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六章
58話
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「治癒魔法だけは、ガーディもバカなりに頑張って覚えたみたいだけど、他はキャパオーバーだったかな?」
黒いもやからはチリチリと赤い火花が飛び散り始める。
「僕をもう一度、人間に戻して? 今度はちゃんと王様になるから」
ガーディは慌てて小薙刀を振りかざす。
デューガは右手の短剣でその攻撃を受け止めた。
キンッ、という高い金属音が響く。
「もう……! レイホウ様の後にちゃんと相手するから、待っててよガーディ」
ガーディはデューガの体勢を崩させようと、力いっぱいに武器を押す。
「くっそ……! このバカ力がぁ!!」
デューガは力勝負に押し負ける。
床に思いきりめり込み、手のひらに溜めていた黒いもやは、牢獄の壁をぶち抜いた。
「ガーディ! 大丈夫か!?」
ぶち抜いた壁から、聞き覚えのある声が部屋に届く。
「ジェーン……?」
イエンは目を閉じながら声をあげた
「ジェーンだけ? ミナウィンとモモは?」
ジェーンはガーディの姿しか確認していなかったが、イエンの声で向き直った。
「ミナウィン達は地下にツカサがいないか確認するためにふた手に分かれたんだ。この城の構造は分かっていたから、開発者が現れるなら、ここか研究室かと思ったが、私の方があたりだったようだな」
「ジェーン殿、戦いが終わってからでいい、イエンを視てやってくれ。どこか壊れたみたいで、視点が安定していないのだ」
ツカサがすがるようにイエンに頼む。
それは必死で、なんとかイエンを生かそうと本当に思っているようである。
「何!?」
ジェーンはしゃがみこみ、イエンのまぶたを開いてやると、上下左右に目玉が震えるのを確認した。
「これは中を視なくちゃ……開かないと分からない……今すぐ直すのは難しい」
「あぁ、後からでいい、頼む。ここが落ち着いてから……」
「落ち着く訳……ないだろうがー!!」
デューガはガーディを押し退け、叫びながら立ち上がった。
「思ったより来るのが早かったな、ジェーン様」
「デューガ!?」
「そうだ! お前が殺した、デューガだよ!!」
デューガは迷いなくジェーンに斬りかかった。
ジェーンは後ろに飛び退き、一撃をかわした。
黒いもやからはチリチリと赤い火花が飛び散り始める。
「僕をもう一度、人間に戻して? 今度はちゃんと王様になるから」
ガーディは慌てて小薙刀を振りかざす。
デューガは右手の短剣でその攻撃を受け止めた。
キンッ、という高い金属音が響く。
「もう……! レイホウ様の後にちゃんと相手するから、待っててよガーディ」
ガーディはデューガの体勢を崩させようと、力いっぱいに武器を押す。
「くっそ……! このバカ力がぁ!!」
デューガは力勝負に押し負ける。
床に思いきりめり込み、手のひらに溜めていた黒いもやは、牢獄の壁をぶち抜いた。
「ガーディ! 大丈夫か!?」
ぶち抜いた壁から、聞き覚えのある声が部屋に届く。
「ジェーン……?」
イエンは目を閉じながら声をあげた
「ジェーンだけ? ミナウィンとモモは?」
ジェーンはガーディの姿しか確認していなかったが、イエンの声で向き直った。
「ミナウィン達は地下にツカサがいないか確認するためにふた手に分かれたんだ。この城の構造は分かっていたから、開発者が現れるなら、ここか研究室かと思ったが、私の方があたりだったようだな」
「ジェーン殿、戦いが終わってからでいい、イエンを視てやってくれ。どこか壊れたみたいで、視点が安定していないのだ」
ツカサがすがるようにイエンに頼む。
それは必死で、なんとかイエンを生かそうと本当に思っているようである。
「何!?」
ジェーンはしゃがみこみ、イエンのまぶたを開いてやると、上下左右に目玉が震えるのを確認した。
「これは中を視なくちゃ……開かないと分からない……今すぐ直すのは難しい」
「あぁ、後からでいい、頼む。ここが落ち着いてから……」
「落ち着く訳……ないだろうがー!!」
デューガはガーディを押し退け、叫びながら立ち上がった。
「思ったより来るのが早かったな、ジェーン様」
「デューガ!?」
「そうだ! お前が殺した、デューガだよ!!」
デューガは迷いなくジェーンに斬りかかった。
ジェーンは後ろに飛び退き、一撃をかわした。
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