人造人間(アンドロイド)

幸輝

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二章

25話

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「開発者がこんなに早く戻ってくるか……?」
「開発者って……クルエラさんのことだったの?」
「あぁ……」

 暗い森の中では視界が悪く、相手の姿を確認することはできない。殺気を感じるも、発している主が分からないでいた。
 イエンとジェーンの会話をよそに、ガーディは目を瞑って気を集中させる。

「……この感じは……ジェーン様、しばらくここで待機を」

 そう言うとガーディは一瞬で姿を消した。

「ケガしてるミナウィンと一緒で大丈夫なのかよ!?」

 イエンは思わずジェーンに訴える。

「ミナウィン様が一緒でも大丈夫な人って、ガーディには分かったんじゃないか?」
「でも……相手を目視できないのに伝わるこの殺気……」
「……つい昨日、こんな殺気を味わったよな?」
「俺の国で会った……」

 そこまてまいうと、ガーディは姿を現した。

「……やはり、ツカサ様でした」

 イエンは、ツカサ、という名前に冷や汗が出た。

「なんでここに!? 俺を追ってきたのか!?」

 ガーディは軽いため息をつく。

「……そんな言い方しないで下さい。ミナウィン様の気になる人とは、ツカサ様のことなんですから」

 イエンとジェーンは、え!?、と同時に大声を出した。
ますますイエンは変な汗をかく。

「……ツカサ様は、戦闘があまり得意ではないので、あぁやって殺気を放って、敵を寄せ付けないようにしているのです」
「……えっと、その前に……ミナウィンとツカサはどういうご縁で?」
「……あぁ、何年も前に、棒術の実地演習でスズヌ森に来たのですが、迷子になりまして。その時、助けられてミナウィン様は一目惚れしました」
「でもあいつ、俺の国を襲ったんだぞ!?」

 ガーディは眉を潜める。

「……本当にツカサ様がやったのを見たのですか?」
「え、それは……」
「……多分、イエン様が危険な人造人間だから、開発者にバレないようにイエン様を助けに来たのでは?」

 イエンは言葉を失った。
 メイドのモモも、私達がやったのではない、と発言していたことを思い出す。

「もしかして、あの時ツカサに連れていかれないようにジェーンが動いたのって……」
「まぁ、私、一応クルエラ側の人間だったんでね」

 ジェーンは、ばつが悪そうに笑う。

「ってか、ツカサも人造人間だったのかよ……あ、あれか、危険な人造人間を突き出してやろうとか思う下等な人造人間だったの……」
「……ツカサ様はそんなことしません」

 ガーディは怒りに満ちた表情でイエンを睨み付ける。
あまりの迫力にイエンの減らず口が停止した。

「……とりあえず、これで助かりました。ツカサ様についていけば、日向の村に辿り着けます。ツカサ様にこちら側は認知されていないと思いますので、そんなにツカサ様が嫌で会いたくないのであれば、こっそりついていきますか?」
「村についたら嫌でも会うことになるんだろうけど……そうする」

 イエンの言葉に頷いて、冷たい雨が降る中、一行はガーディを先頭に森を進むのであった。
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