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クエスト001:格闘派美少女記者
しおりを挟む人は生まれながらにして平等ではない。
やあ。僕の名前は芥川翡翠。そろそろしつこいかな。でもそんな僕には今悩みがあるんだ。
「こんにちは、おにーさん!」
そう最近怖い住所の特定というやつだ。おかしいな、何で僕がこの人につけられているんだろう。
彼女の名前は築山朱里つきやまあかり。昨日僕が中途半端に解決したテロ事件の傍にいた人さ。
「どうして此処がわかったんですか......」
「そんなもの私のスキルに掛かれば余裕よ!」
「それでも此処まで細かく判別することなんてできるんですか?」
「共感覚シナスタジアって知ってる?」
「ああー、はい。なんとなくは」
確か尖ってるものが辛いとか感じるアレだっけ。
「私は聞き分けた音を色と味で感知できるのよ、だからあなたがどこにいるかなんてお見通しなのよ」
なんてこった。万能すぎるだろう朱里さんのスキル。
「ちなみにお兄さんは無色無味。特殊すぎるから見分けやすいのよ」
「それは褒めてるんですか?」
「わからないわ、だから昨日お兄さんに声をかけたのよ」
なるほど。でもそれだとおかしくないか? 昨日のテロリストの能力者、彼の危険性にも気づけたはずだが......
「それに関しては謝るわ。あなたの能力が知りたい一心であえて危険な身に合わせたの」
「なんですかそれ」
まあ結局僕も無事だったから良しとしよう。いや、てかさっきから心の声も聞かれてないか......?
「その通り、私は読心術を強化したのもスキルに含まれているの」
「なんですかそれ!! 完璧にもほどがあるでしょう!!」
「だから私の事知ってると思ったんだけどな~カリスマ美少女記者、築山朱里の事を!!」
ああ!! そういえば少し前にテレビで見たじゃないか!! 最高ランクスキル保有者でありながらスキルを記事にする記者がいるって。ん? つまり朱里さんはアラs。
「おっとそれ以上思い出すとお兄さんの首、ポキッ。しますよ?」
「すみませんでした!!」
満面の笑みを見せる彼女に僕は全力で謝る。
「それじゃ、本題に入るわね。昨日のテロ事件、私達がドサクサにまぎれて逃げた後におかしな点が二つあったわ」
「おかしな点、ですか」
僕からしたら全員おとなしく縄で縛っておいたはずだけど。
「一つ目はあのテロリスト達が殺された事」
「なっ!!」
馬鹿な、あの人達が殺された!? いったいどうやって?
「それが全くわからないの。私が少しレーダーを音を聞き逃している隙に、といった感じね」
「つまりは僕らが捕まえてから警察が来る間ってことですかね?」
「そうなるわ。そこでもう一つの問題があるわ、殺されずに一人が逃げ出した事ね」
逃げ出した? あの筋力強化の人だろうか。
「......残念ながらあの人は殺されてしまったわ、逃げ出したのは別の人ね」
「そうですか......」
そうか、彼は......
「そこでお兄さんに頼みがあるの」
「手伝い、ですよね。事件の」
「わかってるじゃない!! 謎の大量殺人事件。これは追うしかないわ!」
まあ朱里さんは記者だし事件を追いたいのはわかる。しかし危険すぎる、僕は止めたい。
「あら、私の身の危険を心配してくれるの? 優しいのね」
「それもそうですが自分の心配です。犯人を追う事に僕のメリットはあるのでしょうか」
僕はヒーローでもなんでもない。わざわざ危険を冒してまでこの事件を追うほど善人じゃないのだ。
「そうねえ、お兄さんの志望大学。私と一緒なのよ、スキル研究学科には協力してるし話を通してあげてもいいわよ?」
「な、なんですと!!」
その提案は魅力的過ぎるッ!! 断れないじゃあないかッ!!
「決まりね。協力してくれてうれしいわ」
彼女は手を差し出してきた。なんだろうか......?
「ほら握手」
ぐいぐいと手を突き出す彼女と握手をした。常に見せているビジネススマイルとは違う、驚くほど魅力的な笑顔に僕は少したじたじしてしまう。
僕の心情を彼女も読みとってしまったのか彼女も顔を赤らめた。
えっなにこれもうめちゃくちゃ恥ずかしい!! 女の子の手なんて触ったことなくぁwせdrftgyふじこlp
「もう、とにかく行くわよ」
「えっ、どこにですか!?」
「説明しながら行くわ、ほら、乗りなさい!!」
彼女にぐいぐいと押され助手席に座る。
こうして僕の人生は彼女に大きく動かされることになる。
と、いいな。
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