たんぽぽ 信一・維士

みー

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維士 35歳

2023年 夏 維士 渡米前

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2023年 夏 維士

 渡米直前、入院中の病院に、お母さん、母さん、大ちゃん、信ちゃんが来てくれた。

 1人ずつ短い時間だが、ゆっくりと小さな声で殆ど聞こえないと思うが、耳元で囁くように話せた。
 
 大ちゃんに、
「大ちゃんの、おかげで、ドクがいなくなったありがとう。
 個展始められたのも大ちゃんのおかげだ、恩人で感謝している、本当にありがとう。
 年1回くらい信ちゃんの様子見てやって欲しい。
これからも宜しくだけど、ありがとう。感謝している」と
 
 母さんに、
「母さんの人生には尊敬しています。
日本の宝だ。
 僕に優しくしてくれてありがとう。
 信ちゃん、言うこと聞かない時、イシが言っていたと言って体調管理お願いします。
 母さん困った時、僕のお母さんに相談して、僕元気になって帰ってくるまで、信ちゃんの事宜しく頼みます」と
 
 お母さんに、
「お母さん、僕を守って育てくれてありがとう。
 元気でいてくれてありがとう。
 お母さんが居なかったら、僕1人では生きて来れなかった、これからも元気でいてね。
 何か困った時、母さんに相談して、僕、大丈夫だから心配しないで、ありがとうお母さん」と

 少しだけ2人で話させてと3人に席を外してもらう。

 信ちゃんはベッドに横になっている僕を起こして、両手で抱きしめてた。僕は信ちゃんの頭をゆっくりと抱いて耳元に口をつけて、ゆっくり喋った、

「夢見たんだ。
 中学生の母さんが、中学生の僕と笑って、たんぽぽを取ってるんだ、たんぽぽの絵2人で描こうって、笑って言ってるんだ。
 中学生の笑っている母さんが、だんだん笑っている信ちゃんに変わって、僕と信ちゃんが、笑って絵を描いているんだ。

 信ちゃん 僕は少しだけ離れるけど、
笑って、生きていてね。
 帰ってくるから、、絶対に帰ってくるよ、

 信ちゃん、高校生の僕の絵、見つけてくれてありがとう、出会って良かった、」

「おれは出会わない方良かった、こんな別れは嫌だ。

 なんでこうなるんだ。

 おれはイシがいないと寂しくて、生きていけない,寂しい。
 おれが病気じゃなければ付いていくのに、、イシは、おれの全てなんだ。

 ごめんなぁ、本当は出会って良かった。本当に良かった。
 全てイシのおかげだ、一緒に住んでくれて、ありがとう。

 幸せくれてありがとう、いつまでも続くと思っていた。

 あまりに急で、おれ、どうしたらいいか、、わからない。
 イシ、おれは離れたくない。
寂しい、弱音ばかりで、全部ありがとう。

 待っている、、元気になって戻ってこい、愛してる」信ちゃんは僕を抱きしめた手に力を入れた。

「大丈夫だよ、別れじゃないよ、直すだけ、少し会えなくなるだけだよ。

 寂し事、言わないで。
 約束して欲しい、、絶対に約束だ。
 
笑って 生きていてね、,僕を待っていて。

 信ちゃんありがとう、ありがとう、大好きだよ、、愛してる」と、
囁くように言い、耳に、口づけた。

 信ちゃんは泣いてる、僕も初めて涙が出た。

(僕も、信ちゃんが僕の全てだよ、寂しい、寂しいよ、信ちゃん、僕を助けて欲しい、、)と心の中で言った。



 何百人に1人の難病で日本に症例がない治る確率は5部5の治療の為、イシはアメリカに渡った。


 信一は、実家で生活を送った。
イシ気配が濃厚なあの家では暮らせない。

 毎日を言葉を書いた。書かないではいられない。

 維士とまた暮らせる日が来ると信じて、その日が来たら、一緒にたんぽぽの絵を描こうと決めていた。

 次にする事は、明日起きたら、考えよう。
 明日も目覚められるはずだ、、、。

「約束した、、笑って、生きよう、禍福があるなら絶対治るよなぁ ばあちゃん」って独り言を言って、日課の手紙を見た。

 動かない手で、なんとか書いた手紙がイシの居なくなった病室の枕の下にあった。

 どんな気持ちで書いたのか、置いたのか、、考えると、辛い。

 大切な宝物だ。

 震えて、やっとわかる字を見ると、涙が出る。

「イシ、苦しいか、おれがいるから、大丈夫だ」と、手紙に話す。

(しんちゃん、17ねんだ。
ありがとう、ほんとうにありがとう、
11ねんは、いっしょで しあわせだった。
すこし はなれるけど さびしがらないで、
おおきな ひかり くるから
わらって いきて まってて。 いし)

 イシに、会いたい、。

 手紙ともう一つ置いてあったのも見る。

 11年前一緒に住む事になった記念に、2人だけの為に作った5ページの写真集。
 
 全裸で、白い部屋の白いシーツに包まって撮った。
 見つめあい、背中合わせ、肩を抱く、抱き合い、、、全てのイシは芸術的で輝いて写ってた。
 
 最後の写真の2人は、楽しそうに戯れ合い、最高の眩しいイシの笑顔があるはずが、よく見えない、、、。

 涙が、邪魔をした。
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