白い人形

幸輝

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結成

44話

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「イサムは、座敷童子の漢字が読めなくて、きっと、どうし、って読んだんだ。座敷童子は、妖怪だ!」

 僕は、座敷童子のページを発見した。

「いたずら好きな五、六歳の子ども……あれ? でも、見た目がキクちゃんと違うな」

 僕が知っているキクは、髪の毛や肌、着物にいたるまで白色。
 しかし、説明で書かれているのは、黒い髪のおかっぱで赤いちゃんちゃんこを着ているのが多い。

「あ、住み着く家とか座敷童子の階級で見た目は変わるのか……ってなると、キクって結構やっぱりすごい?」

 真夏にも関わらず、僕は身震いした。

「そういえば、河童とかやまんばが見えるって言ってたな……」

 僕は、そのまま妖怪図鑑で河童とやまんばのページを読む。

「どっちも全国に分布してるけど……三体とも、遠野物語で出るみたい……遠野物語ってなんだ?」

 僕は、図書館内をぐるぐると回る。
 物語と書いているからには、本があるに違いないと思ったようだ。
 暑さのせいで、首筋や額には汗が見てとれた。

「あった!……岩手県!?」

 僕は、また思い出す。
 キクは、ここではない遠い場所から来たということを。
 それも雪の多い北の方角からだったと。
 謎であった物事が、たくさんの点と点が繋がってる。
 気づけば、僕の座っていた席には、色々な本や紙が散らばってあった。
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