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一章
5話
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「この惨劇を私がやったとお思いですか?」
モモの持っている見慣れぬ刃には血がついておらず、服装も汚れていない。
モモがやった可能性はあるかもしれないが、確証もない。
ジェーンは何も返事が出来ずにいると、モモは続けた。
「一足遅かったのです……開発者の仕業でしょう」
その言葉にジェーンは凍りつく。
ツカサの前に立って話をしていたモモだったが、そこまで言うと同時に目にも止まらぬ速さで、イエンの鼻先に刃を突きつけた。
「んっなぁ!?」
あまりのモモの速さにイエンは声をひっくり返した。
「力ずくでも、イエン様にご同行願います」
モモの持っている刃が鈍く光る。
「させるか!」
しかしその刃は、ジェーンの剣術に阻まれた。
イエンの耳元に金属音が響く。
「あなたは、まだ分からないのですか!? もう時間はないのですよ!?」
モモの必死の訴えをジェーンは、彼女の後ろに回り込んで手刀を食らわし遮った。
その場にモモは崩れ落ち、意識を失った様子である。
「次はあんただぞ……」
ジェーンは剣を構え、姿勢を低くし切りかかる。
「我は加減を知らぬぞ……」
そう冷たく低い声が聞こえたかと思うと、ツカサはジェーンの剣を見事にかわし、固い拳を作りそのまま背中へ繰り出した。
背中にそれが入ると、ジェーンは激しく咳き込み、頭から地面に突っ伏した。
一瞬の出来事にイエンは息を飲む。
「ようやく見つけた、イエン……」
ツカサはイエンに向き直る。
背中の大鎌にこそ手を掛けていないが、今までの流れでイエンを襲いかかるかもしれない。
イエンは立ち上がり、心許ない木刀に手をあてた。
「あ、あんた、誰だ……?」
必死に絞り出した声は震えていた。
「我は、ツカサ。殺しにきた訳ではない」
呆れた、と言わんばかりに、ツカサはため息をつく。
モモの持っている見慣れぬ刃には血がついておらず、服装も汚れていない。
モモがやった可能性はあるかもしれないが、確証もない。
ジェーンは何も返事が出来ずにいると、モモは続けた。
「一足遅かったのです……開発者の仕業でしょう」
その言葉にジェーンは凍りつく。
ツカサの前に立って話をしていたモモだったが、そこまで言うと同時に目にも止まらぬ速さで、イエンの鼻先に刃を突きつけた。
「んっなぁ!?」
あまりのモモの速さにイエンは声をひっくり返した。
「力ずくでも、イエン様にご同行願います」
モモの持っている刃が鈍く光る。
「させるか!」
しかしその刃は、ジェーンの剣術に阻まれた。
イエンの耳元に金属音が響く。
「あなたは、まだ分からないのですか!? もう時間はないのですよ!?」
モモの必死の訴えをジェーンは、彼女の後ろに回り込んで手刀を食らわし遮った。
その場にモモは崩れ落ち、意識を失った様子である。
「次はあんただぞ……」
ジェーンは剣を構え、姿勢を低くし切りかかる。
「我は加減を知らぬぞ……」
そう冷たく低い声が聞こえたかと思うと、ツカサはジェーンの剣を見事にかわし、固い拳を作りそのまま背中へ繰り出した。
背中にそれが入ると、ジェーンは激しく咳き込み、頭から地面に突っ伏した。
一瞬の出来事にイエンは息を飲む。
「ようやく見つけた、イエン……」
ツカサはイエンに向き直る。
背中の大鎌にこそ手を掛けていないが、今までの流れでイエンを襲いかかるかもしれない。
イエンは立ち上がり、心許ない木刀に手をあてた。
「あ、あんた、誰だ……?」
必死に絞り出した声は震えていた。
「我は、ツカサ。殺しにきた訳ではない」
呆れた、と言わんばかりに、ツカサはため息をつく。
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