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1章:女神の転生
1:ドジっ子かな?
しおりを挟む私は女神。名を「アテナ」と言う。
人生の3分の1を生きられずに死んでしまった人々を転生させる仕事をしている。他にもいくつかの宗教の神としても崇められているらしいが、あんまり愉快とは言えない。だって私は女神とはいえ、そんなに素晴らしいことはしていないし、人々を幸せに出来るだけの力もない。だから崇められることは苦手だ。
「ようこそ、死後の世界へ。貴方には転生する機会が与えられました。」
何度も言ったその言葉を、まだ16歳の少女にも伝える。
「そこで、貴方には好きな物、容姿や技や能力を手に入れて異世界へと行く権利が与えられました。」
相手が困惑した表情になるのも、目の前で泣き出すことにも、もう何千年も前に、慣れてしまった。
「じゃあ、一つだけいいですか?」
少女が問いかける。
「男の子になって、どこかの皇子として生活したい…です」
「分かりました。それでは、そちらの円の中に入ってください。」
もう何回もこなしてきた手順。間違えることなく魔法を発動させると、思いっきり笑顔を作ってやって、元少女となったその子を送り出してやった。
「次の人生では…貴方が幸せでありますように!」
*****
「たまに居るんですよねぇ…性別を変えたがる人…何故かしら?」
人間はやっぱり考え方が違うのだなと頷きながら使い終わった魔法を消そうと歩み寄った時だった。
先程の少女だろうか、誰かが死後に置いていった鮮やかな珠の着いた髪飾り。それにヒールを躓き、転んでしまった。
「いっ…たぁーぃ… まさか躓くなんて…」
すると途端に周りの景色が明るく、ぼんやりと歪み始める。
「あら?…まさか!?」
アテナが転倒して倒れたのは、先程転生を済ませた円の上だった。
魔法はまだ残っており、アテナに力が働いてしまったのだ。
「そんな…嘘でしょ────────
アテナはそのまま、光に飲み込まれて行った。
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