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事件
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誘拐?
う、嘘だろ?
さっきまで一緒にいたのに、こんな僅かな時間で消えるなんて。
リリナのやつなにしてるんだ?
俺の見立てではそこらへんの冒険者にも劣らない強さだと思ったんだが・・・・・・
ルークは私が守るとか主人公っぽいセリフを吐いてたくせに、言ったその日に自分が誘拐されてしまうとはリリナの奴め、しっかり者の雰囲気をだしているくせに、心配をかけさせやがって。
流石、赤子時代の俺を笑いと恐怖の渦で震撼させただけはある。
「あなた、落ち着いて話してちょうだい。本当にリリナちゃんが誘拐されたの?]
「ああ、リリナちゃんの家から帰ってこないと連絡がきて、町の警備隊を使って探してたんだが、幼い少女を連れ去る男を見たという人がでてきてな。それでわかったんだ」
「なんて恐ろしいを・・・・・・」
母上と父上が攫われたリリナについて話をしている。
俺なら人攫いなんて一刀のものに切り伏せてやるのに。けど、リリナは俺と比べたら、まだまだ弱っちいから仕方ないか。
二人の会話を立って聞いていると、母上が心配そうに俺を見つめる。
「ごめんね、クーちゃん。怖い話し聞かせてしまって。リリナちゃんのことは、パパにまかせて安心しなさい。クーちゃんのお友達は必ず助けるから」
「いいえ、ははうえ、りりなはおれが、助けるのでだいじょーぶだよ」
「ふふ、クーちゃんは優しい子ね。でも、しばらく自分の部屋で待っててね」
そして、俺は母上に抱っこされて、一人部屋に置いてきぼりにされた。
「はあー、まったく、りりなの奴は世話がかかるよ」
俺はベッドのしたに潜り込んで、隠しておいた、とあるものを取り出した。
「まさか、またこいつを使う日がくるとは、おもってなかったよ」
俺は、かつての相棒、漆黒のタオルケットをぱさぁと羽織る。
うん、ちょっと小さく感じるけど、装備しているだけで安心感が半端ない。1歳になるまで四六時中ともに過ごしてきただけある。まるで久しぶりに母上のマンマミルクを飲んだような気分だ。
そして、父の汗ふきタオルと、漆黒のよだれ掛けを顔に巻けば変装は完璧だ。
これで、俺が正義のヒーローとしてかっこよくリリナを救出して、どちらが真の主人公か、教えてあげよう。ぷぷぷ、どうにも最近はお姉さんづらされて、マウントをとられている感じがしてたんだ。ここらで、きっちりどちらが上か、白黒つけてやろう。
俺は裏口から外に出て、近くの木の天辺に飛び乗った。腕を組み、夜空を見上げる。静かな闇の気配が、美しい世界を包みこんでいる。だが、町の方を見下ろせば、点々と灯る松明の明かり。ここのどこかにリリナと誘拐犯がいるのだろう。
全力を出せば捜索なんて簡単だ。けど町が明るくては、隠密行動がしづらいな。
よし、と俺は左手を掲げて魔力を町中に放出させる。
すると、魔力風が吹き荒れて、風が町中の松明の炎を消していく。
これで、少しはやりやすくなっただろう。
俺は悪徳貴族を退治したときの気持ちを思いだし、気合いをいれる。
大切な人を守るためなら何度だって修羅に戻ろう。
木刀を抜き、浮かぶ満月に突きつけるて宣言する。
「ふふふ、翠緑の姫はこよい、しんのさいきょーを知ることになるだろう。運命のほしが頭上で輝くまで、おとなしく待っていてくれ、せにょりーた」
深淵がいま、解き放なたれた。
う、嘘だろ?
さっきまで一緒にいたのに、こんな僅かな時間で消えるなんて。
リリナのやつなにしてるんだ?
俺の見立てではそこらへんの冒険者にも劣らない強さだと思ったんだが・・・・・・
ルークは私が守るとか主人公っぽいセリフを吐いてたくせに、言ったその日に自分が誘拐されてしまうとはリリナの奴め、しっかり者の雰囲気をだしているくせに、心配をかけさせやがって。
流石、赤子時代の俺を笑いと恐怖の渦で震撼させただけはある。
「あなた、落ち着いて話してちょうだい。本当にリリナちゃんが誘拐されたの?]
「ああ、リリナちゃんの家から帰ってこないと連絡がきて、町の警備隊を使って探してたんだが、幼い少女を連れ去る男を見たという人がでてきてな。それでわかったんだ」
「なんて恐ろしいを・・・・・・」
母上と父上が攫われたリリナについて話をしている。
俺なら人攫いなんて一刀のものに切り伏せてやるのに。けど、リリナは俺と比べたら、まだまだ弱っちいから仕方ないか。
二人の会話を立って聞いていると、母上が心配そうに俺を見つめる。
「ごめんね、クーちゃん。怖い話し聞かせてしまって。リリナちゃんのことは、パパにまかせて安心しなさい。クーちゃんのお友達は必ず助けるから」
「いいえ、ははうえ、りりなはおれが、助けるのでだいじょーぶだよ」
「ふふ、クーちゃんは優しい子ね。でも、しばらく自分の部屋で待っててね」
そして、俺は母上に抱っこされて、一人部屋に置いてきぼりにされた。
「はあー、まったく、りりなの奴は世話がかかるよ」
俺はベッドのしたに潜り込んで、隠しておいた、とあるものを取り出した。
「まさか、またこいつを使う日がくるとは、おもってなかったよ」
俺は、かつての相棒、漆黒のタオルケットをぱさぁと羽織る。
うん、ちょっと小さく感じるけど、装備しているだけで安心感が半端ない。1歳になるまで四六時中ともに過ごしてきただけある。まるで久しぶりに母上のマンマミルクを飲んだような気分だ。
そして、父の汗ふきタオルと、漆黒のよだれ掛けを顔に巻けば変装は完璧だ。
これで、俺が正義のヒーローとしてかっこよくリリナを救出して、どちらが真の主人公か、教えてあげよう。ぷぷぷ、どうにも最近はお姉さんづらされて、マウントをとられている感じがしてたんだ。ここらで、きっちりどちらが上か、白黒つけてやろう。
俺は裏口から外に出て、近くの木の天辺に飛び乗った。腕を組み、夜空を見上げる。静かな闇の気配が、美しい世界を包みこんでいる。だが、町の方を見下ろせば、点々と灯る松明の明かり。ここのどこかにリリナと誘拐犯がいるのだろう。
全力を出せば捜索なんて簡単だ。けど町が明るくては、隠密行動がしづらいな。
よし、と俺は左手を掲げて魔力を町中に放出させる。
すると、魔力風が吹き荒れて、風が町中の松明の炎を消していく。
これで、少しはやりやすくなっただろう。
俺は悪徳貴族を退治したときの気持ちを思いだし、気合いをいれる。
大切な人を守るためなら何度だって修羅に戻ろう。
木刀を抜き、浮かぶ満月に突きつけるて宣言する。
「ふふふ、翠緑の姫はこよい、しんのさいきょーを知ることになるだろう。運命のほしが頭上で輝くまで、おとなしく待っていてくれ、せにょりーた」
深淵がいま、解き放なたれた。
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