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第一章 アルムハイト王国
男装王女は助けたい
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サアァァ………と風が吹く
優しい匂いがする。これは……姉様?
遠くで姉様たちが手を振っているのが見える
(姉様…!ユリィ姉様!リズ姉様!)
あぁ、きっとさっきまでのことは全部夢で、今日もいつもどうり誕生日をお祝いしに来てくれたんだわ…
(姉様……わたし怖い夢を見たんです……お父様とお母様が……その………黒い、化け物に殺されてて、姉様たちはわたし一人逃がして戦いに行ってしまう夢…………)
涙がポロポロと溢れてくる。あれは夢だ、全部悪い夢、だって姉様たちはここに…………
【⠀……にィガ…サナい……ョォ?⠀】
「…………!!!」
あまりの恐怖に目が覚めた、手は冷たく、体のあちこちから汗が出ているようだ。
どうやらわたしは眠っていたらしい。簡素なベットに木造の少し汚れた天井が見える。
ここはどこだろう……と思い、ゆっくりと体を起こすと
「あぁ、起きたのか。大丈夫じゃったか?随分魘されていたようじゃが」
絵本によく出てくる教会の神父さんのような黒い服装に、少ししわがれた低めの声で、金色の瞳を真っ直ぐと向けたおじいさんが、わたしに声をかけてきた。
「………ここは?」
「ここはアルムハイトの東の森の近くの教会じゃよ。お嬢さんは、扉の前で倒れていたんじゃ。覚えていないのかい?ここらじゃ見かけない顔じゃが、親御さんとはぐれたのかな?」
「金色の……………瞳」
「ん?なんだ、金の瞳が珍しいのかい?聖職者の殆どは金だがねぇ…そう言えば、お嬢さんも綺麗な金の瞳をしている…………」
おじいさんはそう言うとピタリと動きを止めて、一瞬眉間にシワを寄せたが、すぐにまた朗らかな顔で、
「あぁ、なるほどなぁ。お嬢さん、その片方の瞳は隠した方がいい。ここいらじゃあ滅多に見ない色だ。人攫いにあっては困るだろう?」
そう言われると、ハッとして片方の瞳を近くにあった布で隠した。
「………助けて下さり、ありがとうございます………すぐに、出ていきますので」
わたしがそう伝えると、おじいさんはじっと私の方を見つめて、静かに言った。
「……そう焦らずとも、ゆっくりしていくといい。わしはここで孤児院もやっていてね、
孤児院は分かるかい?身寄りのない子達を預かって大きくなるまで面倒を見るところじゃよ
わしはこの通りもう歳だから中々遊んでやれなくてな………お嬢さんが良ければ面倒みてやってくれると嬉しいんじゃがなぁ………」
おじいさんは探るような目線でわたしの方を見つめてくる。
でも、早く行かないと姉様たちが…………
だけど今のわたしに何ができる?
わたしがじっと黙っていると、おじいさんは少し考えるようにして言った。
「……………エレンシアには行けないと思った方がいい」
「………!!どうしてっ………ですか?」
「あそこは今や魔物の巣窟だ……生き残っている人間はほとんどいないじゃろう…」
「……………」
そんな、姉様、嫌、嫌だ、信じない、絶対信じない。だって必ず迎えに来るって、待っててって言ったのに!!!
ドロドロとした感情が溢れ出し、思わず姉様に貰ったペンダントをぎゅっと握りしめる。
「…………大切な人がいるのかい」
「…約束………したんです…………絶対迎えに来るって…………大丈夫だからって………!」
「………お嬢さん、そのペンダントはその人から貰ったのかい?」
「……はい、そうですが…………」
「ちょっと見せてみなさい。」
わたしは少し疑問に思いつつも、何か知っていそうなおじいさんに首にかけていたペンダントをおそるおそる手渡した。
「………なるほど。お嬢さん、あんたの大切なひとはまだ生きてるかもしれんよ」
「………っ!!本当、ですか!?」
「確実とは言えないがね……このペンダントは恐らく魔核を元に作られておる。」
「まかく……?」
「魔力を持つものはみな魔核というものを持っている。魔力の源………言わば命の欠片のようなものじゃよ」
「命の、欠片…………」
「あぁ、そしてまだこのペンダントからは微かだが魔力を感じるのじゃ。恐らく敵に捕まってはいるが、まだ生かされている、と言ったところかの」
「 …っじゃあ、早く助けに行かないと!」
「お待ちなさい、お嬢さんが今行ったところで、敵に捕まって共死にするだけじゃて」
「…………っ」
何も出来ない自分が嫌になる。どうして、こんなに無力なのだろう………姉様たちは、姉様たちだけはわたしを見捨てないでいてくれたのに………何も、出来ないのか。何か、何かできることは
「…………無理して助ける必要はないのじゃよ」
「え………?」
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サアァァ………と風が吹く
優しい匂いがする。これは……姉様?
遠くで姉様たちが手を振っているのが見える
(姉様…!ユリィ姉様!リズ姉様!)
あぁ、きっとさっきまでのことは全部夢で、今日もいつもどうり誕生日をお祝いしに来てくれたんだわ…
(姉様……わたし怖い夢を見たんです……お父様とお母様が……その………黒い、化け物に殺されてて、姉様たちはわたし一人逃がして戦いに行ってしまう夢…………)
涙がポロポロと溢れてくる。あれは夢だ、全部悪い夢、だって姉様たちはここに…………
【⠀……にィガ…サナい……ョォ?⠀】
「…………!!!」
あまりの恐怖に目が覚めた、手は冷たく、体のあちこちから汗が出ているようだ。
どうやらわたしは眠っていたらしい。簡素なベットに木造の少し汚れた天井が見える。
ここはどこだろう……と思い、ゆっくりと体を起こすと
「あぁ、起きたのか。大丈夫じゃったか?随分魘されていたようじゃが」
絵本によく出てくる教会の神父さんのような黒い服装に、少ししわがれた低めの声で、金色の瞳を真っ直ぐと向けたおじいさんが、わたしに声をかけてきた。
「………ここは?」
「ここはアルムハイトの東の森の近くの教会じゃよ。お嬢さんは、扉の前で倒れていたんじゃ。覚えていないのかい?ここらじゃ見かけない顔じゃが、親御さんとはぐれたのかな?」
「金色の……………瞳」
「ん?なんだ、金の瞳が珍しいのかい?聖職者の殆どは金だがねぇ…そう言えば、お嬢さんも綺麗な金の瞳をしている…………」
おじいさんはそう言うとピタリと動きを止めて、一瞬眉間にシワを寄せたが、すぐにまた朗らかな顔で、
「あぁ、なるほどなぁ。お嬢さん、その片方の瞳は隠した方がいい。ここいらじゃあ滅多に見ない色だ。人攫いにあっては困るだろう?」
そう言われると、ハッとして片方の瞳を近くにあった布で隠した。
「………助けて下さり、ありがとうございます………すぐに、出ていきますので」
わたしがそう伝えると、おじいさんはじっと私の方を見つめて、静かに言った。
「……そう焦らずとも、ゆっくりしていくといい。わしはここで孤児院もやっていてね、
孤児院は分かるかい?身寄りのない子達を預かって大きくなるまで面倒を見るところじゃよ
わしはこの通りもう歳だから中々遊んでやれなくてな………お嬢さんが良ければ面倒みてやってくれると嬉しいんじゃがなぁ………」
おじいさんは探るような目線でわたしの方を見つめてくる。
でも、早く行かないと姉様たちが…………
だけど今のわたしに何ができる?
わたしがじっと黙っていると、おじいさんは少し考えるようにして言った。
「……………エレンシアには行けないと思った方がいい」
「………!!どうしてっ………ですか?」
「あそこは今や魔物の巣窟だ……生き残っている人間はほとんどいないじゃろう…」
「……………」
そんな、姉様、嫌、嫌だ、信じない、絶対信じない。だって必ず迎えに来るって、待っててって言ったのに!!!
ドロドロとした感情が溢れ出し、思わず姉様に貰ったペンダントをぎゅっと握りしめる。
「…………大切な人がいるのかい」
「…約束………したんです…………絶対迎えに来るって…………大丈夫だからって………!」
「………お嬢さん、そのペンダントはその人から貰ったのかい?」
「……はい、そうですが…………」
「ちょっと見せてみなさい。」
わたしは少し疑問に思いつつも、何か知っていそうなおじいさんに首にかけていたペンダントをおそるおそる手渡した。
「………なるほど。お嬢さん、あんたの大切なひとはまだ生きてるかもしれんよ」
「………っ!!本当、ですか!?」
「確実とは言えないがね……このペンダントは恐らく魔核を元に作られておる。」
「まかく……?」
「魔力を持つものはみな魔核というものを持っている。魔力の源………言わば命の欠片のようなものじゃよ」
「命の、欠片…………」
「あぁ、そしてまだこのペンダントからは微かだが魔力を感じるのじゃ。恐らく敵に捕まってはいるが、まだ生かされている、と言ったところかの」
「 …っじゃあ、早く助けに行かないと!」
「お待ちなさい、お嬢さんが今行ったところで、敵に捕まって共死にするだけじゃて」
「…………っ」
何も出来ない自分が嫌になる。どうして、こんなに無力なのだろう………姉様たちは、姉様たちだけはわたしを見捨てないでいてくれたのに………何も、出来ないのか。何か、何かできることは
「…………無理して助ける必要はないのじゃよ」
「え………?」
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