉
「それーっ!」

 ふたつのボタンがそらをまうと、それぞれが、ひとつずつひろいました。
「あっ、それぼくのボタン」
「そっちこそ、おいらのボタンじゃないか」
 こん吉は、金いろのボタンをつかみ、ぴょんすけは、なないろのボタンをとったのです。
「あしたもたいけつするぞ」
「こんどこそ かってやる」
「ふんっ」
「ふんっ」
 おたがい、ひとつずつボタンをもって 家にかえりました。

 たいけつをみた森のみんなは、こぞって ふくろうくんのみせにキャンドルをかいにいきました。
 ふくろうくんは、たくさんボタンをつくっていたので、みんなもおまけがもらえて大よろこびです。

 こん吉とぴょんすけは、みんながボタンをもらったこともしらず、きょうもたいけつをしています。
 ふたりとも、こんどこそふたつとももらうぞともえていました。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

青色のマグカップ

紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。 彼はある思い出のマグカップを探していると話すが…… 薄れていく“思い出”という宝物のお話。

人柱奇譚

木ノ下 朝陽
児童書・童話
ひたすら遣る瀬のない、救いのない物語です。 ※デリケートな方は、閲覧にお気を付けくださいますよう、お願い申し上げます。 昔書いた作品のリライトです。 川端康成の『掌の小説』の中の一編「心中」の雰囲気をベースに、「ファンタジー要素のない小川未明童話」、または「和製O・ヘンリー」的な空気を心掛けながら書きました。

パンティージャムジャムおじさん

KOU/Vami
児童書・童話
夜の街に、歌いながら歩く奇妙なおじさんが現れる。 口癖は「パラダイス~☆♪♡」――名乗る名は「パンティージャムジャムおじさん」。 子供たちは笑いながら彼の後についていき、歌を真似し、踊り、列は少しずつ長くなる。 そして翌朝、街は初めて気づく。昨夜の歌が、ただの遊びではなかったことに。

かつて聖女は悪女と呼ばれていた

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」 この聖女、悪女よりもタチが悪い!? 悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!! 聖女が華麗にざまぁします♪ ※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨ ※ 悪女視点と聖女視点があります。 ※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

処理中です...