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本性
52話
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物凄い勢いの風が、本堂から出口に向かって吹き抜ける。
その風に、キクは乗っていた。
転がっている壊れた人形も引き連れて。
ドンッ!、と扉が外へ吹き飛び、それと同時にキクも外へと逃げてしまった。
「くそ……逃がした……」
中年男性は、キクが逃げてしまった方角を見る。
僕とイサムも、それに倣って外を見つめる。
しばらくすると、中年男性は僕に向き直る。
「君がノゾム君だね、私は封印を頼まれたモリだ」
若干、面倒臭い顔をしながらモリは自己紹介をする。
僕は、どうも、と頭をぺこりと下げた。
「君があの化け物の封印を解いたんだって?」
「キクは……化け物じゃないです」
僕は、ムッとした表情で言う。
「でも、封印を解いたのは、僕、です」
「そうかい、でも、さっきの顔を見たろう? あれは、どう見ても化け物だ」
「それは、モリさんがお札で攻撃したからで、いつもは、可愛くて優しいんですよ!」
なんの話をしているのか分からないイサムが、恐る恐る声をかける。
「やっぱり、さっきの、白い着物の女の子、いたの?」
「あぁ、完全に妖怪だったな」
「でも、俺が前に足を掴まれた時は目視できたのに、今回は見えなかった……」
「きっと、人を化かそうとする時にだけ姿を現すんだろう」
モリは、壊れた扉から外に出て、階段に腰かけ、ポケットからタバコと携帯灰皿を取り出す。
「座敷童子の有名な話だ、大人が子どもの数を数えると、なんでか一人多い、とかな」
その風に、キクは乗っていた。
転がっている壊れた人形も引き連れて。
ドンッ!、と扉が外へ吹き飛び、それと同時にキクも外へと逃げてしまった。
「くそ……逃がした……」
中年男性は、キクが逃げてしまった方角を見る。
僕とイサムも、それに倣って外を見つめる。
しばらくすると、中年男性は僕に向き直る。
「君がノゾム君だね、私は封印を頼まれたモリだ」
若干、面倒臭い顔をしながらモリは自己紹介をする。
僕は、どうも、と頭をぺこりと下げた。
「君があの化け物の封印を解いたんだって?」
「キクは……化け物じゃないです」
僕は、ムッとした表情で言う。
「でも、封印を解いたのは、僕、です」
「そうかい、でも、さっきの顔を見たろう? あれは、どう見ても化け物だ」
「それは、モリさんがお札で攻撃したからで、いつもは、可愛くて優しいんですよ!」
なんの話をしているのか分からないイサムが、恐る恐る声をかける。
「やっぱり、さっきの、白い着物の女の子、いたの?」
「あぁ、完全に妖怪だったな」
「でも、俺が前に足を掴まれた時は目視できたのに、今回は見えなかった……」
「きっと、人を化かそうとする時にだけ姿を現すんだろう」
モリは、壊れた扉から外に出て、階段に腰かけ、ポケットからタバコと携帯灰皿を取り出す。
「座敷童子の有名な話だ、大人が子どもの数を数えると、なんでか一人多い、とかな」
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